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新型がん治療薬「オプジーボ」の効果を判定する方法を発見 京都大
2016年10月27日
高額で医療財政への影響が懸念されている新型がん治療薬「オプジーボ」が効くかどうかを、血液検査で判別できる方法を発見したと、京都大学の研究チームが発表した。
「オプジーボ」を1年間使用すると薬価は3,500万円に
「オプジーボ」の治療効果を判定する方法を開発
「オプジーボ」が効くのは患者全体の3割程度で、残りの7割になぜ効果がないのか分かっていない。
そこで、京都大学大学院医学研究科の椛島健治教授らの研究チームは、「オプジーボ」が効くかどうかを、採血で判別できる手法を見つけた。薬が効く患者をあらかじめ選別できれば、患者の負担、経済的負担を軽減することができる。
研究チームは、患者がもつ免疫の状態の違いが新薬の効果の違いと関連があるのではないかと考えた。免疫に関連する細胞や分子について、治療効果があった患者群となかった患者群で違いがないかを調べた。
その結果、「オプジーボ」が効いた患者では免疫細胞の「9型ヘルパーT細胞」が増えていることが判明。
さらに、このヘルパーT細胞を試験管内で作り出す実験を行い、抗PD-1抗体を加えると、ない場合と比べて、より効率よく作り出せることを発見した。
このヘルパーT細胞が作り出す「インターロイキン9」という物質には、キラーT細胞の能力を高める作用がある。研究チームは、この物質がある場合、リンパ球がより効率よくがん細胞を破壊できることができることを突き止めた。
今後は、血液中の「9型ヘルパーT細胞」をモニタリングし、「オプジーボ」の治療効果を判定するバイオマーカーとしての活用したり、「インターロイキン9」の機能を高める治療法の開発することを目指している。
京都大学大学院医学研究科
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