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慢性腰痛患者の3人に1人が「仕事を辞めたい」 痛みが生活の質を低下
2016.10.27
 慢性腰痛のある人の9割以上が日常の生活に、また5割以上が趣味や週末・休日の外出に支障があることが判明した。さらに3人に1人が腰痛により「仕事を辞めたい」と思ったことがあるという。腰痛が患者のQOL(生活の質)に大きな影響を及ぼしていることが明らかとなった。
腰痛で悩んでいる人は3,000万人に上る
 慢性的な腰痛により、「仕事を辞めたい」と思った人は3人に1人(35.2%)に上り、5人に1人が腰痛がもっともひどかった時期に「月に2~3回以上仕事を欠勤していた」(19.0%)ことが分かった。

 これは、塩野義製薬と日本イーライリリーが実施した慢性腰痛に対する意識・実態調査によるもの。調査は、医療機関で慢性腰痛症と診断され、現在治療中または治療を行ったことがある患者2,350人と、慢性腰痛症の治療経験のある整形外科医111人を対象に行われた。

 日本整形外科学会によると、日本では腰痛のある人が約3,000万人に上ると推計されている。日本人が有する病気やけがなどの自覚症状の中で、腰痛の訴えは特に多く、有訴者率としては男性で1位、女性では2位と報告されている(国民生活基礎調査)。腰痛は「急性腰痛」と「慢性腰痛」に分けられ、痛みが3ヵ月以上続く場合を「慢性腰痛」とされる。
ストレス、うつ、不安が腰痛を長引かせる
 慢性腰痛は、若年から高齢者まで幅広い年代にみられる。なかでも30~50歳代の働き盛りに多く、原因のひとつはストレスだと考えられている。

 慢性腰痛は、腰の痛みを和らげる仕組みと関係があり、腰から痛みの信号が脳に伝わると、脳からドーパミンという神経伝達物質が放出される。すると、脳内でμオピオイドという物質が多量に放出され、神経伝達物質であるセロトニンやノルアドレナリンが放出され、痛みの信号を脳に伝える経路が遮断される。

 この仕組みによって、腰痛などの痛みが気にならなくなったり、我慢できるようになる。しかし、ストレス、うつ、不安などを長期間感じていると、脳でドーパミンが放出されにくくなって、腰痛が長引いたり、わずかな痛みでも強く感じたりするようになる。
患者の6割が「腰痛で周囲へ迷惑をかけている」
 調査で日常生活での慢性腰痛の影響を尋ねたところ、94.4%が「何らかの支障がある」と回答した。具体的には、「物を持ち上げる動作」(66.1%)、「立ち上がる、しゃがむなどの動作」(63.1%)が多く、「トイレ」(22.8%)、「着替え」(20.9%)、「入浴」(13.4%)など、日々の生活の基本動作にまで、支障があると感じていることが分かった。

 また、患者の6割が、慢性腰痛により「周囲へ迷惑をかけている」と感じている。具体的には、「家庭や職場など、周囲から理解されず怠けていると思われていると感じる」(36.2%)が多かった。長引く腰痛は、患者の心情面に負荷をかけていることが明らかになった。
医師と患者の間で認識に隔たりが
 腰痛の原因は腰にあると思われがちだが、実は内臓や中枢神経の障害、ストレスなど、さまざまな問題が関わっている。原因がはっきりしているものもあるが、腰痛全体の85%は原因が特定できない。

 調査では、医師の4人に3人(73.9%)が「慢性腰痛症は、原因がわからない、特定できないことが多い疾患」と回答。一方、医師から慢性的な腰痛の原因はよくわからないと伝えられた患者は、6人に1人(16.5%)で、痛みの原因について、医師と患者の認識に隔たりがあることが示唆された。

 治療実態についても調べたところ、「明確に治療目標を設定している」と回答した医師は40.5%だったのに対し、患者は24.2%にとどまった。「治療目標を設定している」と回答した医師にその内容を尋ねたところ、「日常の様々な活動に支障が出ない程度まで痛みを軽減すること」(51.1%)、「多少の痛みはあっても痛みを現在よりも軽減すること」(40.0%)が多かった。
患者と医師のコミュニケーションが重要
 痛みが続くときは、痛みに関連する神経経路が正常に働かなくなっている場合がある。痛みの刺激は、神経を伝わり、脊髄から脳へと情報が受け渡され、脳で痛みを認識する。一方で、痛みを抑える仕組みもあり、脳の痛みを抑える働きをもつ部位が活発になると、脊髄で過剰な痛みの伝達をブロックする。この痛みを抑えるシステムが働かなくなることが、痛みが長引く原因のひとつだ。

 調査では、患者の4人に1人(25.8%)は「痛みを完全に取り除くこと」を現実的な治療目標に挙げており、日常生活に支障がない程度に痛みの改善を目指すことを治療目標としている医師が多いのに対して、患者は痛みを完全に取り除きたいと考えており、医師と患者の間のコミュニケーションが不足している可能性が示された。

 一方で、治療目標を設定した患者の69.6%は「治療法に満足している」と回答、目標を設定していない患者の33.5%に比べ、2倍以上の差が出た。患者・医師の間で合意した治療目標を設定することの重要性が浮き彫りになった。

 「腰の痛みは治療後も長く続くことが少なくありません。腰痛と付き合いながら日常生活を送るには、患者をサポートするかりつけ医が欠かせません。治療目標は患者によって異なりますが、医師と患者のコミュニケーションが重要になります。医師は患者と向き合って話をよく聞き、より適切なアドバイスをすることが求められています」と、調査を監修した松山幸弘・浜松医科大学整形外科教授は述べている。

知っておきたい 慢性腰痛症と痛み(塩野義製薬、日本イーライリリー)
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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