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「よく噛む」と糖尿病やメタボのリスクが低下 よく噛むための7ヵ条
2016.11.22
 よく噛んで食べる人は、速く食べる人に比べ、2型糖尿病やメタボリックシンドロームを発症しにくいことが、京都大学や国立循環器病研究センターの研究で明らかになった。
噛む能力が高いと糖尿病リスクが47%低下
 咀嚼(よく噛むこと)の大切さが注目されている。咀嚼には、「満腹中枢」を刺激し、食欲を抑える効果もあり、糖尿病の食事療法や肥満対策に役立つことが最近の研究で分かってきた。

 よく噛んで食べることが、2型糖尿病の発症リスクと関連があることが、約6,800人を対象としたコホート研究で明らかになった。

 京都大学の研究チームが、滋賀県長浜市の住民を対象に行われている「ながはま0次予防コホート事業」のデータを解析。噛む能力がもっとも高いグループでは、もっとも低いグループに比べて、2型糖尿病リスクがほぼ半減することが分かった。

 解析した結果、男性では噛む力が強いほど2型糖尿病になるリスクが低下し、咀嚼力によって4グループに分けたうちのもっとも少ないグループに比べ、もっとも多いグループでは糖尿病リスクが47%低下していた。女性でももっとも多いグループでも糖尿病リスクが44%低下していた。
よく噛めない人はメタボのリスクが高い
 国立循環器病研究センターは、咀嚼力を示す「咀嚼能率」が低下すると、メタボリックシンドロームを発症しやすくなることを世界ではじめて明らかにした。この研究は、新潟大学、大阪大学との共同研究「吹田研究」の一環として行われたもの。

 1989年に開始された「吹田研究」では、都市部の住民を対象に心筋梗塞などの冠動脈疾患の危険度などを調査している。2014年には、10年間の冠動脈疾患を発症する確率を予測する「吹田スコア」が開発された。

 研究チームは、住民台帳から無作為に抽出した50~70歳代の住民1,780名を対象に基本健診と歯科検診を実施。

 噛む力を示す咀嚼能率によって対象者を4群に分けて比較したところ、もっとも咀嚼能率の高い群と比較して下から2番目の群では、メタボリックシンドロームの有病率が46%高かった。さらに70歳代の対象者に限ると、咀嚼能率が低下したすべての群で67~90%有病率が高かった。
噛む回数を増やすための7つの対策
 肥満を予防・治療するために、まず空腹や満腹という感覚に敏感になることが大切だ。そのために、食事でよく噛むことが必要となる。

 噛む力が衰え、空腹感や満腹感が分からなくなると、肥満になりやすい。お腹がいっぱいという感覚を感じにくくなり、食べ始めるととまらなくなる。

 日本肥満学会の「肥満症治療ガイドライン」では、「咀嚼法」が肥満治療における行動療法のひとつとして挙げられており、1回30回噛むことが推奨されている。

 「ゆっくりと食べることで、食品の味や香りを楽しめ、食欲をうまくコントロールできるようになります。2型糖尿病や肥満リスクの低下につながります。よく噛んで食べることは、ゆっくり食べるための効果的な戦略となります」と、研究者は言う。

噛む回数を増やすための7つの対策

 ひと口食べるごとに30回噛むのが目標だが、噛む回数を数えるのは大変だ。下記の工夫をすると、自然に噛む回数を増やすことができる。

1 ひと口の量を減らす

 多くの人はひと口で噛む回数は量によって変わらないという研究結果がある。ひと口の量を減らせば、噛む回数を増やせる。

2 食事の時間に余裕をもつ

 忙しい毎日、時間に追われると、つい早食いになってしまいがちだ。食事の時間をゆっくりとれば、噛む回数を増やせる。

3 歯ごたえのある食材を選ぶ

 食物繊維の豊富な食品(ごぼう、れんこん、たけのこなど)、ナッツ類(アーモンド、クルミなど)、コンニャクなどの食事を選ぶ。調理で野菜や肉を硬めに仕上げるのも効果がある。

4 薄味にする

 薄味にすると、食材本来の味を味わおうとして、よく噛むようになる。

5 食材は大きく、厚めに切る

 食材を一口大に切ると、飲み込める大きさになるまで噛むようになるので、自然に噛む回数も増える。みじん切りや千切りよりは、乱切りなどのように大きめに切ったほうが良い。

6 まずは噛む回数を5回増やす

 ひと口の噛む回数をいきなり30回に増やすのは大変なので、まずは5回増やしてみる。慣れてきたら少しずつ増やしていく。

7 ガムに頼らない

 ガムを噛めば食欲を抑える効果を得られるが、間食をする習慣が抜けにくくなるので、あまりお勧めできない。日常の食事でしっかりと噛んで食べることが大切だ。
若いうちから咀嚼回数を増やす習慣を
 噛む回数を増やすと、満腹感を得やすくなり、食欲を抑えられるのは、「レプチン」「ヒスタミン」「GLP-1」などのホルモンや化合物が影響しているからだ。

 「レプチン」は脂肪細胞が分泌するホルモンで、脳の視床下部に作用して「もう十分食べた」という満腹感を引き出し、食欲を抑える作用がある。

 レプチンは脂肪組織にも働きかけて、エネルギー代謝の増加、つまり「カロリーを燃焼しよう」という信号も伝達している。レプチンは食事を始めてから20~30分後に分泌され始めるので、食事に時間をかけるとレプチンの作用を引き出しやすい。

 食欲の抑制にはレプチンだけではなく、脳内に分泌される「ヒスタミン」も関わっている。時間をかけてよく噛むと、ヒスタミンの量が増え、満腹中枢や交感神経が刺激される。そうすると食欲が抑えられ、満足感も得やすくなる。

 また、よく噛むと、食欲を抑制する「GLP-1」などの消化管ホルモンの分泌も促される。

 「日本人では年齢が上がるとともに肥満が増える傾向があります。若いうちから、咀嚼の回数を増やす習慣を身に付けることが、将来の生活習慣病を予防するうえで重要です」と研究者は述べている。

Mastication and Risk for Diabetes in a Japanese Population: A Cross-Sectional Study(PLOS ONE 2013年6月5日)
Relationship between metabolic syndrome and objective masticatory performance in a Japanese general population: The Suita study(Journal of Dentistry 2016年10月25日)
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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