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野菜を食べると体重が減りやすい 日本人5万人超を調査 果物の食べ過ぎには注意
2020年07月07日

野菜の1日の摂取量が増えると、体重が減ることが、日本人5万人超を対象とした調査で明らかになった。とくに、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜が効果が高いという。
一方、果物の摂取量が増えると、体重はむしろ増えやすいことも分かった。
一方、果物の摂取量が増えると、体重はむしろ増えやすいことも分かった。
野菜・果物を多く食べると体重にどんな変化があるか
「JPHC研究」は日本人を対象に、さまざまな生活習慣と、がん・2型糖尿病・脳卒中・心筋梗塞などとの関係を明らかにする目的で実施されている多目的コホート研究。
研究グループは、1990年と1993年に、岩手、秋田、東京、長野、沖縄、茨城、新潟、大阪、高知、長崎の11保健所管内に在住していた40~69歳の男女を対象に、研究開始から5年後と10年後に食事アンケート調査を実施した。
5年後調査時にがんや糖尿病、高血圧、高脂血症、循環器疾患になっていなかった5万4,015人(平均年齢 56.5歳)を対象に、5年間の野菜・果物の摂取量の変化と、体重変化との関係を調べた。
野菜・果物には食物繊維・ポリフェノール・水分などが豊富に含まれる。野菜・果物を多く食べることで、空腹感の減少、エネルギー摂取量の減少、脂質やエネルギー代謝の調整などにつながり、体重をコントロールしやすくなると考えられている。
しかし、野菜や果物の摂取量を増やすことで、実際に体重を減らせるかを、日本人を対象に確かめた研究は少ない。そこで、研究グループは日本人を対象に、5年間の野菜・果物摂取量の変化と、体重変化との関連を調べた。
調査した野菜・果物の種類は以下の通り――。野菜(29種類) | |
---|---|
緑色野菜(5種類) | ほうれん草、春菊、ピーマン、ヨモギ、さやいんげん |
黄・赤色野菜(4種類) | にんじん、かぼちゃ、トマト、トマトジュース |
アブラナ科野菜(11種類) | キャベツ、大根、大根の漬物、白菜の漬物、白菜、小松菜、チンゲンサイ、からし菜、野沢菜漬物、フダンソウ、ブロッコリー |
ネギ類野菜(2種類) | 玉ねぎ、にら |
その他(7種類) | きゅうりの漬物、ナスの漬物、きゅうり、レタス、もやし、ゴーヤ、へちま |
果物(17種類) | |
柑橘類(3種類) | みかん、みかん以外の柑橘類(はっさく・いよかん・オレンジ)、100%オレンジジュース |
メロン、スイカ、りんご、100%リンゴジュース、なし、もも、梅干し、かき、イチゴ、ぶどう、キウイフルーツ、パイナップル、バナナ、パパイヤ |
野菜摂取量が1日100g増えると体重は減少
その結果、野菜の5年間の摂取量が1日に100g増加するごとに、体重が25g減少していたことが分かった。とくに、黄・赤色野菜や、ネギ類野菜は、1日に100g増加するごとに、体重が74g、129gそれぞれ減少した。

出典:国立がん研究センター 社会と健康研究センター、2020年
果物については、摂取量が1日に100g増加するごとに、体重が70g増加したが、摂取量が減少すると体重は変わらなかった。また、5年間に果物の摂取量が増加したグループでは、摂取量が1日に100g増加するごとに体重が70g増加していたが、摂取量が減少したグループでは体重は変わらなかった。

出典:国立がん研究センター 社会と健康研究センター、2020年
日本人にとっても野菜はメリットが多い
今回の研究では、野菜の摂取量が増えると、体重が減少することが示された。その理由の1つとして、野菜は食事と一緒に摂取するため、その摂取量が多いと、ご飯や他のおかずの摂取量が減り、全体のエネルギー摂取量が減りやすくなる可能性が考えられる。
一方、果物の摂取量が増えると体重が増加していた。果物は間食として食べることが多く、その摂取量が増えると食事全体のエネルギー摂取量が増加する可能性がある。
野菜には食物繊維・ポリフェノール・水分などが含まれる。野菜を食べることで、空腹感の減少、エネルギー摂取量の減少、糖質の吸収をゆるやかにすると考えられている。
食物繊維が豊富に含まれる野菜を食事に取り入れることで、食べ過ぎを防いで肥満予防につながり、血糖コントロールも改善しやすくなる。また、脂質やコレステロールなどの吸収を抑えることで動脈硬化を予防し、その結果として心筋梗塞や脳卒中などを予防することが期待できる。
多目的コホート研究(JPHC Study) 国立がん研究センター 社会と健康研究センター 予防研究グループAssociations Between Changes in Fruit and Vegetable Consumption and Weight Change in Japanese Adults(European Journal of Nutrition 2020年4月6日)
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