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くるみが乳がんのリスクを抑える可能性 くるみは毎日の食事にとりいれたい食品

くるみ
 カリフォルニア くるみ協会は、先頃『ニュートリション・アンド・キャンサー』に発表された研究で、マウスにくるみを食べさせると、乳がんの腫瘍の形成と増殖の両方が遅延することが新たに判明したと発表した。

「くるみ食」で乳がんの発症リスク、腫瘍の個数とサイズも有意に低下
 米国ウェストバージニア州マーシャル大学ジョーン・C・エドワーズ医学部のエレイン・ハードマン博士(Ph.D.)らによるこの研究は、受胎時から離乳期までは母親経由で、その後は餌を直接食べることによって、コーン油を与えた対照群とくるみを加えた試験群が与える影響を一生にわたって比較したというもの。試験で摂取させたくるみの量は、ヒトなら1日約2オンス(約57グラム)に相当する。

 すると、受胎時から離乳期までと離乳後の両期間で、くるみ食を摂取した試験群では、乳がんを発症する率が対照群の半分未満であった。また、腫瘍の個数とサイズも、くるみ食の試験群の方が有意に低下した。

 ハードマン博士によると、「遺伝子解析してみると、マウスとヒトの両方で、乳がんと関連する複数の遺伝子の活性が、くるみ食によって変化することが判明しました」と説明。博士の研究室は、マウスを使った過去の研究で、移植した乳ガンの増殖がくるみの摂取によって遅延することも発見している。*1

全てのがんの30-60%は食事で予防できる
 8人に1人の女性が生涯のうちに浸潤性乳がんにかかると言われるアメリカでは*2とくに、くるみと乳がんに関するこの研究成果は、極めて重要な発見として注目されている。ハードマン博士は、「私たちは今、全てのがんの30-60%が食事で予防できると考えています。私たちが摂るべき健康的な食事とは、健康的だとわかっている食品、すなわち新鮮な野菜と果物、全粒穀類やナッツをたっぷり取り入れたものです。くるみはそのような食事において重要な要素となりえます」と語っている。

くるみは渋皮ごと食べることに意味がある
くるみ
 ハードマン博士は、くるみに含まれる一成分だけではなく、くるみ全体がんに対する効果をもたらすと考えている。「くるみの渋皮を取ってしまったら、同じ効果は得られないでしょう」と博士は述べている。

 さらに、アメリカ癌研究所の栄養学顧問を務めるカレン・コリンズ(M.S.、R.D.、C.D.N.〔理学修士、登録栄養士、認定栄養士〕)は、「個別の栄養素だけでなく、食べ物全体による影響を調べる今回のような研究は重要です。健康的な食品で身体を守るには、そのような食べ方がベストであることも研究でわかっています。例えば、くるみは抗酸化物質、植物ステロール、植物性オメガ3(n-3系)脂肪酸などの身体保護成分が、ぎっしり詰まった栄養密度の高い食品ですが、これらの成分は互いに協調して作用するのです」と語る。

くるみは理想的な食品であると、世界中で注目
 種類の多いナッツ類の中でも、くるみだけが必須脂肪酸であるオメガ3(n-3系)脂肪酸を豊富に含む。オメガ3脂肪酸は「心臓の健康に良い」、「心筋梗塞など心血患を予防する」、「高血圧を予防する」、「血中コレステロール値を下げる」といった効果があることが世界中の研究で報告されている。また、以下のような特徴もあり、健康づくりに役立つ食品として積極的な摂取を勧めている。

  • くるみには必須脂肪酸が豊富に含まれるが、コレステロール値はゼロ。また、動脈硬化などのリスクを高める悪玉脂肪酸であるトランス脂肪酸も含まれていない。
  • くるみひとつかみ42グラム(1.5オンス)に含まれる食物繊維は2.8グラム。消化されやすく肉に代わりうるほど良質な蛋白質は6.5グラムも含まれている。
  • くるみは、抗酸化作用のあるくるみポリフェノールやメラトニン、マグネシウム、カルシウム、各種ビタミンなどをバランス良く含む、理想的な食品として世界中で注目されている。
  • 体内の余分な塩分を排泄する作用があるミネラルがカリウム。くるみ42グラムに含まれるカリウム量は188ミリグラムで、カリウムの供給源としても貴重な食品。

[保健指導リソースガイド編集部]
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