ニュース

血中のビタミンD濃度が高いとがんリスク低下 日本人3万4000人を調査

 国立がん研究センターは、血中ビタミンD濃度とがん罹患リスクに関する多目的コホート研究「JPHC研究」の成果を発表した。
 血中ビタミンD濃度が上昇すると、がんの発症リスクが最大で25%低下することが明らかになった。
骨代謝で重要な役割を果たすビタミンD
 「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。

 JPHC研究では、過去にも8万5,000人を対象とした大規模調査を実施し、マグネシウムを多く摂取している人は、少ない人に比べて心筋梗塞などの虚血性心疾患になるリスクが低くなるとの結果を発表している。

 今回の研究は、1990年と1993年に、岩手、秋田、長野、沖縄、茨城、新潟、高知、長崎の9保健所管内に在住していた人のうち、ベースライン調査のアンケートに回答し、健診などの機会に血液を提供した40~69歳の男女3万3, 736人を、2009年まで追跡した結果にもとづいている。

 ビタミンDは、脂溶性ビタミンで、カルシウムとともに骨代謝で重要な役割を果たしている。近年の研究で、細胞増殖を抑えたり、細胞死を促進したりする作用により、がんを予防する効果があると考えられている。

 人を対象としたコホート研究においても、血中ビタミンD濃度が上昇すると、大腸がんや肺がんを発症するリスクが低下することが報告されているが、大腸がん・肺がん・乳がん・前立腺がん以外のがんや、がん全体を対象としたコホート研究はこれまで行われていなかった。

血中ビタミンD濃度が高いと肝臓がんリスクが0.45倍に低下
 研究グループは、男女3万3, 736人を対象に追跡調査を行い、研究開始から2009年までに、3,734人のがん罹患を確認した。これに対し、4,456人を無作為に選んで対照グループに設定。今回の研究では、がんに罹患する前の保存血液を用いて、血中ビタミンD濃度の測定を行った。

 血中ビタミンD濃度を男女別に4等分位(罹患者数が130未満のがんでは3等分位)に分け、がん全体やがんの部位別に関連を検討した。

 個人の血中ビタミンD濃度は季節によって変動するので、採血した季節(春夏秋冬)を考慮してグループ分けを行った。年齢、性別、喫煙、飲酒、身体活動、がん家族歴、糖尿病の既往、体格指数(BMI)などのがんと関連する要因を調整した。

 その結果、血中ビタミンD濃度がもっとも低いグループを基準としたところ、血中ビタミンD濃度が2番目に低いグループでは、何らかのがんを発症するリスクが0.81倍に低下した。血中ビタミンD濃度が2番目に高いグループでは0.75倍にもっとも低下していた。

 また、血中ビタミンD濃度がもっとも低いグループを基準に、もっとも高いグループのがん罹患リスクを部位別にみたところ、肝臓がんの罹患リスクが0.45倍に低下。ほぼ全ての部位で、がん罹患リスクが上昇する傾向はみられなかったという。

血中ビタミンD濃度が一定を超えると予防効果は期待できない
 今回の研究から、血中ビタミンD濃度が上昇すると、何らかのがんを発症するリスクが低下したことから、今回の研究結果は、過去の研究で示されたビタミンDのがん予防効果を支持するものだという。

 ビタミンDは魚や卵などの食物から摂る以外に、日光に当たると皮膚でも合成される。「適切な食事を摂り、太陽の光を浴びることが、がんのリスク低減に役立つ」としている。

 ただし、血中ビタミンD濃度がもっとも高いグループではがん罹患リスクのさらなる低下が見られなかったことから、血中ビタミンD濃度が一定のレベルを超えた場合、それ以上のがん予防効果は期待できない可能性がある。

 JPHC研究では以前にも、大腸がんと前立腺がんを対象に血中ビタミンD濃度との関連を検討したことがある。今回の研究は、以前の研究より追跡期間が長く、症例数も増えていたが、明らかな関連はみられないという結果は同じだった。

多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループ
Plasma 25-hydroxyvitamin D concentration and subsequent risk of total and site specific cancers in Japanese population: large case-cohort study within Japan Public Health Center-based Prospective Study cohort(BMJ 2018年3月7日)
[Terahata]

「健診・検診」に関するニュース

2019年05月17日
大阪・大東市で民間事業者が地域包括支援センターを運営、日本初
2019年05月15日
脳卒中は夏にも多い? 特定健診でも早期発見が焦点に 5月25日から「脳卒中週間」
2019年05月15日
「2022年問題」に対策 団塊世代の後期高齢者入りに備えて健保組合が活動を強化
2019年05月15日
1日に摂取する食品数が多いと女性の死亡リスクは低下 日本は食の多様性で世界2位
2019年05月15日
野菜や果物、魚の摂取量が少なく、食塩が多いと、死亡リスクは3倍に上昇 日本人を29年間調査
2019年05月15日
ストレスが「乳がん」の発症に関連している がん患者のストレスを軽減する治療が必要
2019年05月14日
日本初の医師監修ウォーキングレッスンアプリがリリース
2019年05月08日
「高血圧治療ガイドライン2019」発表 保健師など多業種の参加で高血圧に対策
2019年05月08日
がんと就労を支援する「順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−」を公開 順天堂大学
2019年05月08日
毎日1時間のウォーキングが認知症の予防にも効果的 軽い運動でも脳の老化を減らせる

