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危険な「脂肪肝」は3つの方法で改善できる 肥満でない人も要注意
2017年04月20日
健診などで「脂肪肝」と指摘され、そのまま放置していませんか?
肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」を発症する人が増えている。放っておくと肝臓の機能悪化や、肝硬変などの深刻な病気に進展し、動脈硬化が進行しやすくなる。
糖尿病のある人では糖尿病そのものが悪化する原因になる。早く気が付いて対策することが必要だ。
肝臓に脂肪がたまる「脂肪肝」を発症する人が増えている。放っておくと肝臓の機能悪化や、肝硬変などの深刻な病気に進展し、動脈硬化が進行しやすくなる。
糖尿病のある人では糖尿病そのものが悪化する原因になる。早く気が付いて対策することが必要だ。
男性の4割が脂肪肝 痩せている人も脂肪肝に
脂肪肝とは、食べ過ぎや運動不足のために余った糖質や脂質が中性脂肪に変わり、肝臓に過剰にたまって、脂肪が肝臓全体の30%以上を占めるようになった状態をいう。日本人における軽度の脂肪肝は、いわゆる肥満体型ではない、見た目がスリムな人にもみられる。たった2~3kg体重が増えただけで肝臓に脂肪がたまる可能性がある。
肝臓は再生能力・代償能力に優れ、ダメージを受けても残った細胞が働き機能を維持する。肝臓には痛みなどの症状が出ることはあまりないので、肝臓に異常があっても気付かず、気付いたときには病気がかなり進んでいる場合がある。
日本人間ドック学会が2016年に発表した「全国集計結果」では、人間ドックを受診した人の33.2%で「肝機能異常」がみられ、「高コレステロール」(33.4%)に続いて多かった。「肝機能異常」のある人は、20年前と比較すると10.5ポイント上昇しており、男性の40.2%、女性の22.8%にみられるという。
脂肪肝があるとインスリン抵抗性が進行
脂肪肝は初期には自覚症状はあまりなく、本人も気づかないうちに忍び寄り、進行する。脂肪肝があると、狭心症や心筋梗塞など心疾患の合併率が高いだけでなく、全身でインスリンが効きにくくなる「インスリン抵抗性」が進行しやすくなる。
インスリンには肝臓などに作用して血糖値を低下させる作用があるが、その臓器に脂肪が蓄積すると、インスリン抵抗性が生じる。肥満でなくとも肝臓や骨格筋といったインスリンが作用する臓器に脂肪が蓄積するとインスリン抵抗性が生じる。その結果、高血糖や高インスリン血症になりやすくなる。
金沢大学の研究によると、脂肪肝が悪化すると、全身が肥満体質になりやすくなるという。肝臓の脂肪量が多いほど骨格筋のインスリン抵抗性が高くなり、脂肪肝の悪化が、肝臓だけでなく全身のインスリン抵抗性の悪化に影響を及ぼす。脂肪肝があることでインスリン抵抗性がさらに進行してしまうという悪循環に陥りやすい。
運動をすると脂肪肝が改善
運動をすると「アディポネクチン」が増加
また研究では、運動を続けることで、善玉の「HDLコレステロール」と「アディポネクチン」が増加することが明らかになった。
アディポネクチンは、脂肪細胞が分泌する生理活性物質「アディポサイトカイン」の一種で、動脈硬化を防いだり、血糖を下げるインスリンの働きを高める作用のある善玉物質として注目されている。アディポネクチンの分泌は、運動を続けることで改善していた。
さらに、細胞を傷つけ炎症を引き起こす「酸化ストレス」は、糖尿病や認知症、心臓病、がんなどの病気の原因になる。運動を続けることで、酸化ストレスから体を守る仕組みが促されることが判明した。
緑茶を飲むとLDLコレステロールの血中濃度を下げられる
アルコールも脂肪肝の原因
脂肪肝の発症につながるもうひとつの要因が飲酒習慣だ。脂肪肝には、飲酒が関係する「アルコール性脂肪肝」と、飲酒しないのに起こる「非アルコール性脂肪肝」がある。
アルコールが原因の脂肪肝を「アルコール性脂肪肝」という。体の中に入ったアルコールのほとんどは肝臓で解毒され、体の外へ排出されるが、この解毒の過程で、また肝臓の働きに異常が生じることにより、肝臓中に脂肪が増えてたまっていくのがこの疾患だ。
その場合、第一に、節酒や禁酒によって過剰な飲酒を抑制することが重要だ。「わかっちゃいるけどやめられない」ではなくて、肝硬変になる前にお酒を控えること、自分の適量を体に覚えさせることが重要となる。
アルコールを飲まない人も要注意
お酒に酔いやすい人にも脂肪肝のリスクが
お酒に酔いやすい人は、たとえ飲酒をしないとしても、脂肪肝になるリスクが高いことが、熊本大学の研究で明らかになった。
アルコールは肝臓でアセトアルデヒドに変換される。アセトアルデヒドは毒性があり二日酔いの原因となる。アセトアルデヒドを無害化する代謝酵素はアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)と呼ばれる。日本人は酵素活性の低い遺伝子変異を40%の人がもち、全く活性のない人も10%いるという。
これらの人々はアルコールをあまり飲まないので、飲酒が原因のアルコール性脂肪肝のリスクは低いが、ALDH2活性の低い人でも心血管疾患のリスクが高まることが明らかになった。飲酒習慣のない人でも、ALDH2活性の低い人は、高い人に比べて、NAFLDの発症リスクが約2倍高いという。
このように生活スタイルを健康的に変えていけば、脂肪肝を改善できることがさまざまな研究で確かめられている。
「運動不足の人」「間食が多い人」「果糖をとり過ぎる人」は注意が必要だ。果物や清涼飲料水などに多く含まれる果糖は、摂取すると中性脂肪となって肝臓に蓄積されやすい性質をもっている。間食も、繰り返すと余分な糖質や脂質を摂取することになる。
体重コントロールも効果的な方法だ。標準体重を目指して行うが、そこまで体重が落ちない段階でも、脂肪肝の状態を改善することが可能だという。
Ectopic fat accumulation and distant organ-specific insulin resistance in Japanese people with nonalcoholic fatty liver disease(PLOS ONE 2014年3月20日)The longitudinal effect of the aldehyde dehydrogenase 2*2 allele on the risk for nonalcoholic fatty liver disease(Nutrition & Diabetes 2016年5月23日)
Moderate to Vigorous Physical Activity Volume is an Important Factor for Managing Non-alcoholic Fatty Liver Disease: A Retrospective Study(Hepatology 2015年2月17日)
Epigallocatechin gallate induces an up-regulation of LDL receptor accompanied by a reduction of PCSK9 via the annexin A2-independent pathway in HepG2 cells(Molecular Nutrition & Food Research 2017年3月27)
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