ニュース

くるみの摂取で脳の力を高められる アルツハイマー病予防の可能性も

 くるみの摂取によって、脳の力を高められる可能性があるとの研究が、米アンドリューズ大学の研究者らによって行われ、科学誌「British Journal of Nutrition」2011年9月号で発表された。

くるみは、ビタミン、ミネラル、抗酸化物質をバランスよく豊富に含む、健康的なホールフード(未精製・未加工の食品)として注目されている。特にくるみには、ナッツ類では唯一、オメガ3(n-3系)脂肪酸が豊富に含まれている。

 くるみは古くから「ブレインフード(健脳食)」としても知られているが、今回の研究で、くるみが実際に学生の脳の力を高めることが確かめられた。受験生はもちろん、高齢者や仕事で高い集中力を必要とする人たちに向け朗報となりそうだ。

くるみを食べると正誤問題の解答率が高まる
くるみ
 米国ミシガン州アンドリューズ大学の栄養・健康学科の准教授Peter Pribis博士は「若年層がくるみを摂取したときの認知能力への効果」に関する研究を行った。くるみを短期集中的に摂取することで、若年層において記憶力、洞察力(直感)、心的状態(気分)や批判的思考能力の変化があらわれるかを試験した。くるみを食べることで、認知機能が改善するのではないかと考えられたからだ。

 Pribis博士らの研究チームは、アンドリューズ大学の学生64人を対象に試験を行った。参加した学生を2群に分け、ともに1日2切れのバナナブレッドを摂取してもらい、一方は細かく砕いたくるみ入りのバナナブレッド、もう一方はくるみ無しのバナナブレッドを8週間摂取してもらった。さらに、くるみを摂取したグループには、1日当たり1/2カップ(約60g)のくるみを8週間摂取してもらった。

 各学生は短い原稿を読んだ後、5つの文章に対し「正しい、部分的に正しい、間違っている、部分的に間違っている、または判断するのに情報が十分ではない」で答え、「推論的論証能力(inferential verbal reasoning)」を試した。その結果、くるみを摂取したグループでは推論的論証能力が11.2%改善していた。

 「我々はくるみを摂取した学生は批判的思考、特に推論的論証能力が改善したことを発見した」とPribis博士は述べ、「くるみが認知機能に与える影響について理解を深めるのにさらなる研究が必要だ」としながらも、「批判的思考や意思決定を多く伴う分野に携わる学生や若い専門職は、日常的にくるみを摂取すると効果があるかもしれない」と結んでいる。

くるみが脳細胞を保護しアルツハイマー病の発症リスクを抑える可能性
 くるみに含まれるオメガ3脂肪酸は、脳情報伝達に関わる脳細胞膜を構成し、その働きを保つために不可欠で大切な栄養素。栄養バランスの良い食事をとり、オメガ3脂肪酸の血中濃度が高い人では、ジャンクフードを食べる人よりも認知能力テストの成績が良いことを示した研究も発表されている。

 さらに、米国の科学誌「Neurochemical Research」に発表された研究では、くるみ抽出物にアルツハイマー病患者の脳内アミロイド沈着物の主成分アミロイドベータタンパク質(Aβ)が引き起こす酸化ストレスや細胞死から細胞を保護する作用があると報告された。

image
 ニューヨーク州立発達障害基礎研究所・発達神経科学研究室長のAbha Chauhan博士は「健康的な食事の一部としてクルミを食べることは、脳機能の低下を防ぐかもしれない」と話す。

 以前の研究で、活性酸素による酸化ストレスが、アルツハイマー病の発症に重要な役割をもっている可能性があるとの報告があり、これによると、アルツハイマー病の脳で増加するベータアミロイドは、脳細胞を死に導く酸化ストレスを増加させることがあることが示されている。

 「酸化ストレスと炎症は、アルツハイマー病の病態生理における顕著な特徴となる。くるみは栄養密度の高いホールフード(未精製の食品)で、抗酸化物質だけでなく、植物性オメガ3脂肪酸であるアルファリノレン酸(ALA)の供給源にもなる。くるみに含まれるこれらの成分には抗炎症作用があり、脳細胞を酸化ダメージから守る」とChauhan博士は説明する。

 厚生労働省の『日本人の食事摂取基準』(2010年版)では、オメガ3脂肪酸の摂取量の目標値を決めており、1日あたり(18‐29歳)男子で、2,100ミリグラム以上、女子で1,800ミリグラム以上としている。ひとつかみのくるみ(約28g)には2542mgのオメガ3脂肪酸が含まれる(米国農務省データ)。このようなことからも、くるみは毎日食べたい食品と言えよう。

【関連情報】

[soshinsha]

