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元気高齢者を「介護サポーター」に 介護予防の観点から社会参加を促進

 深刻な介護人材不足に直面している日本では、高齢者を介護の支え手として迎え入れることが必要不可欠――元気高齢者を「介護サポーター」として迎え入れる提言を経済産業省が公表した。
「介護分野の人材不足」という負のスパイラル
 経済産業省は、「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」を開催し、このほど報告書をまとめた。

 報告書では、将来見込まれる介護人材不足の解消・軽減に向け、(1)介護予防の観点からの社会参加の促進、(2)介護分野における人材確保力の強化(「介護サポーター」の導入促進)について、具体的な方策案を提言している。

 今後日本では少子高齢化が進展し、特に85歳以上人口比率は急拡大する。要介護(要支援)の認定者数は、制度を開始した2000年以降、年々増加しており、2035年頃まで増加のペースは緩まない見込みだ。

 2035年には要介護(予防)認定者数は960万人に上り、要介護1は188万人、要介護2は170万人、要介護3は132万人、要介護4は124万人、要介護5は97万人にそれぞれ増加する。

 このままでは、「生産年齢人口の減少」→「各産業での労働力不足」→「介護分野の人材不足」→「介護離職の増大」→「さらなる介護分野の人材不足」という負のスパイラルが生じるおそれがある。

 経産省の試算によると、2035年には人材需要は307万人に上るが、人材供給は228万人にとどまり、79万人の人材需給のギャップが生じる。提言ではこれを、「一億総活躍社会」「介護離職ゼロ」の実現の実現により、人材需要を297万人に圧縮しようという考えが示された。
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就労支援やボランティア活動の促進も必要
 具体的な方策として、(1)介護予防・心身機能回復の取組推進、(2)高齢者などの潜在的労働力の活用――をあげている。

 「機器・ITの導入などによる労働時間・労働負荷の軽減」(人材需要 マイナス51万人)、「機器導入・処遇改善等による離職率低下」(人材供給 プラス8万人)、「高齢者などの潜在的なリソースの活躍」(人材供給 プラス9万人)などによって克服することが可能としている。

 要支援・要介護の原因は、後期高齢者では「高齢による衰弱」「認知症」「骨折・転倒」が多くなることだ。

 介護予防では、高齢者の運動機能・栄養状態などの個々の要素の改善だけを目指すものではなく、これら心身機能の改善や環境調整などを通じて、個々の高齢者の生活機能(活動レベル)や参加(役割レベル)の向上をもたらし、それによって一人ひとりの生きがいや自己実現のための取組を支援し、生活の質(QOL)の向上を目指すもが必要としている。

 「運動器の機能向上」「栄養改善」「口腔機能の向上」「閉じこもり予防・支援」「認知症予防・支援」「うつ病予防・支援」に取り組むと同時に、就労支援やボランティア活動の促進なども介護予防の観点から必要とされている。
高齢者に参加したいと思わせる地域資源を開発
 民間事業者による魅力的な社会参加の場・サービスの開発も必要とされている。介護予防効果のある社会参加の場・サービスの創出について、「介護予防」や「高齢者福祉」を強調すると、サービス内容が硬直的になり、参加する高齢者も健康への意識が高い層にとどまるおそれがある。

 そのため、「楽しい」「癒し」「おしゃれ」といった感性に訴えかけたり、日々の生活の困りごとの解消と組み合わせたりすることにより、高齢者に参加したいと思わせる魅力的なコンテンツ・デザインをもった地域資源の開発が必要となる。その際、企画・マーケティングなどのノウハウを有する民間事業者などと連携することが有効となる。

 民間事業者の側としても、高齢者を選択的消費市場における消費者としてつなぎとめるためにも、高齢者の(リアルな場での)コミュニティづくりの要素を組み込むなど、介護予防に資する財・サービスの開発が求められる。
高齢者が「介護サポーター」となり介護現場を支える
 高齢者でも活躍できる多様な働き方の創出も必要とされている。社会参加のひとつとして就労が考えられるが、介護現場における高齢者就労は効果的な方策となる。その際、「必要な技術、経験」がなくても就労できる場が求められていることをふまえると、介護現場における「サポーター」としての働き方がふさわしく、これは、介護人材の確保にもつながる。

 とくに高齢者自身が「介護サポーター」となり、介護現場で就労することが期待される。高齢者が「支えられる側」だけでなく、「支える側」にもなることで、介護人材を増やしていくという視点が求められている。

 日本老年学会・日本老年医学会は2017年に「10~20年前に比べ、高齢者は5~10歳若返っている。65~74歳の前期高齢者では、心身の健康が保たれており、活発な社会活動が可能な人が大多数を占めている。高齢者も社会の支え手となるべきだ」との提言を公表した。
「介護サポーター」は潜在的労働力
 介護現場における人材不足への対応として、現在の労働市場から専門人材(主として有資格者)や専門人材候補(将来的に資格取得を目指す者)を確保するとともに、高齢者や主婦などの非労働力化している潜在的労働力の活用が必要とされる。

 潜在的労働力の中には、専門人材へのキャリアアップを望まず、他人から感謝されたり役に立ったりする「やりがい」や定型的業務の遂行を重視する者も多い。

 したがって、将来的に専門人材となることを目指さず、介護の専門性が必ずしも高くない業務(周辺業務)を担う「介護サポーター」という役割を設け、潜在的労働力に担ってもらうことは効果的としている。
「介護サポーター」の導入例は増えている。
 実際に三重県介護老人保健施設協会など、「介護サポーター」を導入している例は増えている。

 三重県では、元気な高齢者を介護現場の周辺業務等を担う「介護助手」として雇用し、シーツの取替、食事の配膳、清掃などの周辺業務を担ってもらうことで人材不足へ対応し、介護職員の負担軽減と専門性の高度化につなげる取組として、介護老人保健施設を中心に進めている。

 さらに、介護サポーターでは、労働への制約(稼働日、稼働時間など)が多様なため、例えば「個人に応じた業務調整を可能とする」「週1日・3時間程度からの参加を可能とする」「調理補助のみとする」といった、柔軟な働き方を可能とする環境整備も必要とされる。
「介護サポーター」が20万人の人材需要を抑制
 「業務フローに合わせて人員を配置する」という考え方から、「職員の就業時間・配置状況に合わせた業務フローを構築する」という考え方への転換も重要としている。

 さらに、事前にそれぞれの事業所・施設の「理念」を明確にし、適切な業務切り分けを行っておくことなども必要となる。

 施設サービス(特養・老健)、居宅サービス(通所・特定施設)において、「介護サポーター」が活躍することで、2035年時点で、約20万人の人材需要抑制が見込まれるとともに、介護職員の負荷軽減による離職率の低下により最大8万人の人材供給増が見込まれるという。

 経済産業省は今後の検討で、「介護サポーター」の導入に向けたBPR(ビジネス・プロセス・リエンジニアリング)の手法を活用した業務プロセスの見極め・見直し・切り出しの推奨や、「介護サポーター」の導入事例、採用に向けた効果的なアプローチ(募集)方法などをまとめるという。

「将来の介護需給に対する高齢者ケアシステムに関する研究会」報告書を取りまとめました~人生100年時代を見据えた、高齢者の就労を含む社会参加の促進に向けて~(経済産業省 2018年4月9日)
[Terahata]

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