ニュース
「ポケモンGO」を糖尿病の運動療法に活用 運動不足を解消できる
2016年08月03日
熱狂的な流行を巻き起こし社会現象となっている「ポケモンGO」は、糖尿病の運動療法に活用できると、英国のレスター大学が発表した。「運動不足を解消する画期的な解決策になる」と研究者は指摘している。
ウォーキングはもっとも基本的な運動
「ポケモンGO」は、スマートフォン向けゲームアプリで、部屋にこもりがちな人々を外に連れ出すことに成功し、社会現象を起こしている。
スマートフォンなどの情報端末は、自らの位置を知らせる位置登録システムが付いているものが多い。「位置情報ゲーム」は、スマートフォンなどの位置登録情報を利用したゲーム。位置登録で得られる位置情報によってゲームを進めていく。
「ポケモンGO」をプレーすると、スマートフォンの画面上に地図が表示され、その地図上にさまざまな情報が表示される。外出しないとスマートフォンに表示されるモンスターを捕まえられない、ポケストップに行かないとアイテムを獲得できない仕組みになっている。
その効果は抜群で、「ポケモンGO」を始めると1日に数kmを歩くようになる。歩けば歩くほど、経験値が上がり、モンスターを多く捕らえられ、レベルを上げるチャンスを得られる。
「自宅で過ごすときは、テレビの前の椅子やソファーに座ったままでいるという人が多くいます。ゲームが、立ち上がって外出して、ウォーキングを始めるきっかけになれば、運動療法をサポートする"革新的な解決策"となる可能性があります。ウォーキングはもっとも基本的で気軽に実行できる運動ですが、過小評価されています」と、英国のレスター大学糖尿病センターのトム イエイツ氏は言う。
2型糖尿病患者の80~85%が運動不足
気が付かないうちに長時間のウォーキングが可能に
「ポケモンGO」の配信は、はじめに米国、オーストラリア、ニュージーランドで開始され、英国、カナダ、日本でも始められた。世界中で数百万人がプレイしており、子供だけでなく大人も巻き込んで、熱狂的にプレイされている。
英国のマーケット ハーバラに在住しているトム ブース氏は45歳。2型糖尿病であり主治医から運動を勧められているが、社交不安障害もあり、運動を続けるのが困難だった。
「最初はポケモンGOは子供向けのゲームと思っていましたが、流行っているので興味をもち、ダウンロードしてみました。その効果は驚くほどでした。ただのゲームだと思っていたのに、気がつくと夢中になり数kmを歩いていました。こんなことは、この数年ではじめてのことです」と、ブース氏は言う。
「家に帰ると、体は疲れ切っていました。しかし、外に出てウォーキングをして、気が付かないうちに長時間、運動するのは、素晴らしい体験です」と、ブース氏は語っている。
「ポケモンGO」の下地とっなった「イングレス」という位置情報ゲームの特徴は、外出しないとプレーできないこと。街に点在するポータルと呼ばれる場所を攻略することが基本であり、ゲームに使うアイテムもポータルから獲得するため、とにかくポータルをめぐってよく歩くようになる。
こうした位置情報ゲームが作られたのは、開発者が晴れた日に家の中でゲームばかりしている我が子を見て、「なんとか外に連れ出す方法はないか」と思ったのがきっかけになっているという。
「座ったまま過ごす時間をなるべく減らし、体を動かし運動をする時間を増やすことは重要です。1日に30分間の運動をしても、残りの23時間30分をじっとして過ごしていたら、あなたの健康状態と活力を改善するためには不十分なのです。ゲームをきっかけに運動量を増やせれば、効果的な解決策なとる可能性があります」と、イエイツ氏は述べている。
Pokémon Go could ease Type 2 diabetes burden(レスター大学 2016年7月25日)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「運動」に関するニュース
- 2024年04月23日
- 生鮮食料品店が近くにある高齢者は介護費用が低くなる 自然に健康になれる環境づくりが大切
- 2024年04月22日
- 運動が心血管疾患リスクを23%低下 ストレス耐性も高められる 毎日11分間のウォーキングでも効果が
- 2024年04月22日
- 職場や家庭で怒りを爆発させても得はない 怒りを効果的に抑える2つの方法 「アンガーマネジメント」のすすめ
- 2024年04月16日
- 座ったままの時間が長いと肥満や死亡のリスクが上昇 ウォーキングなどの運動は夕方に行うと効果的
- 2024年04月15日
- 血圧が少し高いだけで脳・心血管疾患のリスクは2倍に上昇 日本の労働者8万人超を調査 早い段階の保健指導が必要
- 2024年04月15日
- 気候変動による気温上昇が健康リスクを上昇 脳卒中も増加 エアコンを使い高温に対策
- 2024年04月15日
- 自宅で運動に簡単に取り組めるシステムを開発 オンライン運動指導も効果的に 筋⾁を増やし⾜を強くする効果
- 2024年04月08日
- 子供の頃から肥満対策が必要 学校で座りっぱなしの時間が減ると子供の肥満は改善 早期介入が効果的
- 2024年04月08日
- ウォーキングと筋トレを組み合わせると運動の効果は大幅に向上 筋トレはメンタルヘルス改善にも有用
- 2024年04月01日
- 「都市の緑化」はメンタルヘルスを向上 睡眠が改善しストレスやうつ病も減少 緑を増やすと熱中症対策にも