ニュース

たばこが原因で103万人が病気に 医療費は1.5兆円 受動喫煙では3200億円

 たばこが原因で103万人が、がんや脳卒中、心筋梗塞などを発症し、受動喫煙を合わせて1兆4,902億円の医療費が必要となっているという推計を、厚生労働省研究班がまとめた。国民医療費の3.7%を占めるという。
たばこが原因で103万人が、がんや脳卒中、心筋梗塞に
 たばこが原因で2014年度に103万人が、がんや脳卒中、心筋梗塞などの病気になったことが、厚生労働省研究班がまとめた「受動喫煙防止等のたばこ対策の推進に関する研究」で明らかになった。2005年度の推計と比べると、喫煙率の減少に伴い1,000億円余り減少したが、受動喫煙に関しては、因果関係が判明した心筋梗塞や脳卒中の患者を新たに対象に加えた結果、医療費が倍以上の3,000億円超に膨らんだ。

 国立がん研究センターによると、たばこの煙には約5,300種類の化学物質が、そのなかには約70種類の発がん性物質が含まれる。これらの物質は喉、肺などのたばこの煙に直接ふれる場所だけでなく、血液を通じて全身に運ばれ、がんの原因になる。受動喫煙で周囲の人が吸い込む副流煙にも有害物質が含まれている。がん以外にも慢性閉塞性肺疾患(COPD)、虚血性心疾患、脳卒中などの原因になる。

 研究班の五十嵐中・東京大特任准教授によると、「受動喫煙・能動喫煙を問わず、たばこ政策を議論する際に最優先されるべきなのは公衆衛生上の課題」だという。「たばこの損失(医療費や生産性損失)」と「たばこの『利得』(たばこ税収など)」とを比較して、「禁煙政策によって得られる関連疾患の罹患減少・死亡減少」を明らかにすることが、医療経済的に正しく議論できるようになる。

 そこで研究班は、たばこによる超過医療費について、2010年の医療経済研究機構の「喫煙のコスト推計」の手法を踏襲しつつ、可能な限り最新のデータを活用した推計を行った。
喫煙で必要になった医療費は1兆1,669億円 受動喫煙では3,233億円
 それによると、2014年度の超過医療費は能動喫煙由来が1兆1,669億円、受動喫煙由来が3,233億円、合計1兆4,902億円になった。同年度の国民医療費は40兆8,171億円で、喫煙による超過医療費は国民医療費のうち3.7%を占めることが明らかになった。患者数は喫煙が79万人、受動喫煙が24万人だった。

 喫煙者では、がんの超過医療費が多く、7,087億円を超えた。心筋梗塞をはじめとする虚血性心疾患の超過医療費は2,001億円を超え、脳卒中などの脳血管疾患の超過医療費は1,953億円を超えた。

 受動喫煙では、肺がんによる超過医療費が335億円。虚血性心疾患は955億円、脳血管疾患は1,941億円をそれぞれ超えた。

 超過罹患者数は、能動喫煙が原因となった患者数が79.2万人(男性68.8万人・女性10.4万人)、受動喫煙が原因になった患者数が24.2万人(男性9.5万人・女性14.8万人)となった。

 報告書では超過生産性損失の推計も行った。超過生産性損失については、(1)超過罹患にともなう入院に起因する生産性損失、(2)勤務中に喫煙のために離席することにともなう生産性損失の2項目に分けて推計した。

 生産性損失は入院増加が2,494億円(能動喫煙1,672億円・受動喫煙821億円)、喫煙離席が5,496億円、合計で7,990億円となった。

 「今回の調査で、たばこによる『超過経済損失』『期待利得』『健康アウトカム改善効果』の三点を定量化して評価することができた。超過医療費のデータは喫煙対策の根幹をなすデータとなる。新たなデータが得られたことの意義は大きい」と、五十嵐氏は述べている。

受動喫煙防止等のたばこ対策の推進に関する研究(厚生労働科学研究成果データベース)
喫煙と健康(国立がん研究センター)
[Terahata]