最新ニュース

2019年05月17日
大阪・大東市で民間事業者が地域包括支援センターを運営、日本初
2019年05月16日
【健やか21】 『子どもに関わる多職種のための子ども虐待初期対応ガイド~子ども虐待を見逃さないために~(第1版)』の掲載について(日本小児保健協会)
2019年05月15日
脳卒中は夏にも多い? 特定健診でも早期発見が焦点に 5月25日から「脳卒中週間」
2019年05月15日
「2022年問題」に対策 団塊世代の後期高齢者入りに備えて健保組合が活動を強化
2019年05月15日
1日に摂取する食品数が多いと女性の死亡リスクは低下 日本は食の多様性で世界2位
2019年05月15日
野菜や果物、魚の摂取量が少なく、食塩が多いと、死亡リスクは3倍に上昇 日本人を29年間調査
2019年05月15日
ストレスが「乳がん」の発症に関連している がん患者のストレスを軽減する治療が必要
2019年05月14日
日本初の医師監修ウォーキングレッスンアプリがリリース
2019年05月10日
「小児のアレルギー疾患 保健指導の手引き」を掲載~アレルギーポータル
2019年05月09日
保健師の役割拡大に向けた施策を 日本看護協会が厚労省へ要望書提出
2019年05月09日
【健やか21】「児童虐待が疑われる事案に係る緊急点検フォローアップ」の掲載について(文部科学省)
2019年05月08日
「高血圧治療ガイドライン2019」発表 保健師など多業種の参加で高血圧に対策
2019年05月08日
がんと就労を支援する「順天堂発・がん治療と就労の両立支援ガイド−Cancer and Work−」を公開 順天堂大学
2019年05月08日
毎日1時間のウォーキングが認知症の予防にも効果的 軽い運動でも脳の老化を減らせる
2019年05月08日
食事を「朝型」にすると体重が減少し血糖値も安定 夕食を就寝直前にとるのは危険
2019年05月08日
チーズなどの発酵乳製品に含まれる「βラクトリン」が中高年の記憶力を改善
2019年05月08日
「休み方改革」へるすあっぷ21 5月号
2019年04月26日
風しんの今年の累計患者数1000人突破、いまだ増加中
2019年04月25日
【健やか21】ダウン症のお子さんを持つ保護者のための手帳「+Happyしあわせのたね」を配布します(愛知県)
2019年04月24日
【PR】参加受付中!「伊藤園 健康フォーラム~お茶で人生100年時代を豊かに生きる知恵~」健康寿命延伸におけるお茶の役割とは?研究に基づく知見を紹介
2019年04月24日
健康寿命を2040年までに3年以上延伸 日本には健康寿命を延ばす余力がある 厚労省研究会が報告書
2019年04月24日
連休(GW)に「アルコール」を飲み過ぎないための7つの対策 「適量」でも高血圧と脳卒中のリスクは上昇
2019年04月24日
父親の赤ちゃんに対する「ボンディング障害」 産後のメンタルケアが重要と指摘 エコチル調査
2019年04月24日
生活習慣が夜型の子どもは虫歯のリスクが高い 夜型は肥満の原因にも
2019年04月24日
スマホ向けアプリで保険契約者の健康を増進 かんぽ生命のプロジェクト
2019年04月18日
【健やか21】全国一斉「あそびの日」キャンペーンの実施について(スポーツ庁)
2019年04月17日
厚労省「受診率向上施策ハンドブック」で受診率を上げる 強制ではなく自発的な行動に導く「ナッジ理論」とは
2019年04月17日
連休(GW)こそ健康管理に注意 食事・運動・体内時計の調整がポイント 8つの対策で連休を乗り切る
2019年04月17日
日本人のたばこ依存と関連する遺伝子を発見 心疾患、COPDなど11の病気の発症リスクと相関 理化学研究所
2019年04月17日
禁煙のメリットは体重増加のデメリットを上回る 糖尿病のコントロールも改善
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
  • 週1回配信(毎週木曜日)
  • 登録者数 8,121 人(2019年04月現在)
登録者の内訳(職種)
  • 保健師 44%
  • 看護師 20%
  • 管理栄養士・栄養士 22%
  • その他 14%
登録はこちら ▶
ページのトップへ戻る トップページへ ▶