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母乳で育てた乳児でビフィズス菌が優勢な腸内フローラが形成

 母乳で育てた乳児の腸管内で、ビフィズス菌が優勢な腸内フローラがつくられるメカニズムを京都大学が解明した。母乳にだけ含まれる「母乳オリゴ糖」を栄養として利用するために必要な酵素がビフィズス菌に含まれているという。
母乳にビフィズス菌を増やす因子が含まれている
 母乳で育てた乳児の腸管内で、ビフィズス菌優勢な腸内フローラが形成されるメカニズムを、京都大学学生命科学研究科の研究グループが解明した。

 ビフィズス菌は、乳児期に多く、母乳で育てた場合、全腸内細菌の90%以上を占めることもあるという。

 授乳を開始すると、乳児の腸管にはすぐにビフィズス菌が優勢な腸内フローラがつくられるが、離乳と同時にこのフローラは消滅する。

 このことから、人の母乳にはビフィズス菌を増やす何らかの因子が含まれているとみられていたが、詳しくは分かっていなかった。

 そこで研究グループは、人の母乳に含まれるオリゴ糖(母乳オリゴ糖)を利用するための酵素を、ビフィズス菌のみが有していることに着目して研究を行った。

 母乳オリゴ糖は、母乳に含まれる3番目に多い固形成分だが、ヒトの消化酵素には耐性であるために、乳児の栄養とならない。栄養として利用するためには、ビフィズス菌が必要だ。
完全母乳で育てた乳児ではビフィズス菌と酵素が多い
 今回の研究では、母乳オリゴ糖の中でも含有量の高い「ラクト-N-テトラオース」というオリゴ糖に作用する「ラクト-N-ビオシダーゼ」というビフィズス菌の表面にある酵素に着目した。

 まず、京都府内の助産院の協力を得て、完全母乳で育てた乳児の糞便と混合乳で育てた乳児の糞便を解析。

 完全母乳で育てた乳児では、ビフィズス菌の数と、ラクト-N-ビオシダーゼの遺伝子数が多いことを確かめた。

 さらに、この立体構造を「X線結晶構造解析」で解明した。この方法は酵素を含むタンパク質の立体構造を明らかにするためのもっとも一般的な方法のひとつ。

 それで分かったのは、乳児腸管に生息するビフィズス菌は4種程度だが、それぞれの種が異なった戦略で母乳オリゴ糖を利用していることだ。

 4種のビフィズス菌が同じ生育環境中に生息しながらも、多様な酵素群を進化させており、ビフィズス菌種間においても母乳オリゴ糖の利用をめぐる生存競争があったと考えられるという。
母乳オリゴ糖を利用した栄養補助食品の開発へ
 ラクト-N-テトラオースは、人乳にのみ特に多く含まれている成分であり、ビフィズス菌はヒトの乳児に特徴的に多く生息する細菌だ。

 このことから、ヒトはその乳児期に積極的にビフィズス菌と共生するという進化を遂げ、それを支えたのが母乳オリゴ糖であることが推察されるという。

 近年、欧州を中心にして、人工的に合成した母乳オリゴ糖を人工乳に添加しようという動きがある。

 今回の研究は、母乳オリゴ糖のビフィズス因子としての機能を解明した研究であり、科学的エビデンスにもとづいた食品添加物や栄養補助食品の開発に弾みをつけるものといえる。

 研究は、京都大学学生命科学研究科の片山高嶺教授(石川県立大学 寄附講座特任教授兼任)の研究グループが、東京大学の伏信進矢教授らと共同で行ったもの。米科学誌「Cell Chemical Biology」に発表された。

京都大学学生命科学研究科
Molecular insight into evolution of symbiosis between breast-fed infants and a member of the human gut microbiome Bifodobacterium longum(Cell Chemical Biology 2017年4月6日)
[Terahata]

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