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温州ミカンが生活習慣病を改善 果物のカロテノイドが老化を防ぐ
2016年12月15日

「コタツでミカン」は冬の団らん風景の定番だ。その人気の高い温州ミカンに、2型糖尿病や脂質異常症などの予防効果があることが明らかになった。食べ過ぎに注意すれば、果物は健康増進や老化防止に役立てられる食品だ。
温州ミカンの栄養素に強力な抗酸化作用
果物は糖質が含まれているので、血糖値を上げてコントロールを悪化させるといったイメージを抱く方が多いが、果物には摂取したい栄養素がたくさん含まれている。食べ過ぎに注意しながら、積極的に食事に取り入れたい食品だ。
温州ミカンには「β-クリプトキサンチン」や「β-カロテン」が豊富に含まれる。これらのカロテノイドには強力な抗酸化作用がある。また、不足しがちなビタミンやミネラル、水溶性の食物繊維も含まれる。
糖尿病の食事療法でも、1日の指示カロリーが1600kcalの人では、1日80kcalを食べることが推奨されている。
温州ミカンを3個はごはん1杯のカロリーに等しい
果物は食べ過ぎに注意して、炭水化物(糖質)の量をコントロールしながら食べれば、健康増進に役立てられる食品だ。
しかし、一方で果物には糖質もそこそこ含まれている。中ぐらいの温州ミカン(120g)には炭水化物が14.4g含まれていて、カロリーは55kcal。3個を食べると、ごはん1杯のカロリーにほぼ等しい。

温州ミカンの「β-クリプトキサンチン」に2型糖尿病の予防効果

脂質異常症や非アルコール性肝機能異常症のリスクも低下
農研機構果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市(旧三ヶ日町)と合同で2003年度から継続して栄養疫学調査「三ヶ日町研究」を実施。この研究では、温州ミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンや緑黄色野菜に多いβ-カロテン、葉物野菜に多いルテインなどのカロテノイド色素とさまざまな健康指標との関連を調査している。
研究チームは、調査開始から10年間で追跡調査が完了した910人について、β-クリプトキサンチンをはじめとする血中カロテノイド値と2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクとの関連について縦断的に解析した。
まず、調査開始時にすでに2型糖尿病を発症していた被験者を除いて、血中β-クリプトキサンチン濃度について、低いグループから高いグループまでの3グループに分け、各グループの2型糖尿病の発症率を調査。その結果、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける2型糖尿病の発症リスク(ハザード比)は、低濃度のグループを1.0とした場合0.43となり、有意に低い結果となった。
また同様に、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける脂質異常症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.66となり、有意に低い結果となった。
さらに、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける非アルコール性肝機能異常症(血中高ALT値)の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.51となり、有意に低い結果となった。どの関連も、喫煙・運動習慣や総摂取カロリー、アルコール摂取量などの影響を取り除いても統計的に有意だったという。
つまり、温州ミカンに含まれるβ-クリプトキサンチンを摂取することで、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを抑える効果を得られることが明らかになった。
カリウムやビタミンC、β-カロテンの豊富な温州ミカンは、風邪の予防や疲労回復など多くの健康効果があることが知られているが、またひとつミカンを食べる楽しみが増えた。
国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構High serum carotenoids associated with lower risk for type 2 diabetes among Japanese subjects: Mikkabi prospective cohort study(BMJ Open Diabetes Research & Care 2015年12月1日)
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