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生活習慣病予防のための効果的な"和食生活"とその指導

 日本生活習慣病予防協会は、「生活習慣病予防のための効果的な"和食生活"とその指導」セミナーを4月14日に都内で開催、医療・保健指導従事者など243人が参加した。

 生活習慣病とはその名の通り、ふだんの生活の中でさまざまな不健康な生活習慣が引き起こす疾患の総称。なかでも、がん、心臓病、脳卒中は、日本人の三大死因でもある。総務省がこのほど発表した推計人口によると、65歳以上の高齢者(老年人口)は25%を超えた。高齢になると増える生活習慣病に対策することが、ますます必要とされている。

 池田義雄・日本生活習慣病予防協会理事長は、現代の日本人の健康の秘訣として、「一無、二少、三多」を提唱している。一無は「無煙・禁煙の勧め」、二少は「少食・少酒の勧め」、三多は「多動・多休・多接」を意味する。多動は「体をできるだけ動かす」、多休は「休息・睡眠を十分にとる」、多接は「多くの人や物と接し活力のある生活をする」ことだ。

「一無、二少、三多」で生活習慣を改善
 東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センターの和田高士教授は、「健康習慣"一無、二少、三多"が説く生活習慣病を予防する食生活」と題し講演した。

 和田教授は、生活習慣病には、原因以外にも共通点があると指摘する。「それは、自覚症状がほとんどないままに、じわじわと進行する点です。発熱や腰痛などのように、症状がはっきりあらわれる病気もありますが、生活習慣病はそうではありません。症状がはっきりしないので、ついつい受診が遅くなり、病状を悪化させてしまいがちです」。

 したがって、予防するために、日頃から自分の健康状態を把握しておく必要がある。そのきっかけになるのが健康診断だ。生活習慣病の三大要因である高血圧・高血糖・脂質異常症に相当しないかどうか、定期的な確認が必要になる。

 和田教授は人間ドックを受診した約9,500人を7年間、追跡して調査した。「一無、二少、三多」の6つの生活習慣の実行数によって、「少実践」「中実践」「多実践」に分け、診断基準にそってメタボリックシンドロームの発症率を調べた。その結果、「一無、二少、三多」を多く実践している群ほどメタボの頻度が減少する傾向がみられ、6つすべてを実行している場合は、全く行っていない場合に比べ、メタボリックシンドローム発症の比率に3倍の開きがあることを明らかにした。

 「糖尿病や高血圧、脂質異常症などの生活習慣病は、何年もかかって進行するケースが少なくありません。しかし、これらの病気も早期に芽をみつけて治療を始めれば、進行をくいとめることも治癒することもできます。そのために、人間ドックや健康診断(健診)を活用し、病気のいち早い発見に努めていくことが大切です」と、和田教授は強調した。

 健診は受けっぱなしでは意味がない。健診結果を受け取っても、さっと見てあとは引き出しにしまっておくだけでは、受けないのと変わらない。健診で体をチェックし、異常がみつかったならそれを治療していく必要がある。

 「治療は、薬物療法に限られるものではありません。"一無、二少、三多"を実行し、生活習慣を改善することで、効果を期待できるものも少なくありません。合併症を引き起こし、生活に支障が出る前に、予防に努めてください」。

「金芽米」の体調改善効果
 「健康のために免疫力を上げる」とよく言われるが、近年、免疫には感染症、認知症、メタボリックシンドロームやアレルギー、がんなどに対する予防改善効果など、身体の健康を維持するメカニズムとしての重要な役割があることが解明されてきている。これには、体中に分布するマクロファージ細胞(身体の異物を排除する機能がある食細胞)が大きく貢献している。

 香川大学医学部の稲川裕之准教授は「免疫力を強化して健康寿命をのばす」をテーマに講演し、「LPSを多く含む食品を食べれば、マクロファージを活性化させ、自然治癒力を高めることにつながる」と説明した。

 亜糊粉層は、米のヌカ層とでんぷん層との境目にある層で、従来の精米法ではヌカと一緒に取り除かれてしまうため、普通の白米には残っていない。また、玄米には含まれているが、残っているヌカ層の食味や消化が良くないことから、あまり食べられていないのが現状だ。

 「金芽米」はこの亜糊粉層を残しながら精白した米で、普通の精白米よりも食味が良いだけでなく、約6倍のLPSが含まれている。金芽米を食べている人から、さまざまな体調改善の効果が報告されており、精白米の状態で栄養分と食味が両立されている金芽米は、健康機能の面で各方面で注目されている。

 金芽米は普通白米に比べ、ビタミンB1・Eが約2倍、食物繊維が約1.5倍含まれ、腸内環境を整える糖質も多く、マルトースは約60倍、オリゴ糖は約12倍含まれる。

 無洗米を開発し、さらに金芽米の開発者でもある東洋ライスの雜賀慶二社長は、「金芽米を食べ続け、その免疫効果のせいか、元来病弱であったにもかかわらず、風邪もひかなくなった」と、80歳を超えて第一線で活躍している秘訣を熱く語った。また、「医食同源を通じて、食の分野で健康な暮らしのために今後も貢献していきたい」と抱負を述べた。

