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睡眠薬の処方実態が明らかに 50歳代の6%以上に睡眠薬が処方

 成人の30%以上が不眠症状をもち、50歳代の6%以上が睡眠薬を処方されていることが、健康保険組合の加入者19.1万人分のビックデータ解析により明らかになった。
 更年期の女性の半分が睡眠に関する症状をもっているが、実際に睡眠薬を服用しているのは20%以下であることが示された。

 インテージテクノスフィアは、2015年12月1日の労働安全衛生法改正による「ストレスチェック制度」の開始を受け、健康保険組合の加入者を対象とした働き盛り世代のメンタル関連疾患と睡眠薬の実態調査を実施した。

 調査は、健康保険組合の健康情報データ(特定健診・レセプト)の匿名化されたデータをもとに分析したもので、2013年4月~2015年3月に医療機関にかかった20~69歳の19.1万人を対象にメンタル関連疾患と睡眠薬の処方について調べた。
健康保険組合の加入者を対象に睡眠薬の実態を調査
 不眠症は罹患頻度の高い代表的な睡眠障害のひとつで、成人の30%以上が入眠困難、中途覚醒、早朝覚醒など、いずれかの不眠症状をもち、6~10%が不眠症に罹患しているとされる。

 不眠は、眠気、倦怠感、集中困難、抑うつや不安などさまざまな精神・身体症状を伴うことが多く、長期欠勤や生産性の低下、産業事故の増加、医療費の増加など、人的・社会経済的損失をもたらすことが明らかになっており、特に働き盛り世代の不眠症治療は重要だ。

 調査では、年齢別の睡眠薬の処方率は、40~44歳で4.6%、45~49歳で5.2%、50~54歳で6.3%、65~69歳で9.4%と、加齢とともに高くなることが分かった。

 また、睡眠薬を処方された人のうち、処方期間が1ヵ月以内の割合が46.5%、また3ヵ月以内は74.6%に上ることが分かった。睡眠薬により、不眠症が長期化せずに改善する人が多いことが示された。
働き盛り世代の8割がベンゾビアゼピン系の睡眠薬が処方されている
 睡眠薬の薬剤タイプは、短時間作用型(ベンゾジアゼピン系)が54.4%ともっとも多く、超短時間型、中間作用型、長時間作用型とあわせると、78.3%はベンゾビアゼピン系が処方されていた。

 ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、脳の神経活動を全般的に抑えることで眠りやすくする薬で、日本では約50年前から使われている。種類が多く、作用の持続時間が短いものから長いものまであるが、ふらつきなどの副作用が出やすく、やめにくいという問題点がある。

 これに対して、非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬は、不眠の改善作用に特化して、ふらつきや転倒の危険性が緩和されている。

 ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、薬の効果(ベネフィット)に対して副作用などのリスクが多いとされている。厚生労働科学研究班と日本睡眠学会のワーキンググループがまとめた「睡眠薬の適正使用・休薬ガイドライン」では、高齢者には非ベンゾジアゼピン系睡眠薬のみが推奨されている。

 「働き盛り世代の不眠症では、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬など、より認容性の高い睡眠薬の使用が望まれます。睡眠薬に対する不安や誤解も根強く残っていますが、睡眠薬は服用し続けるものではありません。ガイドラインでも、不眠症診療の出口を目指した治療が推奨されおり、不眠症が治れば睡眠薬を止める時代になっています」と、今回の調査を監修した東京慈恵会医科大学 精神医学講座の小曽根基裕氏は言う。
うつ病の人の9割に不眠の症状があらわれる
 うつ病と睡眠の関係は深く、うつ病患者の約90%に症状として不眠がみられる。逆に、不眠症を訴える患者でもうつ病は高頻度にみられ、慢性不眠症はうつ病の発症リスクを約2倍高めることが知られている。

 抗うつ薬と睡眠薬を併用している群と睡眠薬を併用していない群とで抗うつ薬の減量達成率を比較したところ、睡眠薬併用群での減量達成率は30.2%にのぼり、併用していない群の減量達成率17.8%を大きく上回った。うつ病治療の際には、抗うつ薬に加えて睡眠薬を併用することで、抗うつ薬を減量できる可能性が高いことが判明した。

 また、うつ病治療後にも不眠はもっとも頻度が高い残遺症状となることが多い。残遺症状はうつ病の再発リスクを3~6倍高め予後を悪化させる大きな要因となるため、睡眠薬を併用する治療がガイドラインでも推奨されている。

 調査では、うつ病の治療時から睡眠薬を併用していない割合は52.6%、睡眠薬を併用しており抗うつ薬の終了と同時に睡眠薬も終了した割合が29.9%。残りの17.4%は、抗うつ薬終了後にも睡眠薬の処方を継続していた。

 「調査結果では、睡眠薬を併用した方が抗うつ剤の減量達成率が高く、うつ病治療とあわせて不眠症状の早期治療に取り組むことが必要であることが示されました。不眠症状がある場合は、慢性化する前に、専門の医師へ受診することをお勧めします」と、小曽根氏はアドバイスしている。
更年期女性の不眠はうつ・不安との関係が強い
 更年期に入った女性では、のぼせ、ほてり、めまい、肩こりなど、いわゆる更年期障害と呼ばれる心身の不定愁訴があらわれる。更年期障害の女性では、ほてり、のぼせ、発汗などの症状と同様に、「入眠障害」や「中途覚醒」といった睡眠に関する症状も高頻度に出現することが知られる。

 更年期にあたる世代の女性は、仕事や家庭環境による社会的ストレスの影響から、更年期症状のなかでも不眠の頻度が高く、約半数で不眠がみられるという。

 更年期障害の治療を受けている40~65歳の女性を対象とした解析では、睡眠薬の処方割合は55~59歳で24.1%ともっとも多かったが、45~49歳で16.9%、50~54歳で19.5%と、いずれも20%を下回った。

 40~64歳までを平均すると19.8%で、更年期の女性の多くが睡眠に関する症状を抱えていることを考えると、適切な薬物治療を受けていない女性が多いことが窺える結果になった。

 「更年期障害と不眠症を併せて治療している患者は約20%に留まりましたが、更年期女性の不眠はうつ・不安との関係が強いため、併せて治療を行うことが重要です」と、小曽根氏は指摘している。
インテージテクノスフィア
睡眠薬の適正な使用と休薬のための診療ガイドライン(日本睡眠学会)
[Terahata]

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