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日本人高齢者のフレイル割合は8.7% プレフレイルは40.8% フレイルの予防・重症化予防を推進

 「日本人高齢者のフレイル割合は8.7%、プレフレイルは40.8%」――東京都健康長寿医療センターは、日本人高齢者全体のフレイル割合をはじめて明らかにした。
 75歳以上の後期高齢者を対象とした、フレイルの予防・重症化予防に着目した健診、いわゆる「フレイル健診」は、今年の4月に開始された。
 「健康格差を是正する必要があります」と研究者は訴えている。
日本人高齢者のフレイルの割合は8.7%
 「日本人高齢者のフレイル割合は8.7%」――東京都健康長寿医療センターは、「全国高齢者パネル調査」のデータを用い、地域在住の日本人高齢者全体のフレイル割合をはじめて明らかにした。

 「フレイル」は、「健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体機能や認知機能の低下がみられる状態」を指す。国や自治体は、健康寿命の延伸に向けフレイル予防に関する施策を打ち立てている。

 フレイル予防に関する施策を実施・評価するために、日本でどのくらいの人がフレイルに該当しているかを把握する必要がある。しかし、これまでフレイル該当者割合を特定地域で調べた研究はあったが、全国の高齢者全体では把握できていなかった。

 そこで研究チームは、代表サンプルによる「全国高齢者パネル調査」のデータを用い、地域在住の日本人高齢者全体のフレイル割合を算出した。研究成果は、「Archives of Gerontology and Geriatrics」に掲載された。

関連情報
プレフレイルは40.8% 西高東低の傾向が
 2012年に行われた全国高齢者パネル調査の参加者のうち、訪問調査に協力した65歳以上の高齢者2,206人のデータを解析。フレイルの把握は、世界で最も使用されているFriedらの指標を用いた。

 指標に含まれる5個の項目のうち、3個以上該当した場合に「フレイル」、1~2個の場合に「プレフレイル」(フレイルの前駆状態)、0個の場合に「健常」と判定。

 回答者の性別、年齢の偏りを調整した上でフレイル割合を算出したところ、8.7%の人がフレイルに該当することが明らかになった。この割合は、諸外国に比べると低いものだ。

 なお、プレフレイルは40.8%、健常は50.5%だった。また、女性、高齢、社会経済的状態が低い、健康状態が悪いほど、フレイル割合は高い傾向がみられた。

 地域ブロック別では、おおむね西日本で高く、東日本で低い「西高東低」の傾向がみられた。

 今回の知見は、日本ではじめて地域在住日本人高齢者のフレイル割合を明らかにし、地域によるフレイル割合の違いを「見える化」したもので、フレイル予防に関する施策の評価、あるいはフレイルに関する学術研究のマイルストーン(基準値・目標値)になる。

出典:東京都健康長寿医療センター研究所、2020年
「フレイル健診」がスタート 75歳以上の後期高齢者のフレイル対策を強化
 75歳以上の後期高齢者を対象とした、フレイルの予防・重症化予防に着目した健診、いわゆる「フレイル健診」は、今年の4月に開始された。

 厚生労働省は、後期高齢者を対象に行う健診で活用されている現行の質問票に代わるものとして、フレイルの状態になっているかチェックする「後期高齢者の質問票」を2020年度より導入した。

 後期高齢者については、フレイルに陥るリスクを抱えていることから、現役世代のメタボリックシンドローム対策と異なり、フレイルに着目した疾病予防・重症化予防の取組みとして、運動、口腔、栄養、社会参加などのアプローチを進める必要がある。

 こうした状況をふまえ、厚労省は2015年の医療保険制度改革で、後期高齢者の保健事業について、「高齢者の心身の特性に応じ、保健事業を行うよう努める」「健康教育や健診に加え、保健指導・健康管理、疾病予防に係る本人の自助努力に対する支援を行う」ことを求めた。

高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版
 こうした流れを受け、「高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ」は2019年10月に、「高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版」を公表。

