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犬とのふれあいが愛情ホルモンを刺激 うつ病や認知症の治療に応用

 人と犬がふれあうことで、「愛情ホルモン」であるオキシトシンの分泌が増えるという研究が発表された。犬などの動物を使った「動物介在療法」を、うつ病や認知症の改善、がん治療などで活用する動きが出てきた。

 動物とのふれあいから生まれるさまざまな効果が医療や福祉、教育の現場で活用され始めている。「動物介在療法」と呼ばれるこれらの活動では、うつ病や認知症の改善、社会的機能や身体的機能の向上など、治療を受ける人に合わせた治療目的を設定し、治療効果の検証が行われている。
犬と見つめ合うことで「愛情ホルモン」の分泌が活発に
 犬と人間が互いの目を見つめ合うことで、双方にオキシトシンの分泌が促進されるとの研究論文を、麻布大学動物応用科学科などの研究チームが米科学誌「サイエンス」に発表した。オキシトシンは視床下部から分泌されるホルモンで、生殖と成長に深く関わるホルモンとして注目されている。

 オキシトシンは、母性の目覚めや、愛情・友情・信頼などの感情に関与しているとされ、優しくなでたり、抱き合ったりといった皮膚接触によって分泌が増えることが知られており、「愛情ホルモン」とも言われている。

 これまでの研究では、母親が赤ちゃんの目を見つめることで、オキシトシン生成が促進され、愛情、保護、親近感などの感情がわき上がることが示されていた。今回の研究では、犬と人間のアイコンタクトを通じ、オキシトシンの分泌が高まることが判明した。

 実験の対象となったのは、一般家庭で飼われているイヌとその飼い主30組。飼い主をよく見つめるグループと、あまり見つめないグループそれぞれに分けて、イヌと飼い主との交流によって尿中のオキシトシン濃度がどのように変化するかを調べた。

 犬によく見つめられた飼い主8人は、見つめられる時間が短かった22人と比べてオキシトシンの濃度の上昇が大きかった。飼い主が犬にふれる時間が長いほど、犬のオキシトシンの濃度は上がる傾向にあった。

 「イヌの視線がアタッチメント(愛着)行動として、飼い主の脳内でオキシトシンの分泌を促進する。それによって促進した相互のやりとりは犬のオキシトシン分泌も促進する」と、研究者は説明している。

動物介在療法でうつ病や認知症、がんの治療を向上
 米国では犬などのペットを飼っている家庭は7,100万世帯に上る。カリフォルニア大学ロサンゼルス校の動物介在療法プログラムによると、ペットを飼っている人は、そうでない人に比べ、うつ病や気分障害を発症する割合が低いという。うつ病の高齢者が動物にふれあうことで、症状が軽減されることも確認された。

 犬などの動物にふれることで、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が減少し、脳内の神経伝達物質であるセロトニンが増え、さらには心拍数や血圧が下がる効果を得られるという。

 ニューヨーク市のベス イスラエル医療センターが行った研究では、治療を受けているがん患者が犬などの動物にふれあうことで、メンタル面が安定するようになり、生活の質が向上することが確認された。

 研究には頭頚部がんを発症した37人の患者が参加した。参加者はストレスの大きい化学療法と放射線療法を受けていたが、1回15~20分の犬とふれあう時間を作ることで、6週間後に感情的な充足度が向上したという。

 また、米国のメリーランド大学が行った研究では、犬とのふれあいを続けることが、認知症患者のメンタルヘルスと身体機能の維持・向上に効果があること分かった。40人の認知症の高齢者を対象としたこの研究では、犬との定期的な交流を含む動物介在生活プログラムを実施した後、うつの症状が軽減されることが分かった。

 この研究では、犬とふれあう60分~90分のセッションを毎週2回、3ヵ月にわたって実施。ペットを介在したプログラムによって、メンタル面だけでなく身体機能の向上もみられる傾向が示されたという。

ヒトとイヌの生物学的絆を実証(麻布大学 2015年4月17日)
UCLA People-Animal Connection(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)
ベス イスラエル医療センター

[Terahata]

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