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精神障害の請求件数が過去最多に―過労死等の労災補償状況

 厚生労働省はこのほど、平成27年度の「過労死等の労災補償状況」を取りまとめ、公表した。このうち精神障害の労災補償状況では請求件数が1,515件と過去最多。業種別では「医療・福祉」での請求が多く、職場環境や過労の影響が懸念される。

 厚生労働省は平成14年から過労死等による労災請求件数や、「業務上疾病」と認定し労災保険給付を決定した支給決定件数などを年に1回、とりまとめている。具体的には過重な仕事が原因で発症した脳・心臓疾患や、仕事による強いストレスなどが原因で発症した精神障害についてで、死亡や自殺の状況についても明らかにしている。

 平成27年度の脳・心臓疾患に関する事案の労災補償状況は、請求件数795件(うち死亡283件)のうち労災の支給決定件数は251件(うち死亡96件)。

 業種別の請求件数を比べると、「運輸業、郵便業(道路貨物運送業)」が133件と最も多く、ついで「建設業(総合工事業)」が48件、「サービス業(その他)」が45件と続いた。職種別で見ても「輸送・機械運転従事者(自動車運転従事者)」が153件と最も多く、2番目に多い「販売従事者(営業職業従事者)」の54件に大きく差をつけている。

 一方、平成27年度の精神障害の労災補償状況では、請求件数1,515件のうち自殺(未遂を含む)したのは199件。このうち93件に労災が認定され、前年比6件減だが過去2番目に多い数となった。

 請求件数を業種別にみると「医療・福祉」分野の「社会保険・社会福祉・介護事業」が157件、「医療業」が96件と他分野に比べて多い。ただ労災の支給決定件数では「運輸業、郵便業」の「道路貨物運送業」が36件と最も多かった。

 年齢別では40代からの請求が459件(うち自殺58件)と最も多く、うち支給決定件数は147件(うち自殺34件)。次いで多かったのは30代だが、50代での請求件数が287件と前年比70件増になったのは注目すべき点である。

 また精神障害のきっかけとなった出来事としては多い順に「上司とのトラブルがあった」、「仕事内容・仕事量の(大きな)変化を生じさせる出来事があった」)、「(ひどい)嫌がらせ、いじめ、又は暴行を受けた」だった。

平成27年度過労死等の労災補償状況(厚生労働省 2016年6月24日)
[yoshioka]
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