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精神面の健康が運動に影響 ポジティブに生きている人は運動をする
2016.12.15
 精神面の健康を維持している中高年は、10年が経過した後も運動や身体活動を活発に維持している可能性が高いことが明らかになった。「心の健康を維持することは、体の健康を維持するために重要です。運動を続けるために、健全な心理状態が良い動機付けにつながります」と、研究者は述べている。
心の健康を維持している人は健康になりやすい
 高齢者の心の健康と、運動や身体活動の間には、強い関連性がみられるという調査結果を米国のチャップマン大学の研究チームが発表した。過去の調査でも、中高年から高齢者にかけて心身の相関はさまざまなかたちで影響することが報告されている。高齢者に運動や身体活動の指導をする上で重要な知見となると研究者は述べている。

 チャップマン大学心理学部・行動健康学科のジュリア ベーム氏らが過去に行った調査は、生活で充実感をもっている、活力を感じている、満足度が高いといったポジティブな感情をもっている人は、5年後に心臓病や心血管疾患、脳卒中、がんを発症するリスクが低かったり、これらの疾患の進行が比較的良好である傾向があることを確かめている。

 一方で、運動や身体活動が気分の改善や精神面での健康を導くことが、多くの研究が報告されている。つまり、身体活動性はがんや心疾患などの疾患リスクを低減させるだけでなく、精神的な健康を維持するためにも重要だ。

 加えて、心身ともに健康であると、心疾患や認知症、総死亡リスクが低減する傾向があることは広く指摘されている。「心の健康を保っている人は、運動や身体活動を活発に行う傾向が強く、結果として病気になりにくく、病気になっても予後が良好で、健康寿命も延びるのではないかと考えられます」と、ベーム氏は言う。
人生に充実感を抱いている人は運動をしている
 ベーム氏らは、人生に充実感を抱いていたり、幸福感をもっている、楽観的である人が、実際に運動や身体活動性の取り組む割合が高いのではないかと考えた。そこで、50歳以上の英国人9,986人を対象に、11年間追跡して調査を行った。参加者の平均年齢は63.7歳だった。

 参加者に、精神面の健康を測るための心理テスト(Psychological Wellbeing Test)を受けてもらい、自己の現状を評価してもらった。心理テストでは、主に次の項目について尋ねた――
「自分の個性的なところが好きだ」(自己受容)
「ときには他人と意見が合わないこともあっても、自分の意見には自信がある」(自立性)
「新しい経験や考え方に挑戦することは重要だと思う」(成長)
「自分の人生をコントロールしていると感じている」(環境制御)
「人生を無為に過ごす人もいるが、自分は違う」(人生の目的)
「他者と気持ちや時間を共有したいという気持ちがある」(肯定的な対人関係)

 11年の研究期間中に、参加者に職場と余暇時間での身体活動の頻度と強度について6回に分けて質問し、運動や身体活動の量に応じて4群に分けた。

 その結果、精神面の健康を維持しており、人生をポジティブに生きている人は、そうでない人に比べ、運動や身体活動が多く活発に体を動かしている割合が1.28倍に増えることが判明した。逆に、精神面で不健康な人は活発に体を動かしている割合が0.79倍に減少した。
保健指導では心のケアをすることも重要
 「今回の研究では、心理的な幸福度のレベルが高い人は、10年間で運動や身体活動のレベルも高まる可能性が高いことが示唆されました。つまり、心理的な幸福度が高く心の健康を維持している人は、高齢になっても体を活発に動かしており、体の健康も維持しやすいということです」と、ベーム氏は言う。

 「保健指導を行う専門家は、多くの場合で運動習慣のない人に運動を続けてもらうのに手こずっています。高齢化社会において、心理面にも配慮することが、身体活動を増やし健康を維持するために必要である可能性があります」と、指摘している。

 心の健康を増進することは、体の健康を維持するためにも必要だ。多くの人は中年期を過ぎると、運動や身体活動性の度合いが減少し、高齢になるにつれてさらに低下し、とりわけ75歳を超えたあたりからは極端に低下する。

 「身体活動を低下させる因子が何であるかを明らかにし、何が改善可能かを見極めることが、高齢者に運動に参加してもらうために必要です。心の健康を改善することが、社会の大部分の層の健康状態を改善するために効果的である可能性があります」と、ベーム氏は強調している。

Psychological well-being and physical activity in older adults(チャップマン大学 2016年12月1日)
Maintaining Healthy Behavior: a Prospective Study of Psychological Well-Being and Physical Activity(journal Annals of Behavioral Medicine 2016年11月7日)
(Terahata)
©2017 日本医療・健康情報研究所. 掲載記事・図表の無断転用を禁じます。

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