オピニオン/保健指導あれこれ
中小企業の安全で元気な職場つくりを支援するために
No.3 誰が連携を進めるのか
愛知医科大学医学部衛生学講座 教授
2014年04月07日
若い世代の育成、新しい考え方の導入
ここまでお読みになってお気づきのことと思いますが、産業保健専門職は現場で単に知識伝達型の対応だけをしていたのでは、求められる役割が果たせないのです。
各地域で千差万別の中小企業をめぐる状況を踏まえ、最も効率的で最も的確な方法で中小企業の組織化を進め、労使をはじめ様々な専門職との連携を模索し、職場での自主的な安全衛生活動を促すという高度な作業が必要とされます。そんな能力はどうやったら獲得できるのでしょうか?
教科書を読めば答えが書いてあるわけではないこの課題に立ち向かう力をつけるためには、私は現場での実践で各専門職が自らを鍛えていくことが大事ではないかと思っています。上記のように中小企業の支援を専門的に行う専門職は限られています。しかし、保健師のような主要な専門職が日常的な業務を行う中で、上述のことを踏まえて常に考えて活動することで次第に的確な方法が見えてきます。
今回は詳しく触れられませんでしたが、これまでに述べたことは健康診断の結果を見て事後措置を行うという従来型の産業保健活動とは少し異なっていることに気づかれた方もいることでしょう。生活習慣病、作業関連疾患を予防することを主眼として職場のリスクアセスメントに基づいた活動、いわゆる労働安全衛生マネジメントシステムの活動になります。これからはこの考え方を身につけた産業保健専門職が必要とされます。
保健師は公衆衛生の専門職ですが、公衆衛生の目的を果たすためには、中小企業で働く人々の安全衛生は決して避けて通ることができません。専門職としての誇りと情熱を持った若い世代を育てることも大事な仕事です。課題は多いのですが、様々な分野、様々な世代の専門職が力を合わせ、実践の中で一人一人が鍛えられるような活動をぜひ進めていただきたいと思います。
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