「栄養」に関するニュース

2018年10月17日
日本肥満学会など23学会が「肥満症」の撲滅目指し「神戸宣言2018」
2018年10月17日
魚を食べると大動脈疾患リスクが低下 食べない人では死亡リスクが2倍に
2018年10月10日
たった一晩の「不眠」でメタボや糖尿病に 睡眠を改善するための7ヵ条
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年10月02日
魚のオメガ3系脂肪酸が「不安症状」を軽減 魚を食事療法に活用
2018年09月26日
「全粒穀物」が肥満やメタボを改善 「玄米」を食べやすくする提案も
2018年09月19日
「糖尿病腎症」のリスクは糖尿病予備群の段階で上昇 検査で早期発見を
2018年09月19日
早期乳児の腸管内ビフィズス菌 母親の分娩時の抗菌薬投与で減少
2018年09月14日
2017年国民健康・栄養調査(1) 糖尿病・高血圧・コレステロール 多くの項目で目標未達成
2018年09月14日
2017年国民健康・栄養調査(2) 食事エネルギー量は60歳代が最多 外出しない高齢男性が低栄養に

最新ニュース

2018年10月22日
現役保健指導スタッフと共同制作!「撃退!トリプルリスク」指導箋無料配付キャンペーンのお知らせ
2018年10月22日
【PR】病気を発見するAIや遺伝子検査予防法など最新技術が集結!無料の専門セミナーも多数開催【健康診断・健康管理EXPO】
2018年10月18日
【参加募集中】第6回(2018年度 第2回)産業保健プロフェッショナルカンファレンス テーマ「メンタルヘルス」※定員に達したため、応募を締め切りました
2018年10月18日
帝京大学産業保健プログラム 受講生募集
2018年10月18日
【健やか21】平成30年度「麻薬・覚醒剤乱用防止運動東京大会」(参加申し込み受付中)
2018年10月17日
日本肥満学会など23学会が「肥満症」の撲滅目指し「神戸宣言2018」
2018年10月17日
高齢者の体力が向上 女性の運動離れは深刻 【体力・運動能力調査】
2018年10月17日
母乳で育てた女性は脳卒中リスクが低下 8万人を12年以上調査
2018年10月17日
全身持久力を向上させ高血圧を予防 「身体活動基準2013」で検討
2018年10月17日
魚を食べると大動脈疾患リスクが低下 食べない人では死亡リスクが2倍に
2018年10月15日
パートナー企業とヘルスケア分野でオープンプラットフォーム構築―タニタヘルスリンク
2018年10月15日
厚労省専門委が5歳児虐待死亡事件の検証結果を公表
2018年10月12日
【健やか21】第 77 回日本公衆衛生学会総会 自由集会 ~知ろう・語ろう・取り組もう~
2018年10月10日
「歩幅プラス10cmウォーキング」でロコモ・サルコペニアを防ぐ
2018年10月10日
たった一晩の「不眠」でメタボや糖尿病に 睡眠を改善するための7ヵ条
2018年10月10日
「子宮頸がんワクチン」の効果は高い HPVウイルス感染を90%以上予防
2018年10月05日
乳がん検診に「人工知能(AI)」を導入 マンモグラフィの欠点を克服
2018年10月05日
肺の健康を守るには口の健康から 歯周病が進行すると呼吸機能が急速低下
2018年10月05日
「改正健康増進法成立! 受動喫煙対策を強化」へるすあっぷ21 10月号
2018年10月05日
厚労省が「働く女性の実情」を公表~女性活躍推進法に基づく取組状況を解説
2018年10月05日
「健康なまち・職場づくり宣言2020」2018年の達成状況を報告~日本健康会議
2018年10月04日
【講演会レポート】「10月8日は、糖をはかる日」講演会 「"これからの"血糖コントロール」
2018年10月04日
【回答期限延長(10/30 15:00まで)】「保健師の活動基盤に関する基礎調査」(日本看護協会)
2018年10月04日
【健やか21】若い世代に向けた妊娠・出産に関する普及啓発Webサイト(東京都)
2018年10月03日
【産保PC第5回(2018年度 第1回)レポート】テーマ:保健指導
2018年10月02日
心不全が急激に増えている 「心不全パンデミック」時代の3つの予防法
2018年10月02日
「なぜ運動が良いのか」メカニズムを解明 筋肉ホルモンが心臓を保護
2018年10月02日
魚のオメガ3系脂肪酸が「不安症状」を軽減 魚を食事療法に活用
2018年10月02日
10月は「乳がん啓発月間」 定期的なマンモグラフィ検診は効果的
2018年10月01日
保健指導リソースガイド「よろず相談センター」が誕生
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,558 人(2018年10月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