「禁煙」に関するニュース

2018年05月07日
従業員のいる飲食店は屋内禁煙に~東京都・受動喫煙防止条例の骨子案
2018年04月02日
驚きのコラボが実現!『健やか親子21と鷹の爪団のみんなで子育て大作戦』
2018年03月28日
収入や教育年数が「健康格差」に影響 年収低いほど肥満リスクは上昇
2018年03月20日
認知機能を高める健康法とは? 日本医師会が推奨「一・十・百・千・万」
2018年03月19日
東京の糖尿病療養指導を担う「東京CDE」と「東京CDS」 新年度の活動
2018年03月15日
「健康日本21」(第二次)の中間評価(1) 6割超の項目が「改善」 メタボは減少
2018年03月15日
「健康日本21」(第二次)の中間評価(2) 日本人の平均寿命と健康寿命が延伸
2018年03月15日
肥満や糖尿病の対策はカップルで 健康改善は夫婦に伝染しやすい
2018年03月07日
高血圧・高血糖・高血中脂質 3つが連鎖する「トリプルリスク」の危険性
2018年03月07日
「やせ過ぎ」「人と人のつながりの欠落」「喫煙」が高齢者の寿命を縮める

最新ニュース

2018年05月23日
「子宮頸がん」の抗ウイルス薬の開発に成功 年内に治験を開始する予定
2018年05月23日
「ミドリムシ」からメタボを改善する成分 「痩せるホルモン」を促進
2018年05月23日
「ヒアリ」の早期発見のためのキットを開発 水際対策での効果に期待
2018年05月23日
「高血圧」の治療で伝わらない説明 コミュニケーションのズレは深刻
2018年05月23日
「遺伝子検査」で糖尿病リスクが分かる 日本人4700人超を調査
2018年05月22日
【書籍プレゼント】『集団分析・職場環境改善版 産業医・産業保健スタッフのための ストレスチェック実務Q&A』を5名様にプレゼント
2018年05月22日
食育の取り組みをエビデンスに基づいて整理、解説―農林水産省がパンフレット作成
2018年05月22日
【報告】産保PCのこれまで活動内容をポスター発表しました(第91回日本産業衛生学会)
2018年05月21日
「血糖トレンドの"読み方":AGP」を公開 血糖トレンドの情報ファイル
2018年05月17日
敗血症性AKIにおける急性腎障害マーカー L-FABPの可能性
2018年05月17日
【健やか21】パンフレット『「食育」ってどんないいことがあるの?』
2018年05月16日
体重コントロールを成功させるシンプルな方法 必要なことは1つだけ
2018年05月16日
SNSの「自殺防止相談」に月に1万件以上 「対策強化月間」に実施
2018年05月16日
早期のアルツハイマー病「軽度認知障害」 日本人対象の研究で解明
2018年05月16日
やせていても糖尿病に? 筋肉が少なく脂肪がたまると高血糖に
2018年05月16日
「睡眠障害」が高血圧・糖尿病に関連 日本で最大規模の研究
2018年05月16日
トマトのリコピンはニンニクやタマネギで調理すると吸収されやすくなる
2018年05月15日
6割強が食中毒予防で「肉は水で洗う」に効果があると誤解-東京都の実態調査
2018年05月11日
【新連載】イラストで魅せる!健康啓発「見せ方」の工夫
2018年05月10日
【健やか21】SNS等に起因する被害児童の現状と対策の掲載(警察庁)
2018年05月08日
元気高齢者を「介護サポーター」に 介護予防の観点から社会参加を促進
2018年05月08日
米国糖尿病学会「立ち上がって運動しようデー」 8つの対策で運動推進
2018年05月08日
「鰹だし」で抗がん剤の副作用を予防 血管を拡張する作用を確認
2018年05月08日
【投票企画】プルーンレシピコンテスト開催中! 栄養を効率よく吸収できる「食べ合わせ」
2018年05月07日
大豆から食べる「大豆ファースト」で食後の血糖値の急上昇を改善
2018年05月07日
従業員のいる飲食店は屋内禁煙に~東京都・受動喫煙防止条例の骨子案
2018年05月02日
新入社員の健康教育や女性の健康啓発に最適 「働く人のための健康づくりシリーズ」指導箋
2018年05月01日
健康イベント、健康教育のお土産に!!(腹囲メジャー)※在庫残り僅か※
2018年05月01日
休日の寝過ぎが体調不良の原因に 「社会的時差ぼけ」を解消
2018年05月01日
「がんとの共生を考える」へるすあっぷ21 5月号
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 7,145 人(2018年05月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