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植物性食品ベースの食事療法で2倍の減量に成功 筋肉脂肪を減らす効果も
2017年06月28日
減量のための食事は、カロリーだけでなく質に気を配るべきかもしれない。植物性食品がベースの食事療法を6ヵ月続けた糖尿病患者は、同じカロリー制限をしたが内容は従来通りだった患者に比べ、2倍の減量に成功したという研究が発表された。責任ある医療のための医師委員会(PCRM)によるこの研究は、米国栄養学会誌に発表された。
植物性食品ベースの食事療法で筋肉脂肪が減少
研究に参加した74人の2型糖尿病患者は、ふだんの食事よりもエネルギー摂取量を500kcal減らした食事を6ヵ月続けた。研究チームは参加者を2つのグループに無作為に分け、1つめのグループには植物性食品がベースの食事を(菜食群)、もう1つめのグループには通常の糖尿病食を摂ってもらった(通常食群)。
PCRMのハナ カフレヴァ氏らの研究チームは、脂肪蓄積を測定するために、磁気共鳴画像法を用いて、研究の参加者の太ももの組成をベースライン時、3ヵ月後、および6ヵ月後に検査した。さらに、HbA1c、空腹時血漿グルコース、インスリン感受性の変化、血糖代謝および制御のマーカー、皮下および皮下脂肪の変化を調べた。
菜食群のメニューは、例えば朝食にプラムとアーモンドを加えた全粒粉のコーンフレークとミルク、昼食にキャベツとニンジン、レンズ豆を入れたスープ、昼食に玄米と豆腐、芽キャベツを入れたサラダ、間食に低脂肪のプレーンヨーグルト、ニンジン、セロリなどの野菜や果物のスティックなどから構成された。ビタミンB群、オメガ3脂肪酸、カルシウム、ビタミンD、鉄分などが不足しないよう考えられたメニューが作られた。
その結果、両群とも減量に成功したが、同じ量のエネルギーを摂取していたにも関わらず、菜食群では体重を平均して約6.2kgを減らし、通常食群の約3.2kgの2倍を減らすことができた。腹囲周囲径も、菜食群では6cm減り、通常食群では5cm減った。
どちらのグループも皮下脂肪、つまり皮膚の下に蓄積される脂肪を減らしたが、植物性食品がベースの食事療法を続けたグループは、従来の食事療法を続けたグループに比べ、筋膜下に蓄積される筋肉脂肪をより多く減らし、脂肪筋を減らすことができた。さらに皮下脂肪を38cm²以上、脂肪筋を1.21cm²以上、全脚面積で脂肪を3.7cm²以上、それぞれより多く減らした。
筋肉量を減らさず、脂肪筋を減らす 糖尿病は改善できる病気
「筋肉に蓄積された脂肪を減らすと、インスリン感受性を改善できます。筋肉から余分な脂肪を取り除くことで、血糖を下げるインスリンの働きがよくなり、血中のグルコース(ブトウ糖)をエネルギーに換えやすくなります。エネルギーの代謝が良くなることは、特に体重が増え過ぎた2型糖尿病の患者さんにとっては、血糖コントロールを改善するために効果的です」と、カフレヴァ氏は言う。
参加者には食事療法に取り組むと同時に、運動療法にも取り組んでもらった。驚くことに、植物性食品がベースの食事療法に取り組んだグループの方が、運動療法を維持した割合が高かった。さらに、研究開始後の3ヵ月後と6ヵ月後に、食事で満腹感が得やすくなり、エネルギー消費量も向上していたことが確認された。
1~2ヵ月の血糖値の平均を示すHbA1cは両群とも7%台まで改善したが、菜食群では糖尿病の治療薬を増やしたり、血中のインスリン濃度が上昇する割合が低かった。
「多くの人が歳を重ねるにつれて筋肉量を減らしていきます。筋肉量を減らさないことと、脂肪筋を減らすことに着目すれば、植物性食品が中心の食事療法は、健康な状態を維持するために効果的であることが示されました」と、カフレヴァ氏は言う。
「野菜中心の食事では活力が失われるのではないかと心配する人もいますが、ふだんの食事で不足しがちな食物繊維、ビタミン、ミネラル、フィットケミカルなどの栄養素を十分に摂取するようにすれば、体をリフレッシュした状態に保つことは可能です」と強調している。
研究に参加したある患者は「以前は明らかな肥満でした。糖尿病は進行性の病気で、歳をとるにつれ悪化していくと考えていました。しかし、体重を10kg近く減らすのに成功した現在では、糖尿病は改善できる病気であると自信をもてるようになりました」と語っている。
Plant-Based Diets Best for Weight Loss and Diabetes(責任ある医療のための医師委員会 2017年6月12日)The Effect of a Vegetarian vs Conventional Hypocaloric Diabetic Diet on Thigh Adipose Tissue Distribution in Subjects with Type 2 Diabetes: A Randomized Study(Journal of the American College of Nutrition 2017年6月10日)
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