男性の同性間性的接触によるA型肝炎患者が激増
A型肝炎はA型肝炎ウイルスによる感染症で、汚染された食物の摂取、またウイルスが付着した手で口に触れることで感染(経口感染)する。一方でウイルスは便に排出されるため、感染者との性的接触で肛門周囲をなめる行為や、アナルセックスなどを行った場合も感染のリスクがある。
潜伏期間は2~7週間で、症状が出る前後でもウイルスは便に排出される。症状としては発熱や全身倦怠(けんたい)感などの後、食欲不振や嘔吐(おうと)などの消化器症状が現われ、さらに数日後、肝機能低下による黄疸(おうだん)を呈することが多い。重症化して劇症肝炎や腎不全になることもある。特効薬はなく、症状に応じた対症療法が行われる。
予防はトイレの後や調理・食事前の十分な手洗いが有効だが、感染者が同居している場合などは予防接種の検討も勧められている。
国立感染症研究所の発表では、本年度、第1週から第33週までにA型肝炎と診断・報告されたケースで推定される感染経路は、経口感染が全体の37%となっており、過去の報告(74%)と比べて割合的に低い。反面、これまで報告が少なかった性的接触が本年度は全体の51%を占め、突出して増加している。
このうち女性における性的接触の割合は、過去と比較して大きな変化はなかった。一方、男性の同性間性的接触により感染した人数は297人で、2015年~2017年の累積数である17人に比べて激増している。
そのため厚生労働省健康局結核感染症課は7月、「A型肝炎報告数増加に伴う注意喚起について(協力依頼)」を地方自治体、医師会、感染症関連の学会等へ発出。推定される感染経路として性的接触が多いことについて注意喚起し、感染者の衛生管理や同居者に予防接種に関する情報提供などを行うことなどを求めた。
東京都でも都内におけるA型肝炎患者報告のうち、男性同性間での性行為で感染したと思われる報告が昨年1年間の件数を超えていることから、リーフレットを作成するなどして注意を呼び掛けている。
また、国立感染症研究所の報告では、自治体と連携した民間団体などがA型肝炎に関する基礎知識や、予防接種などについての学習会を実施しているケースもあるという。
一方、日本感染症学会などでは注意喚起にあたり、性的接触により感染した人が適切な治療や支援を受けられるよう、一般への周知には特段の配慮を行うよう注意も求めている。
2012年第1週から2018年第33週までの感染症発生動向調査におけるA型肝炎の報告状況 2018年8月22日現在(国立感染症研究所 感染症疫学センター)
協力依頼「A型肝炎患者の報告数増加に伴う注意喚起ついて」(厚生労働省)
日本感染症学会 A型肝炎患者の報告数増加に伴う注意喚起について
A型肝炎(東京都感染症情報センター)
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