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乳がんと大腸がんを尿検査で早期発見 簡便ながん検査を実用化

 尿中の代謝物を網羅的に解析することにより、健常者、乳がん患者および大腸がん患者の尿検体を識別する技術を、日立製作所や住友商事などが開発した。
尿を用いたがん検査に着目
 日本では医療費を含めた社会保障費の増大が大きな社会問題になっており、がんに罹った場合、医療費のほか、早期死亡によって生じる労働価値の損失を含めた経済的疾病費用は、約10兆円規模になると算出されている。

 今後、労働人口の減少が予測される中、医療費のみならず労働損失を低減するためにも、がんの早期診断、早期治療の実現が重要となっている。

 しかし、血液検査など腫瘍マーカー検査に代表される現在のがん検査は、医療検査機関での受診が必須であることや、全身のがんを一度に検査できる技術が確立されていないことから、受診者にとっては時間的、経済的な負担が多い。

 また、医療機関の少ない地域では、受診機会を得難いことが、がんの早期診断、早期治療の妨げとなっている。そのため、誰もが簡便にがんの検査を受けることができる技術の確立が求められている。

 そこで日立製作所は、受診者自身で採取することができる尿を用いた検査方法に着目し、尿検体を用いた新たながん検査方法とそのプロセスを確立する研究を進めている。
がんに特有の代謝物を検出
 このほど日立製作所は住友商事グループと協力し、健常者とがん患者の尿検体に含まれる糖や脂質などの代謝物を網羅的に解析したところ、両者の尿中代謝物の間に、含有量が大きく異なる代謝物が存在することが明らかになった。

 研究グループは、年齢、性別、がんの有無などの情報が付与された、健常者、乳がん患者、大腸がん患者の市販の尿検体各15検体を対象に、液体クロマトグラフ/質量分析計を用いて、尿代謝物の詳細解析を行った。

 代謝物の水溶性や脂溶性の違いに着目して測定条件を最適化することで、それぞれの尿検体から、従来の2倍以上となる、1,300を超える代謝物を検出するのに成功した。

 次に、健常者群、乳がん患者群、大腸がん患者群の尿中代謝物を比較したところ、含有量が大きく異なる代謝物があることが分かった。

 これらの代謝物を乳がん患者、大腸がん患者の尿検体を絞り込むバイオマーカーとし、主成分解析を行った結果、健常者、乳がん患者、大腸がん患者それぞれの尿検体を識別できることが明らかになった。
受診者が自分で尿を採取する新しい検査スタイル
 今回得られた成果は、将来、受診者自身が尿検体を採取し、これを医療検査機関に送ることでがん検査を可能とする新しい検査スタイルの確立に道を開くもので、がん検査の受診機会の増大に寄与する可能性がある。

 今後、がんとバイオマーカー候補となる物質との関連を詳細に調べ、尿を用いて簡便に行えるがん検査方法の開発につなげたい考えだ。

 研究は、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の医療分野研究成果展開事業、産学連携医療イノベーション創出プログラムの支援によって実施された。

日立製作所研究開発グループ
[Terahata]

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