 ガイドラインは、基本的な考え方を示した「総括編」と、保健事業の実施内容・方法・手順と、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施の手順などをまとめた「実践編」に分かれている。

 実践編では、「事業の企画・調整・分析・評価などを行う人材と、通いの場などへの関与や個別訪問などの支援を行う医療専門職が必要になる」として、保健師や管理栄養士、歯科衛生士などの医療専門職が加わり、取組みの充実をはかるよう求めている。

 ガイドラインには別添資料として「後期高齢者の質問票の解説と留意事項」が付いている。フレイル健診に関わる各質問についてエビデンス、統計、留意事項などが詳細に記載されている。

 厚労省研究班「高齢者の保健事業と介護予防の一体的実施推進のための後期高齢者の質問票活用に向けた研究(研究代表者:津下一代)」の成果を参考にして作成された。

高齢者の特性を踏まえた保健事業ガイドライン 第2版
「後期高齢者の質問票」で高齢者の健康状態を把握
 高齢者(とくに後期高齢者)は複数の疾患をもつほか、フレイルやサルコペニア、認知症なども進行しやすい。ガイドラインでは、こうした高齢者の特性をふまえた保健事業を実施することを求めている。

 従来の特定健診(40~74歳が対象)の「標準的な質問票」は、メタボリックシンドローム対策に着目した質問項目が設定されており、高齢者の特性を把握するものとしては十分ではなかった。

 「後期高齢者の質問票」は、フレイルなど高齢者の特性をふまえて健康状態を総合的に把握するという目的から、(1)健康状態、(2)心の健康状態、(3)食習慣、(4)口腔機能、(5)体重変化、(6)運動・転倒、(7)認知機能、(8)喫煙、(9)社会参加、(10)ソーシャルサポート――の10類型を示している。

 さらに、これまでのエビデンスや保健事業の実際、回答高齢者の負担を考慮し、15項目の質問で構成されている。

後期高齢者の質問票

類型名No質問文回答
健康状態1あなたの現在の健康状態はいかがですか ①よい ②まあよい ③ふつう ④あまりよくない ⑤よくない
心の健康状態2毎日の生活に満足していますか①満足 ②やや満足 ③やや不満 ④不満
食習慣31日3食きちんと食べていますか①はい ②いいえ
口腔機能4半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか ※さきいか、たくあんなど①はい ②いいえ
5お茶や汁物等でむせることがありますか①はい ②いいえ
体重変化66ヵ月間で2~3kg以上の体重減少がありましたか①はい ②いいえ
運動・転倒7以前に比べて歩く速度が遅くなってきたと思いますか①はい ②いいえ
8この1年間に転んだことがありますか①はい ②いいえ
9ウォーキング等の運動を週に1回以上していますか①はい ②いいえ
認知機能10周りの人から「いつも同じことを聞く」などの 物忘れがあると言われていますか①はい ②いいえ
11今日が何月何日かわからない時がありますか①はい ②いいえ
喫煙12あなたはたばこを吸いますか①吸っている ②吸っていない ③やめた
社会参加13週に1回以上は外出していますか①はい ②いいえ
14ふだんから家族や友人と付き合いがありますか①はい ②いいえ
ソーシャルサポート15体調が悪いときに、身近に相談できる人がいますか①はい ②いいえ

 「後期高齢者の質問票」の回答内容は2020年度から国保データベース(KDB)に収載される予定で、今後はKDBから抽出した医療・健診・介護情報と質問票の回答を連動することで、高齢者を必要な保健事業や医療機関受診へつなぎ、地域で多面的に支えることを目指している。

東京都健康長寿医療センター研究所 社会参加と地域保健研究チーム
National prevalence of frailty in the older Japanese population: Findings from a nationally representative survey(Archives of Gerontology and Geriatrics 2020年8月9日)

高齢者の保健事業のあり方検討ワーキンググループ(厚生労働省)
[Terahata]

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