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冬のウォーキングの効果を高める5つの方法 寒い冬には注意が必要

 ウォーキングなどの運動には肥満対策の効果がある。寒い冬こそウォーキングを続けたい。ただし、屋外で運動するときは注意が必要になる。米国のメイヨークリニックやクーパー研究所は、寒い日に安全に運動するためのアドバイスをしている。

 メイヨークリニックによると、糖尿病の人で血糖コントロール不良が続くと、血行が悪くなり低体温になりやすい。そんな人こそ冬の運動は恩恵をもたらす。運動は寒い冬にも安全に行える。ただし、寒い日に安全に運動するためには工夫が必要だ。
冬のウォーキングが体の基礎代謝を高める
・ 筋肉を増やせば基礎代謝が上がり、エネルギー消費量も増やせる
・ 冷えやすい体質を改善するためにも運動が効果的

 冬は本来、ウォーキングなどの運動によるエネルギー消費量を増やしやすい時期だ。寒い冬には、運動や身体活動をしていない時に消費されるエネルギーである「基礎代謝」が増えやすいからだ。

 ヒトは常に体温を約36~37度前後に一定に保つことで生命を維持している。その体温維持のために消費されるエネルギーは基礎代謝に含まれる。冬は外気温が低いので、体温を維持するために熱産生が活発になり、基礎代謝が上昇しエネルギー消費量は自然に増えやすい。

 基礎代謝に大きく影響するのは体の筋肉の量だ。筋肉を増やすと基礎代謝が上がり、消費エネルギー量も増える。冬に筋肉を増やす運動を続けると基礎代謝を向上できるメリットがある。
冬に多い「冷え」に対策する
・ ウォーキングで血行を改善し、筋肉を増やしエネルギー消費を増やす

 冬に多い「冷え」には原因がある。まずは生理現象。寒さを感じると体内の熱を外に逃がさないようにするため末梢血管が収縮し、体が緊張状態になり、冷えにつながる。次に、血行が悪いと体内の熱を末梢までうまく運べず、手足に冷えを感じるようになる。また、筋肉量が少ない人は、体内で十分な熱がつくられず、体の芯から冷えを感じるようになる。

 冷えやすい体質を改善するためには、熱をうまく運べるように血行を促すことや、筋肉を増やしてエネルギー消費を増やすことが重要となる。ウォーキングはその両方を改善できる運動だ。筋肉量をしっかりと維持するために、ウォーキングを続けることが大切だ。
寒い冬の運動はウォーミングアップが重要
・ 冬場は血圧が上昇しやすいので要注意
・ 体を急に冷やさないようし、ウォーミングアップを十分に行う

 血圧は季節によって変動するが、特に冬場は血圧が上昇しやすいことが知られている。冬に発症しやすい病気のうち、もっとも重大なものとして血管障害(心筋梗塞・脳卒中)が挙げられる。

 これらの原因のひとつは低温環境そのもの、あるいは室内外の気温差が刺激になって脳や心臓へ負担がかかることだ。寒さで交感神経は緊張し、全身および心臓の血管が収縮する。さらに、血圧が高くなると心臓に負荷がかかり、血管が収縮ないし細くなり酸素が足りなくなり、心筋梗塞や脳卒中を発症する可能性が高くなる。

 寒い冬の運動は、時間の余裕をもって、ウォーミングアップをし、楽しみながらやることが大切。歯を食いしばって頑張る、というやり方は逆効果になるので注意が必要だ。特に雪かきのような激しく力む運動をするときは、血圧や心拍数が上昇しやすい。暖かい室内でウォーミングアップを十分に行い、いきなり寒い屋外に出ないようにすることが重要となる。
冷たい外気を遮断し体温が下がるのを防ぐ
・ 帽子、手袋、マスクなどで体を冷やさないようにする

 首、手首、足首が外気にふれると、肌から熱が逃げて体温が下がる。風の侵入を許さないよう手袋やマフラー、レッグウォーマーなども活用することが大切だ。また、冷たい空気をいきなり肺に吸い込むと気管支が収縮する。マスクをして外に出るなどして、いきなり冷たい空気を吸わない工夫も必要となる。

 ウォーキングなどの運動を続けることで、酸素の取り入れを向上させ運動の効果を高めようというエアロビクス(有酸素運動)は、米国の運動生理学者のケネス クーパー博士が1960年代に提唱し世界中に広まった。クーパー博士が設立したクーパー研究所では、冬に運動を行うときはウォーミングアップが重要だとアドバイスしている。
厚着を繰り返さないで、吸湿・速乾性の素材を上手に使う
・ 体が温まるにごとに1枚ずつ脱げるように、重ね着をする
・ 衣類内に湿気がこもるのを避ける

 服装の寒さ対策の基本は、レイヤリング(重ね着)を上手に行うことだ。厚い服を1枚着るよりも、薄めの衣服を重ね着する方が、運動をして体が温まったときに1枚ずつ脱ぎやすい。また、無理のない範囲で薄着になることも効果的だ。薄着にすることで、体が体温を奪われないよう働き、基礎代謝が上がりやすくなる。

 注意しなければならないのは、冬の衣服には、防寒の機能に加えて、吸湿性や放湿性の機能が求められることだ。多くの人は防寒対策として、温度を維持し、外部の冷たい空気が入り込まないように厚着をするが、内部に空気をためられるようにセーターなどを着込むと、かえって体が温まりにくくなることがあるので注意が必要だ。

 運動中に着用する衣服の役割は、▽寒さなどの外部環境の変化から体を保護すること、▽体から出る熱や湿気などの変化に対して、衣服内環境をなるべく快適に保つこと。

 体温が上がると、衣服の中の空気の温度も上がっていく。最初のうちはそれで暖かさを感じるが、そのうち温度が上がりすぎて、体表からは温度調節をしようと汗が出てくる。汗は衣服の中で蒸発した後で、衣服や体表に水となって付いてしまう。その水分がふたたび蒸発するときに皮膚の温度を奪っていく。

 いくら厚着をしてもなかなか暖かさを感じないのはこの現象によるものだ。しかし、これに気がつかずにどんどん厚着を繰り返す人も少なくない。

 そうしたときの対策として、汗をかいた場合は、アンダーウェア(下着)に、防寒・保温性があり、汗をすばやく吸収する速乾性機能をもつ素材のものを着用する方法がある。最近ではさまざまな種類の速乾性のある素材を使ったものが市販されているので、運動中に冷えを感じやすいという人は試してみてはいかがだろう。

Winter fitness: Safety tips for exercising outdoors(メイヨークリニック 2016年9月9日)
Five Winter Workout Tips(クーパー研究所)
[Terahata]
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