金芽米
金芽米」は、栄養とおいしさを両立した健康志向のお米だ。新しい精米方法によって、玄米の「健康成分」と「旨味」を残して精米してあるのが特徴となる。
金芽米について詳しくはホームページで紹介されている。
» 金芽米の健康効果情報
日本人の食事摂取基準 2015年版
 最後に、東京女子医科大学病院栄養管理部の柴崎千絵里氏は「食事バランスで健康づくり」をテーマに講演。柴崎氏は、医療機関で長年、栄養指導に取り組んでいる経験をもとに、食事療法の未来像について語った。

 厚生労働省このほど、健康増進法にもとづき国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギーや栄養素の量の基準を定めた「日本人の食事摂取基準」の2015年版を策定した。

 主な改定のポイントは以下の通り――
(1)策定目的に、生活習慣病の発症予防とともに「重症化予防」を加えたこと。エネルギー・栄養素と生活習慣病(高血圧、脂質異常症、糖尿病、慢性腎臓病)の発症予防・重症化予防の関連についてレビューを行い検討した。
(2)エネルギーの摂取量および消費量のバランス(エネルギー収支バランス)の維持を示す指標として、体格指数(BMI)を採用した。さらに、成人期を3つの区分に分け、目標とするBMIの範囲を提示。肥満とともに、特に高齢者では低栄養の予防が重要とした。
(3)生活習慣病の予防を目的とした「目標量」を提示した。ナトリウム(食塩相当量)については、高血圧予防の観点から、男女とも値を低めに変更。18歳以上の男性では、1日9.0g未満から8.0g未満に、18歳以上女性では7.5gから7.0gにより厳しくした。

食事の問題を解決する食事指導 管理栄養士はQOL向上のパートナー
 高血圧や2型糖尿病などの生活習慣病を発症し、食事療法に取り組む人は増えている。管理栄養士の役割は、生活習慣病の治療や予防で注目されている。一人ひとりの患者の栄養バランスを考慮することはもとより、患者のQOL(生活の質)の向上を実現するパートナーとなる。

 食事療法が身に付き、うまく血圧や血糖などをコントロールできている人がいる反面、懸命に食事療法に取り組んでいても、思ったように効果が上がらない、何をどう改善すればいいのかよくわからない、と感じている人も少なくない。こうした食事療法の問題点を管理栄養士とともに解決するのが「栄養指導」だ。今日の栄養指導は、患者一人ひとりの生活に合わせて、無理のない方法を見出し、実現させることだ。

 管理栄養士は「いつ食べるのか」、「何を食べるのか」、「どのくらいのスピードで食べるのか」、「どのような雰囲気で食べるのか」といったことを尋ねる。夕食の見直しからのアプローチが有効であることも多い。

 また、食事や間食だけでなく、起床や就寝時間、就労時間や仕事の種類、家庭での過ごし方、薬を処方されている場合は、その種類と量など、具体的に1日をどのように過ごしているかをもとに、それぞれの患者の日々の生活をいっしょに検証しながら、食事や生活習慣の問題点を探る。そして患者のそれぞれの生活に合わせて、まずは簡単に取り組むことができそうなことから提案していく。

 「食事が楽しくなれば、病気と向き合う気力も高まります。ご自分の生活に合った食事療法で、適正な体重と良好なコントロールが得られれば、さらに前向きな生活を送ることができると思います」と、柴崎氏は話す。

 生活習慣病の治療には、食生活を中心とした生活習慣の改善が不可欠だ。生活習慣病に向き合うときに、管理栄養士の活躍が期待される。管理栄養士は、医療に関わるプレーヤーの中で、正にアーティストといった存在だ。

医療・保健指導従事者のための生活習慣病予防特別セミナー
「生活習慣病予防のための効果的な"和食生活"とその指導」

日時:2014年4月14日(月)
場所:野村コンファレンスプラザ日本橋 大ホール
プログラム:
■ ご挨拶:一般社団法人日本生活習慣病予防協会理事長 池田義雄
■ 基調講演:『健康習慣"一無、二少、三多"が説く生活習慣病を予防する食生活』
日本生活習慣病予防協会専務理事/東京慈恵会医科大学総合健診・予防医学センター教授 和田高士
■ 特別講演(1):『免疫力を強化して健康寿命をのばす!
 ―亜糊粉層とマクロファージの機能・研究成果紹介―』
香川大学医学部統合免疫システム学准教授 稲川裕之
■ 特別講演(2):『マクガバンレポートが示唆するもの』
東洋ライス株式会社代表取締役社長 雜賀慶二(金芽米の開発者)
■ 生活習慣病改善指導士・柴崎千絵里からの質問コーナー
『生活習慣病予防の食事指導とごはん食の活用』
同上 雜賀慶二
東京女子医科大学病院栄養管理部 柴崎千絵里
■ まとめ:食事バランスで健康づくり
同上 柴崎千絵里
主 催:一般社団法人日本生活習慣病予防協会
後 援:認定NPO法人 セルフメディケーション推進協議会
特別協賛:東洋ライス株式会社

[Terahata]
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