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くるみが心疾患を防ぐ メタボリックシンドロームに対策
2012年04月16日
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪型肥満を共通の要因として高血糖、脂質異常、高血圧が引き起こされる状態を指す。食べすぎや運動不足など、不健康な生活習慣の積み重ねが原因となって起こると言われている。それぞれの危険因子が組み合わさると、心疾患など命にかかわる病気を招く危険性にもつながるので、注意が必要だ。
メタボリックシンドローム対策に何を食べればいいか

くるみで「よい脂肪」を取り入れる
ひとくちに脂肪といっても、「飽和脂肪酸」「n-3系脂肪酸」「n-6系脂肪酸」「コレステロール」などさまざまな種類の脂肪がある。脂肪を構成している要素である脂肪酸は、分子の構造的な違いから飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸に分けられるが、そのうちくるみなどオリーブ油やナッツ類、青魚に多く含まれるものを不飽和脂肪酸という。
くるみは、コレステロール0(ゼロ)であるだけでなく、不飽和脂肪酸の中でも健康効果の高い多価不飽和脂肪酸のn-3系(オメガ3)脂肪酸が豊富に含まれる代表的な食品だ。オメガ3脂肪酸には、血栓(血のかたまり)ができるのを防いだり、血圧を下げたり、中性脂肪を下げるといった、動脈硬化予防の働きがある。心臓病の一因となる動脈硬化は、「血液がドロドロ」になるだけでなく、血管の内壁に血球などが付着して、血管が細くなることで血液が流れにくくなったり、血管自体が硬くなってしまうことが原因。

1日にひとつかみのくるみが心疾患を防ぐ
健康に良いとされるナッツ類のなかでも、植物性オメガ脂肪酸のαリノレン酸を大量に含んでいるのはくるみだけで、100グラムの実にオメガ3脂肪酸が9グラム含まれている。オメガ3脂肪酸は心臓と血管を保護し、メタボリックシンドロームの影響を防ぐためにきわめて重要な役割を果たすと言われている。しかも、血中脂質と血圧によい影響を与え、血液の流れを改善し、組織の炎症反応を防ぐ。
また、オメガ3脂肪酸以外にも、貴重なタンパク質、ビタミン、マグネシウムや銅などのミネラル、食物繊維、そして抗酸化作用をもつさまざまな生理活性物質など、健康に役立つ栄養素がたっぷり含まれる。くるみはバランスのとれた適切な食生活を実現するのにとても役立つのだ。
英国王立化学会の「Food & Function」誌に発表された米スクラントン大学の最新の研究によると、くるみには豊富な「抗酸化物質」が含まれていることが明らかになったという。研究者で論文の著者であるJoe Vinson博士は、くるみに含まれる抗酸化物質の含有量と質、すなわち効力は、ナッツの中で最高であることを発見し、「ひとつかみのくるみは、他のひとつかみのナッツに比べてほぼ2倍の抗酸化物質量がある」と述べている。

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