野菜や大豆、魚、海草、キノコ類、緑茶などを好んで食べている健康的な食生活の人は、そうでない人に比べ、自殺リスクが半分になるとの調査結果を国立国際医療研究センターなどの研究チームが発表した。
研究チームは、1990年と1993年に岩手、秋田、長野、東京、茨城、新潟、大阪、高知、長崎、沖縄に在住していた40~69歳の男女約9万人を、平均8.6年追跡して調査した。期間中に249人が自殺した。
研究チームは、134種類の食品や飲み物について、どれぐらいの頻度で摂取するかを対象者に質問し、食事パターンを次の3種類に分類した。
(1)「健康型」 野菜や果物、いも類、大豆製品、キノコ類、海そう類、脂の多い魚、緑茶などを摂取
(2)「欧米型」 肉類・加工肉、パン、果物ジュース、コーヒー、ソフトドリンク、マヨネーズ、乳製品、魚介類などを摂取
(3)「伝統型」 ご飯、みそ汁、漬け物、魚介類、果物などを摂取
「健康型」の食事をする傾向の強さに応じて対象者を4つのグループに分け、自殺との関連を調べると、傾向がもっとも強いグループはもっとも弱いグループと比較し、自殺リスクが男性では0.47倍、女性では0.46倍に低下していたことが判明した。
一方で、「欧米型」と「伝統型」の食事パターンの人では、自殺リスクとの関連はみられなかったが、欧米型の食事スタイルをもつ人では自殺リスクが最大で1.22倍に上昇する傾向が示された。
もともとうつ傾向のある人は、食事パターンや自殺リスクがうつによって影響を受けている可能性があるという。そこで、研究チームは、うつ傾向の指標として精神的ストレスの強さで分けて調べた。その結果、精神的ストレスが低いまたは中程度の群では、健康型食事パターンは自殺リスクの低下と関連していたが、精神的ストレスが高い群ではこのような関連はみられなかった。
今回の研究では、男女ともに、野菜や果物、いも類、大豆製品、キノコ類、海草類、脂の多い魚、緑茶などが関連した健康型食事パターンにより自殺リスクが低下するという結果が得られた。
その理由として、この食事パターンのスコアが高い群では、葉酸や抗酸化ビタミン(ビタミンCやカロテン)の摂取が多いことが影響している可能性がある。葉酸や抗酸化ビタミンは、自殺の危険因子として知られているうつに対して予防的に働くことが報告されており、食事パターンとして総合的にみることで、これらの栄養素の相乗効果も期待できるという。
この研究は、がんや脳卒中、心筋梗塞などの病気と生活習慣との関係を調査しているコホート(集団)研究「JPHC研究」の成果のひとつだ。過去の研究では、1日の飲酒量が日本酒換算で3合以上の多量飲酒をしている人で自殺が多いことや、たばこを吸う人で1日の喫煙本数が多い人で自殺が多いことなども明らかにしている。
多目的コホート研究「JPHC Study」(独立行政法人国立がん研究センター)