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熱中症を予防するための8ヵ条 マスク着用で熱中症リスクが上昇 マスクをはずして休憩も
2021年06月01日
今年の夏も厳しい暑さが予測されている。気温の高い日が続くこれからの時期に、新型コロナウイルス感染症への対策を行うと同時に、熱中症の予防も行う必要がある。
気温・湿度が高い中でのマスク着用には注意が必要
今年の夏も厳しい暑さが予測されている。近年、熱中症による健康被害が数多く報告されており、気温の高い日が続くこれからの時期に備えて、熱中症に対策しておくことは大切だ。
とくに今年は、新型コロナウイルスへの対策を行う必要もあり、とくに注意が必要となる。夏期の気温・湿度が高い中でマスクを着用すると、熱中症のリスクが高くなるおそれがあるからだ。
また、熱中症により救急搬送者や医療機関を受診する人が増加すると、新型コロナウイルス感染症の対応を行っている医療機関に負荷がかかってしまうため、個々で熱中症予防を行うことは重要となる。
マスクをしていると身体を冷やすのが難しくなる
ヒトは、気温が高くなり体内に熱がこもるようになると汗をかき、呼吸をして冷えた空気を体内に取り込むことで熱を発散し、体温調節を行っている。
しかし、マスクをしていると自分の呼吸により温められた空気しか入ってこないため、呼吸で身体を冷やすことが難しくなる。また、顔の半分ほどがマスクで覆われることで、熱がこもりやすくなる。
さらに、マスクによる加湿で口の渇きを感じにくくなるため、熱中症に気づくのが遅くなり、とくに高齢者では熱中症になるリスクは高まると考えられている。
マスクをはずして休憩をとることも大切
今年は外出を自粛し、家で過ごした時間の多い人が多く、屋外の暑さに慣れておらず、マスクをつけて外出することで体調を崩す可能性もある。
熱中症を予防するために、▼こまめに水分を摂ること、▼室内では冷房を活用し、室内を涼しくすることが重要だ。
日本救急医学会や日本感染症学会など4学会は、「マスク着用により、身体に負担がかかりますので、適宜マスクをはずして休憩することも大切です」と注意を呼びかけている。
「ただし感染対策上重要ですので、はずす際は身体的な距離(2m以上)に配慮し、周囲環境などに十分に注意を払って下さい」としている。
厚生労働省や環境省も、「マスクを着用している場合には、強い負荷の作業や運動は避け、のどが渇いていなくてもこまめな水分補給をこころがけてください。また、周囲の人との距離を十分にとれる場所で、適宜、マスクをはずして休憩することも必要です」と強調している。
8割の人が「暑いけどマスクははずせない」と思っている
第一三共ヘルスケアが、全国の成人500人を対象に4月に実施したネット調査では、コロナ禍により、「暑いと感じるときでも、人目が気になってマスクが外せない」人が75%、「常にマスクをしていなくてはいけないと思っている」人が83%と、多くの人が外出時に、マスクを外してはいけないと思っていることが分かった。
また、9割以上がワクチン接種後も「マスク着用を継続する」と回答。コロナ下で2度目の夏を迎える今年、マスク着用による熱中症のリスク増加が懸念されている。
「マスクをしていると水を飲むこともできませんし、口の渇きを感じにくくなり、知らないうちに脱水になってしまうことも熱中症のリスクを高めてしまいます。自分の感覚を過信せず、決まったタイミングで水分補給をすることが重要です」と、済生会横浜市東部病院患者支援センター長の谷口英喜先生は述べている。
冷房時でも換気を エアコンの温度設定の調整が必要
環境省は2021年4月から、熱中症予防に関する情報「熱中症警戒アラート」を新たに全国で開始した。熱中症警戒アラートは、熱中症の危険性が極めて高い暑熱環境になると予想される日の前日夕方、または当日早朝に、都道府県ごとに発表される。
「発表されている日には、外出を控える、エアコンを使用するなどの、熱中症の予防行動を積極的にとりましょう」と注意を呼びかけている。
熱中症を予防するための8ヵ条
■ 暑いときや体調不良のときは無理をしない |
■ 水分を補給 塩分(ナトリウム)を入れると効率的 |
■ スポーツドリンクに注意 |
■ 体を熱さに慣れさせる |
■ 運動する時間帯に注意 |
■ 準備は十分に 服装に注意 |
■ アルコールを避ける |
■ 薬を飲んでいる人は要注意 |
暑さ指数を意識した熱中症対策が必要
外出時は、天気予報や「暑さ指数(WBGT)」を参考に、暑い日や時間帯を避け、無理のない範囲で活動することが役に立つ。
WBGTとは、熱中症が起きやすい外的環境を知るための指標で、気温だけでなく、湿度や輻射熱を考慮した判断が可能になる。その内訳は気温:湿度:輻射熱が1:7:2であることから、気温だけでなく、湿度や輻射熱をも考慮した判断が可能になる。
気温だけでなく、この暑さ指数(WBGT)を意識した生活指導が必須であり、これを用いた屋外活動の可否判断が重要だ。
WBGTが21度以上では熱中症による死亡事故が発生する可能性があり、運動の合間に積極的に水分補給が必要。28度以上では、激しい運動や持久走などの体温が上昇しやすい運動は避け、31度以上では、運動は原則中止するのが望ましいとしている。小児の場合は、さらに厳格な対応が必要となる。
熱中症になりやすい人には声掛けを
また、小児や高齢者、持病のある人は体温調節機能が弱い「熱中症弱者」として認識する必要がある。これらの人々は熱中症にかかりやすい。周囲にいる者同士が、お互いに注意をし合い、少しでも異常がみてとれたら、熱中症を疑い適切に対処することが重要だ。
・ 高齢者では全身に占める水分の割合が低く、容易に脱水になりやすい。脱水になると発汗の機能が低下し、体温調整が困難となる。・ 小児では汗腺の発達や自律神経が未熟で、高齢者や持病のある方は自律神経の機能が低下しており、体温調節機能が弱い。
・ 身長が低い人は、地面からの輻射熱の影響を受けやすい。
・ 自分で予防する能力が乏しい。
環境省 熱中症予防情報サイト 熱中症のかかりやすさを示す「暑さ指数(WBGT)」を公表している。 |
厚生労働省 熱中症関連情報 熱中症予防に対する取組みや、職場における労働衛生対策などを公開している。 |
スポーツ庁 自宅や屋外で安全に運動をするポイント 新型コロナウイルス感染症の拡大防止と運動・スポーツの実施における留意点などについて情報を提供 |
日本救急医学会 新型コロナウイルス感染症の流行を踏まえた熱中症予防に関する提言 |
熱中症予防 厚生労働省が公開しているポスター
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