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産業保健師のキャリアとして必要なものとは?【産保PC第1回レポート】
2017年07月07日
産業保健プロフェッショナルカンファレンス(主催:保健指導リソースガイド)の第1回開催が、6月27日に都内で実施されました。
今回のテーマは、「キャリアと産業保健」とし、自分の生き方の確認や産業保健・公衆衛生を改めて振り返り、今後、産業保健師としてどのようになっていきたいかを、保健師2名のサポートのもと参加者同士の意見交換を行いました。
産業保健プロフェッショナルカンファレンスは、20代、30代の産業保健師が将来へ向けキャリアアップするために必要な知識や考え方、技術を習得できる場を提供するプロジェクトです。保健指導リソースガイドが主催し、ウェルネス・コミュニケーションズ(株)と協力し発足させました。
第1回開催となる今回は、都内やその近郊及び名古屋の事業所や健康保険組合、健診機関に勤める20代の産業保健師25名が参加しました。当日は、前回のキックオフカンファレンスと同じく、保健師の村田陽子さん((有)ビーイングサポート・マナ代表)、同じく保健師の亀ヶ谷律子さん(HSプランニング代表)にサポートいただきました。
今回のテーマは、「キャリアと産業保健」とし、自分の生き方の確認や産業保健・公衆衛生を改めて振り返り、今後、産業保健師としてどのようになっていきたいかを、保健師2名のサポートのもと参加者同士の意見交換を行いました。
キャリアと産業保健
今回のテーマは「キャリアと産業保健」とし、参加者にはまず「キャリア」という言葉を聞いて思い浮かぶことを出してもらいました。多くの人は「キャリアとは?」と聞かれると、就職や出世など仕事のことや結果を指すことを連想します。参加者からも、エリート/官僚/仕事が出来る人/昇進/資格/スキル/上昇志向/キャリアウーマンなど、仕事に関連することが浮かび上がりました。
村田さんはキャリアについて、「キャリアとは、就職・出世・現在の仕事等の点や結果を指す言葉ではなく、働くことに関わる『継続的なプロセス(過程)』と、働くことにまつわる『生き方』そのものを指しているのです。その仕事に取り組むプロセスの中で、身につけていく『技術、知識、経験』に加えて、人間性を磨いていくこと、そしてプライベートも含めた自分自身の『生き方』を磨いていくことなのです」と紹介しました。 「生き方」と言うと難しいように感じますが、何かを決めるときに自分の価値観に基づいて決断していることも生き方の一つといいます。「例えば、今日、ここの場に来ていること、何か興味関心があり仕事を終えたプライベートな時間にも関わらず来るという行動は、上手く言葉にできないかもしれないが自分の『生き方」として何か感じるものがあるはず」と村田さんは言います。
当日のグループワークの様子、ポストイットを使ってコメントを参加者で共有 等
産業保健師の生き方とは
次に、「なぜ看護大学を選んだのか?」また「なぜ産業保健の分野で働こうと思ったのか?」を参加者同士で改めて思いだし、「自分にとっての看護とは?産業保健とは?」を考えてもらいました。この答えは、すぐには出てくるものではありませんが、そのきかっけや価値観、大事にしているものが、自分の生き方の軸になるといいます。
亀ヶ谷さんは、保健師のキャリアの定義について<厚生労働科学研究 地域保健に従事する人材の計画的育成に関する研究 平成26年度総括・分担報告書>から、「保健師のキャリアとは、自分の適性や自分のやりがい、目指すべきゴールを描くと同時に、自分では予測しなかった業務などでも最善を尽くすことで、育ちを進め、技術を高めていく考え方」と紹介しました。
また、産業保健師の定義についても、一般社団法人日本産業保健師会の倫理綱領を紹介し、その役割や求められていること、目指す方向を示しました。
産業保健師は、労働衛生関連法令を含む産業保健に関する専門知識に加えて保健師の職能を発揮して、労働者と事業者等が自主的に安全で、かつ健康に働き続けるための支援に努めなければならない
※一般社団法人日本産業保健師会倫理綱領第1条(使命と責任)
村田さんは、「自分にとって看護、産業保健、働くとは何なのか? これを考え、自分の軸にすることで、どんな「知識」「技術」「経験」が必要かをわかるようになり、得たいものを積み上げていくと自分の生き方、産業保健師としての生き方の確立につながる」と言います。
最後に、答えを見つける参考として、ILO/WHO(国際労働機関/世界保健機関)の合同委員会合同ガイドライン(1995年)に示されている「産業保健の目的」4つを紹介しました。
※一般社団法人日本産業保健師会倫理綱領第1条(使命と責任)
「産業保健の目的」
①職業に起因する健康障害を予防する
②健康と労働の調和を図る
③健康および労働能力の保持増進を図る
④安全と健康に関して、好ましい風土を醸成し、生産を高めることになるような
作業組織、労働文化を発展させる
※ILO/WHO(国際労働機関/世界保健機関)の合同委員会合同ガイドライン(1995年)
上記のようなことを考え、自分の持っている「知識」「技術」「経験」を土台にし、次に欲しい「知識」「技術」「経験」を明確にしていくことが必要とまとめました。
次回、9月5日(火)に予定されている第2回開催では、次に欲しい「知識」「技術」「経験」を深堀していき、どのような形で習得できるかを考えていきます。第2回開催の詳細や申込等は、産業保健プロフェッショナルカンファレンスのWEBサイトやメールマガジンにてご案内いたします。
①職業に起因する健康障害を予防する
②健康と労働の調和を図る
③健康および労働能力の保持増進を図る
④安全と健康に関して、好ましい風土を醸成し、生産を高めることになるような
作業組織、労働文化を発展させる
※ILO/WHO(国際労働機関/世界保健機関)の合同委員会合同ガイドライン(1995年)
産業保健プロフェッショナルカンファレンスについて
産業保健プロフェッショナルカンファレンスは、20代・30代の産業保健師が将来へ向けキャリアアップするために必要な知識や考え方、技術を習得できる場を提供するプロジェクトです。保健指導リソースガイドとウェルネス・コミュニケーションズ(株)が協力し、発足させました。年4~5回の参加型イベントの開催とWEBによる情報発信、業務に役立つ資料・ツール提供など、年間を通じて産業保健師の「スキルアップ、キャリア形成、ネットワーク」をサポートしていきます。 産業保健プロフェッショナルカンファレンス ▶
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