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「介護離職」が年間に9.9万人 働きながら介護は346万人 「介護離職ゼロ」の目標遠く

 「介護離職」が1年間に9万9,000人に上ることが総務省の2017年の「就業構造基本調査」で分かった。「介護と仕事の両立」に向けた環境は都市部では整備され始めているが、全体としては厳しい状況になっている。介護職員の不足も深刻だ。
「介護離職」が1年間に9万9,000人
 総務省の2017年の「就業構造基本調査」で、家族の介護や看護のために仕事を辞める「介護離職」が1年間に9万9,000人に上ることが分かった。過去1年間の離職者に占める割合は1.8%。うち男性は2万4,000人、女性は7万5,000人となっており、女性が約8割を占めている。

 介護離職者は、2017年9月までの過去1年間に介護・看護を理由に離職した人で、育児・介護休業法による介護休暇をとった人は含まれない。

 安倍政権は2020年代初頭までの「介護離職ゼロ」を掲げて施設整備などを進めているが、前回2012年調査の10万1,100人に比べ減っておらず、深刻な状況が続いている。

関連情報
働きながら介護は346万人
 調査は5年ごとで行っており、今回は約52万世帯の15歳以上の約108万人を対象に2017年10月時点の状況を調査した。

 介護者の数は627万6,000人で、うち有業者は346万3,000人(55.2%)となっている。有業率は、男性は「55~59歳」が87.8%ともっとも高く、女性は「40~49歳」が68.2%ともっとも高い。

 仕事と家庭生活のバランスの良い勤務環境に恵まれている人は、仕事と介護を両立できるケースが多い。介護離職などを防ぐため、"ワーク・ライフ・バランス"の制度を整えることが重要だ。

 実際には調査では、会社などに勤めながら「週6日以上」とほぼ毎日、介護をしている人の割合は、男性の20.3%、女性の30.7%と高率に上ることが分かった。

 就業時間や日数を調整している人の割合は26.2%。所得階級別にみると、「50~99万円」および「100~149万円」で8割を超える人が就業調整をしている。

 介護をしている者の有業率(全国55.2%)についてみると、長野県が60.7%ともっとも高く、次いで山梨県(60.0%)、新潟県(59.2%)と続く。
介護と仕事を両立させるための環境整備
 介護中の人の有業率は1都4県ではすべてで上昇しており、介護と仕事の両立に向けた環境は都市部では整備されはじめている。

 介護を行う家族などを対象としたコミュニティサイト「安心介護」を運営するエス・エム・エスは、介護にかかわる家族394人を対象に「介護をする家族の生活変化についての意識調査」を実施した。

 それによると、介護が始まり生活や仕事などで変化があったもの1位は「時間」(82.3%)で、「仕事」(58.6%)や「お金」(53.9%)よりも高かった。

 自分自身もしくは家族が「介護離職した・離職予定がある人」は約3割に上るものの、現在仕事をしている人の9割以上が1年以内に離職の予定はなく、勤務先の有給制度や時短制度などを活用しながら介護と仕事を両立させていることが示された。

 一方、離職後の生活費は、1位「自分の貯金(51.0%)」、2位「家族(夫や子供など)の収入(48.1%)」、3位「親の年金(42.3%)」でまかなっている。自身の貯金や家族の収入に頼っており、親の介護によって今後、一家が孤立、経済的に困窮するなどのおそれを抱いている人も少なくない。
介護職員の不足も深刻
 厚生労働省では、育児・介護休業法に定められた介護休業制度などの周知徹底をはかり、企業および労働者の課題を把握し事例集を作成するなど、介護を行っている労働者の継続就業を促進する対策を始めている。

 介護職員の不足も深刻だ。厚生労働省所管の公益財団法人「介護労働安定センター」は、人手不足を感じている介護事業所が全体の66.6%に上るとする2017年度の調査結果を公表した。前年度比4.0ポイント増で、増加は4年連続。

 厚生労働省が2015年に発表した推定によると、不足する介護職員の数は2017年度で12万4,673人。

 厚労省のシナリオ通りに介護職員が増えたとしても、不足数は2020年度で20万200人、2025年度で37万7,364人と高水準で推移する。

 介護の担い手が適切に確保できないと、地域によっては高齢者が十分な介護サービスを受けられないおそれもある。

 人材不足解消に向け、高齢者の社会参加を促して要介護とならないための予防や、介護分野に就労しやすい環境整備も急務となっている。

平成29年就業構造基本調査の結果(総務省 2018年7月13日)
仕事と介護の両立~介護離職を防ぐために~(厚生労働省)
介護離職ゼロ ポータルサイト(厚生労働省)
2025年に向けた介護人材にかかる需給推計(確定値)について(厚生労働省2015年6月24日)
平成29年度介護労働実態調査結果(介護労働安定センター 2018年8月3日)
安心介護(エス・エム・エス)
[Terahata]

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