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「がん」は健康な生活スタイルで本当に減らせるか? 30年の調査結果
2016年04月20日
がんは日本人の死亡原因の1位になっている。がんの治療法は進歩しているが、まずは「がんの発症を予防すること」が望ましい。イスラエルの研究グループが、生活習慣とがんの罹患率との関連を30年にわたり調査し、がんを効果的に予防するための生活スタイルを提案している。
健康な生活スタイルがんを減らす がんリスクが37%低下
長年の食習慣がん発症リスクに大きく影響することが、イスラエルのテルアビブ大学の研究グループによって明らかになった。研究は医学誌「ニュートリション アンド キャンサー」に発表された。
研究チームは、40~70歳の男女632人を対象に、がん検診とともに、採血を行い血圧や血糖値、コレステロール値などを検査し、24時間の食事の内容や運動習慣などの調査を行った。調査は1982年に開始され、平均24.2年間続けられた。
調査期間中に146人(24%)がんを発症。食事内容などの生活習慣に関する解析を行ったところ、野菜を多く摂取しているグループでは、ほとんど摂らないグループに比べて、全がんリスクが38%も低いことが判明した。
また、乳製品を多く摂取しているグループでは、ほとんど摂らないグループに比べて、大腸がんリスクが3倍に上昇した。果物を摂り過ぎているグループでも、がんリスクは1.6倍に上昇していた。
研究チームは調査結果をもとに、がんを防ぐ生活習慣や生活スタイルとして、次のことを勧めている。全てを遵守している人では、全がんリスクが37%低下するという。
がんを予防するための生活スタイル
・ BMI(体格指数)を正常範囲にコントロールする
肥満とがんは関連がある。体重を適正な範囲に管理することで、がんだけでなく、糖尿病、高血圧、脂質異常症などのリスクも減らせる。 ・ 喫煙しない、たばこを吸う人は禁煙を
喫煙は、肺がんだけではなく、他の多くの部位のがん(口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部)のリスクを確実に上げる。 ・ 野菜と食物繊維の摂取を増やす
野菜の摂取量が多い人では、がんの発症リスクが低下することが分かっている。逆にハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉の摂り過ぎは、大腸がんなどのリスクを高める。 ・ 運動を習慣として行う
ウォーキングなどの運動を1日30分以上、週に5日以上行い、日常生活の中で活動的になろう。運動量が多いと、がんだけでなく心疾患の死亡のリスクも低くなることから、死亡全体のリスクも低くなる。
「がんを予防するために生活スタイルを改善することは大変に重要です。すべてを実行するのは大変ですが、1つひとつを改善すれば、低コストで時間もかからず、負担が少なくて済みます。がんだけでやく、高血圧や糖尿病、脂質異常症の予防・改善にも役立ちます」と研究者は述べている。
Healthy Lifestyle Pattern is Protective Against 30-Yr Cancer Incidence in Men and Women: A Cohort Study(Nutrition and Cancer 2016年3月23日)
関連する法律・制度を確認>>保健指導アトラス【がん対策基本法】
肥満とがんは関連がある。体重を適正な範囲に管理することで、がんだけでなく、糖尿病、高血圧、脂質異常症などのリスクも減らせる。 ・ 喫煙しない、たばこを吸う人は禁煙を
喫煙は、肺がんだけではなく、他の多くの部位のがん(口腔、咽頭、喉頭、食道、胃、膵臓、肝臓、腎臓、尿路、膀胱、子宮頸部)のリスクを確実に上げる。 ・ 野菜と食物繊維の摂取を増やす
野菜の摂取量が多い人では、がんの発症リスクが低下することが分かっている。逆にハム・ソーセージ・ベーコンなどの加工肉の摂り過ぎは、大腸がんなどのリスクを高める。 ・ 運動を習慣として行う
ウォーキングなどの運動を1日30分以上、週に5日以上行い、日常生活の中で活動的になろう。運動量が多いと、がんだけでなく心疾患の死亡のリスクも低くなることから、死亡全体のリスクも低くなる。
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