ニュース

温州ミカンが生活習慣病を改善 果物のカロテノイドが老化を防ぐ

 「コタツでミカン」は冬の団らん風景の定番だ。その人気の高い温州ミカンに、2型糖尿病や脂質異常症などの予防効果があることが明らかになった。食べ過ぎに注意すれば、果物は健康増進や老化防止に役立てられる食品だ。
温州ミカンの栄養素に強力な抗酸化作用
 果物は糖質が含まれているので、血糖値を上げてコントロールを悪化させるといったイメージを抱く方が多いが、果物には摂取したい栄養素がたくさん含まれている。食べ過ぎに注意しながら、積極的に食事に取り入れたい食品だ。

 温州ミカンには「β-クリプトキサンチン」や「β-カロテン」が豊富に含まれる。これらのカロテノイドには強力な抗酸化作用がある。また、不足しがちなビタミンやミネラル、水溶性の食物繊維も含まれる。

 糖尿病の食事療法でも、1日の指示カロリーが1600kcalの人では、1日80kcalを食べることが推奨されている。
温州ミカンを3個はごはん1杯のカロリーに等しい
 果物は食べ過ぎに注意して、炭水化物(糖質)の量をコントロールしながら食べれば、健康増進に役立てられる食品だ。

 しかし、一方で果物には糖質もそこそこ含まれている。中ぐらいの温州ミカン(120g)には炭水化物が14.4g含まれていて、カロリーは55kcal。3個を食べると、ごはん1杯のカロリーにほぼ等しい。
 食物繊維は皮の部分に多く含まれているので、皮が食べられるものはよく水洗いして皮ごと食べるのが勧められる。温州ミカンの袋には食物繊維に加えて、フラボノイドが豊富に含まれる。ミカンを食べる時は袋ごと食べると健康に役立つ。

 ただし、注意したいのは、缶詰の果物や、干し果物(ドライフルーツ)だ。生のものよりビタミンCも少なく、糖度が高いので糖尿病のある人には勧められない。
温州ミカンの「β-クリプトキサンチン」に2型糖尿病の予防効果
 「コタツでミカン」は冬の団らん風景の定番だ。その人気の高い温州ミカンに、2型糖尿病や脂質異常症の予防効果があることが、農研機構果樹研究所や浜松医科大学などの研究チームが3月に発表した。温州ミカンに含まれる「β-クリプトキサンチン」に強力な抗酸化作用があり、耐糖能が改善すると考えられている。

 農業・食品産業技術総合研究機構は、浜松市での10年間の追跡調査の結果、温州ミカンに含まれる「β-クリプトキサンチン」を多く摂取すると、2型糖尿病や脂質異常症などの生活習慣病の予防に有用であるという研究を発表した。

 野菜や果物の摂取が、がんや心臓病など循環器系疾患、動脈硬化症、脂肪肝などの予防に効果的であることが、欧米などの最近の栄養疫学研究で示されている。これらの病気の発症に「酸化ストレス」が大きく関わっている。

 「カロテノイド」は、野菜や果物に多く含まれる黄、橙、赤色などの天然色素。このカロテノイドに抗酸化作用があり、酸化ストレスを軽減することが分かってきた。

 代表的なカロテノイドとして、ニンジンやカボチャに多いβ-カロテン、トマトに多いリコペン、緑色野菜に多いルテインなどがある。このうち、「β-クリプトキサンチン」は日本の温州ミカンに多く含まれている。
脂質異常症や非アルコール性肝機能異常症のリスクも低下
 農研機構果樹研究所は、浜松医科大学健康社会医学講座、浜松市(旧三ヶ日町)と合同で2003年度から継続して栄養疫学調査「三ヶ日町研究」を実施。この研究では、温州ミカンに多く含まれるβ-クリプトキサンチンや緑黄色野菜に多いβ-カロテン、葉物野菜に多いルテインなどのカロテノイド色素とさまざまな健康指標との関連を調査している。

 研究チームは、調査開始から10年間で追跡調査が完了した910人について、β-クリプトキサンチンをはじめとする血中カロテノイド値と2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクとの関連について縦断的に解析した。

 まず、調査開始時にすでに2型糖尿病を発症していた被験者を除いて、血中β-クリプトキサンチン濃度について、低いグループから高いグループまでの3グループに分け、各グループの2型糖尿病の発症率を調査。その結果、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける2型糖尿病の発症リスク(ハザード比)は、低濃度のグループを1.0とした場合0.43となり、有意に低い結果となった。

 また同様に、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける脂質異常症の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.66となり、有意に低い結果となった。

 さらに、血中β-クリプトキサンチンが高濃度のグループにおける非アルコール性肝機能異常症(血中高ALT値)の発症リスクは、低濃度のグループを1.0とした場合0.51となり、有意に低い結果となった。どの関連も、喫煙・運動習慣や総摂取カロリー、アルコール摂取量などの影響を取り除いても統計的に有意だったという。

 つまり、温州ミカンに含まれるβ-クリプトキサンチンを摂取することで、2型糖尿病などの生活習慣病の発症リスクを抑える効果を得られることが明らかになった。

 カリウムやビタミンC、β-カロテンの豊富な温州ミカンは、風邪の予防や疲労回復など多くの健康効果があることが知られているが、またひとつミカンを食べる楽しみが増えた。

国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
High serum carotenoids associated with lower risk for type 2 diabetes among Japanese subjects: Mikkabi prospective cohort study(BMJ Open Diabetes Research & Care 2015年12月1日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2019年12月12日
厚労省が「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン第2版」を公表
2019年12月11日
抗菌薬・抗生物質が効かない「薬剤耐性菌(AMR)」 年間8,000人超が死亡 対策は進んでいる
2019年12月11日
「ドライアイ」で苦しむ人は働き盛り世代に多い スマホを利用した「クラウド型臨床研究」で明らかに
2019年12月11日
「よく噛んで食事をする」と食後の血糖上昇を抑えられる 「よく噛む」食事法は朝と夜で効果に差が
2019年12月10日
通勤手段で肥満・メタボに対策 徒歩・自転車・公共交通が有利 日本の労働者3万人を5年間調査
2019年12月10日
冬の「ヒートショック」を防ぐ6つの対策 入浴中の事故死は冬に集中 血圧変動に注意
2019年12月05日
働く世代の仕事と健康管理に変化が起きている 厚労省「成年者縦断調査」「中高年者縦断調査」
2019年12月05日
健診結果から3年以内の糖尿病発症リスクを予測 国際医療研究センター「糖尿病リスク予測ツール」
2019年12月05日
【健やか21】改正母子保健法が成立しました
2019年12月04日
睡眠不足が肥満やメタボを悪化させる 脂質代謝にも異常が 睡眠を改善する3つの方法
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 9,696 人(2020年06月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 2.7%
  • 保健師 44.8%
  • 看護師 10.8%
  • 管理栄養士・栄養士 19.8%
  • その他 22%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