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高齢者の口腔と摂食嚥下の機能支援について先進的な取り組みを紹介
2017年02月07日
厚生労働省はこのほど、高齢者の口腔と摂食嚥下の機能支援について先進的な取り組みを行っている東京都大田区など5つの自治体の取り組み内容を調べた。調査の結果、歯科医師会、歯科衛生士や管理栄養士など多職種の専門職と連携し、介護予防事業や重症化予防のためや地域における支援の仕組みづくりが行われていることが明らかになった。報告書では具体的な取り組み例を紹介し、全国の自治体が参考になるポイントをまとめている。
報告書ではまず、「食べること」は人として最も基本的な機能であるものの、誰もが最期まで自分の口から食べ続けられるわけではなく、歯の治療の必要がない高齢者であっても、加齢に伴う口腔と摂食嚥下機能の衰えで食欲の減退や低栄養の状態を招きがちである、と指摘。最悪の場合、誤嚥性肺炎や窒息事故など生命の危機に直結する事態に至ることもある、として、「機能低下の兆しに気づいた場合などには放置せず、自分自身で予防を始める必要がある」と訴えている。
しかし、高齢者自身が口腔と摂食嚥下の機能維持・向上についての重要性をきちんと認識していることは少ない。また在宅や施設における要介護高齢者などの摂食嚥下障害を支援するため、介護サービスの担い手と歯科分野などさまざまな専門職が連携し、サポート体制をいかに構築するかが大きな課題になっている。
そこで厚生労働省では、このような問題を解決するために先進的な取り組みを行っている東京都大田区・新宿区、千葉県柏市、富山県南砺市、岡山県鏡野町の事業内容について調べ、報告書にまとめた。これらの自治体では、住民の「最期まで自分の口から食べる」を支援するため、「8020運動」などを通した歯を守る事業に加え、介護予防や早期発見、疾病によって要介護状態になった場合などの重症化(誤嚥性肺炎)予防といった3方向からのアプローチを行っており、報告書では主に介護予防事業と重症化予防における多職種チームによるサポートの取り組みに焦点があてられている。

「高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査」報告書より
「高齢者の口腔と摂食嚥下の機能維持・向上のための取組に関する調査」
報告書概要
報告書全文
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