ニュース
頭頂脱毛の男性は心臓病リスクが高い
2013年04月10日
頭頂に脱毛がある男性は、ふさふさ髪の男性に比べ、心筋梗塞や狭心症など心臓病の危険性が高い傾向にあると、東京大学の研究者が発表した。年齢が上がるとともに男性ホルモンが減ることが影響しているという。
東京大学医学部の原一雄特任准教授(内科学)らの研究チームが、英医学誌「BMJ Open」に4月3日付で発表した。 研究チームはこれまでに発表された医学論文6本を調査した。欧米の30~80代男性約3万6,990人を11年以上経過観察したデータから、頭部の脱毛や薄毛の進み具合と心臓病の発生率との関係を調べた。 その結果、頭頂に脱毛のある男性は、髪のある男性に比べて、冠状動脈性疾患のリスクが32%高く、特に60歳以下のリスク上昇は44%に達することが判明した。 心臓病のリスクは、「つむじ付近のみ」、「額から頭頂部」、「耳の上から頭頂部にかけて全体」の脱毛でも上昇したが、頭頂近くの脱毛がもっともリスクが高いことが分かった。 薄毛や抜け毛進行には、遺伝とともに男性ホルモン(テストステロン)が深く関わっていることが近年の研究で分かっている。男性ホルモンの分泌は20歳代をピークに、その後加齢とともに低下していく。今回の研究について、「男性ホルモンの減少と心臓病の発症は関連があるのでは」という指摘がある。 特に頭頂部の発毛は、男性ホルモンの影響を特に受けやすいと考えられている。頭頂部が薄毛になっても、後ろ髪がふさふさな男性も多いのは、男性ホルモンの影響があるからだ。 男性ホルモンは男性的な骨格や筋肉質の体を作るだけでなく、動脈硬化を抑制し、心筋梗塞などの心血管の病気に対するリスクを減少させる。 中年男性に多くみられる下腹の出っ張りや筋肉や持久力の衰えは、男性ホルモンが減少し起こると考えられている。また、筋肉の減少による基礎代謝の減少、脂肪組織の増加にも影響している。 「脱毛や薄毛と心臓病の関連については、今後も詳しい調査を行う必要がありますが、今回の研究は、特に若い人で頭頂部の脱毛が起きている場合は、心臓病のリスクが高まっているという結果になりました」と研究者は述べている。 「心臓病は食事や運動などの生活習慣を健康的に変えていくことで予防できます。危険性の高い人には、健診を定期的に受け、肥満の解消や禁煙などの生活習慣改善に努めることが勧められます」としている。 Male pattern baldness and its association with coronary heart disease: a meta-analysis(BMJ Open 2013年4月)
掲載記事・図表の無断転用を禁じます。©2009 - 2024 SOSHINSHA All Rights Reserved.
「保健指導リソースガイド」に関するニュース
- 2023年07月12日
- 【アルコールと保健指導】「飲酒量低減外来」についてのインタビュー/面談時に30秒でできるアルコール指導ツールの紹介
- 2023年07月04日
- 健康経営の推進に!課題解決に合ったものを探せる「健康管理システム」一覧をリニューアルしました【サイト情報】
- 2023年04月04日
- 【サイト情報】「よろず相談センター」終了のお知らせ
- 2023年02月20日
- 【サンプル提供】間食指導に♪糖類ゼロでおいしい甘さ「パルスイート® カロリーゼロ」&ヘルシーレシピ集
- 2023年02月10日
- 【オピニオン公開中】職域でのアルコール指導・減酒支援、多職種・チーム連携
- 2023年02月02日
- 【オピニオン公開中】「ナッジ」を応用した健康づくり 誰もが健康になる社会を目指して
- 2023年01月04日
- 【専門職の皆さまへ】特設ページ「アルコールと保健指導」をオープンしました 現場で役立つツールも掲載中
- 2022年11月17日
- あなたと地球の健康のために禁煙を!~市民公開講演会・参加者募集中(参加費無料)~―全国生活習慣病予防月間2023ー
- 2022年11月10日
- 【オピニオン公開中】職域の「禁煙」を確実に進めるために―「喫煙」対策の最新情報と「禁煙」の実践紹介―
- 2022年11月02日
- 業務課題は「対象者に合わせた保健指導」がトップに―保健指導リソースガイド利用者アンケートよりー