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長時間の昼寝で糖尿病リスクが増加 昼寝が60分続くときは要注意
2016年10月06日

「昼寝」は世界共通の習慣だが、睡眠時間や頻度はさまざまだ。昼寝と2型糖尿病の発症リスクの関連を検討した研究が、9月16日に欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会で発表された。昼寝の時間が短いと糖尿病リスクは低下する傾向があるが、1時間以上続くとリスクは45%上昇するという。
長時間の昼寝で2型糖尿病発症リスクが増加
睡眠は食事、適度な運動とともに健康な生活の重要な要素のひとつで、夜間睡眠時間と2型糖尿病の発症リスクには関連があることが知られている。
一方、日中の昼寝と2型糖尿病リスクについては不明の点が多い。そこで東京大学大学院医学系研究科糖尿病・代謝内科の山田朋英氏らは、昼寝と糖尿病の関連を調べた21件の研究から、アジアや欧州の30万7,237人のデータをメタ解析した。
その結果、昼寝時間と2型糖尿病発症リスクには関連がみられることが判明した。昼寝の時間が1時間以上続くと、2型糖尿病リスクは45%上昇するという。
1時間未満の昼寝は糖尿病発症リスクと関連がみられず、昼寝開始から30~40分後ごろまではリスクが徐々に低下するが、その後上昇に転じる「Jカーブ型」の関係がみられた。
1日の昼寝時間が60分以上の群は、昼寝なし群と比べ、2型糖尿病発症リスクが有意に高かったが(相対リスク 1.45、95%信頼区間 1.25-1.69)、1日の昼寝時間が60分未満の群ではリスクの上昇は認められなかった。
一方で、肥満との関連は糖尿病ほどではなく、昼寝時間が60分以上の群は肥満リスクがわずかに上昇し(相対リスク 1.33、95%信頼区間 0.92-1.39)、60分未満では低下した(相対リスク 0.88、95%信頼区間 0.88-1.02)。
短い昼寝には疲労やストレスによるダメージを取り除く作用がある
2型糖尿病は、不健康な食事や運動不足などの生活習慣がさまざまな関連し合い発症する疾患だ。
一方、昼寝は国や社会に特有の生活習慣を反映する習慣だ。長時間の昼寝は、長時間労働、1日のストレス、仕事と睡眠のサイクル、ファーストフードなどの食習慣など、さまざまな要因の影響を受けている。
「短い昼寝には、疲労やストレスによる概日リズムの乱れを改善して、睡眠不足による内分泌の異常やメタボリックシンドロームを修正する効果がある可能性がある」と研究者は指摘している。
30分以下の短い昼寝が日中の覚醒や運動機能を改善する助けになることを示した研究もある。昼寝の時間が1時間以上続く人は、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が背後に隠れている可能性もある。
「昼寝が2型糖尿病のリスクを低減するメカニズムについてはさらに研究が必要だが、昼寝の効果を見極めるには、昼寝の持続時間に注意した方が良い」と、研究者は指摘している。
第52回欧州糖尿病学会(EASD)年次学術集会
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