内閣官房「人々のつながりに関する基礎調査」からわかる「多接」の重要性
内閣官房は3月31日、「孤独・孤立の実態把握に関する全国調査(人々のつながりに関する基礎調査)」の令和4年の調査の結果を公表しました。この調査は、「我が国における孤独・孤立の実態を把握し、各府省における関連行政諸施策の基礎資料を得ること」を目的とするもので、令和3年からスタートし、今回は第2回目です。
一般社団法人日本生活習慣病予防協会は、2011年の創設以来、「孤独や孤立」についても生活習慣病予防の観点から啓発活動を進めています。
当協会の健康スローガン「一無、二少、三多」(一無:無煙・禁煙、二少:少食、少酒、三多:多動、多休、多接)の「多接」は、「多くの人と交流し、さまざまな事、物に好奇心をもって接し、創造性豊かなイキイキした生活を送る」ことの大切さを示しています。
人は、社会とのつながりが途絶えると身体的・精神的な健康障害が起こりやすことが科学的に検証されています。「多接」の視点から、公開された令和4年「人々のつながりに関する基礎調査」の一部を紹介します。
調査手法と解析対象者の性別・年齢層
「人々のつながりに関する基礎調査」は、「顕在化してきている孤独や孤立の問題に政府として対応するため、孤独・孤立対策担当大臣が司令塔となり、政府一体となって対策を推進する」ことを背景に令和3年から開始されています。調査対象は全国から無作為に抽出された16歳以上の2万人で、令和4年12月にインターネットまたは郵送により実施されました。有効回答は1万1,218件(56.1%)でした。
解析対象者の46.2%が男性、52.9%が女性、0.9%はその他(答えたくない、わからないなど)で、年齢層は16~19歳が2.9%、20代7.9%、30代11.0%、40代15.4%、50代17.0%、60代17.1%、70代18.8%、80歳以上9.9%です。
調査内容は、孤独の状況、孤立の状況、および新型コロナウイルス感染症パンデミックの影響という3点です。
孤独の状況:未婚者、離別者、独居者、失業者は孤独を感じやすい
孤独の状況については、「どの程度、孤独であると感じることがあるか」という質問の回答からの直接的な評価と、人付き合いの程度などに関する質問に対する答えからの間接的な評価で把握されています。
直接的評価では4.9%が、孤独感が「しばしば・常にある」という結果であり(図1)、間接的評価では7.1%が12点満点中10点以上という結果(図2)でした。いずれについても、前年(令和3年)との比較で、孤独を感じている人がやや増えているという結果でした。
性別・年齢層との関係
性別や年齢層との関連でみると、直接的な評価で孤独感が「しばしば・常にある」と回答した人の割合は、年齢層別では30代が7.2%で最多であり、80歳以上が2.3%で最少でした。性別では、男性の平均が5.1%、女性の平均は4.6%、性別・年齢別の最多層は、男性では50代(7.3%)、女性は30代(7.9%)です。
婚姻・居住・就業状況との関係
次に、婚姻状況との関連をみると、直接的な評価で孤独感が「しばしば・常にある」と回答した人の割合は、未婚者(9.7%)と配偶者と離別した人(8.8%)で高く、配偶者のある人(3.0%)や死別した人(3.1%)は低値でした。
また、同居人がいる人ではその割合は4.1%であるのに対して、独居者は9.2%と高値でした。
就業状況で比較すると、失業中の人は「しばしば・常にある」の割合が9.9%であり、全体平均の4.9%の倍以上高いという結果です。一方、無職であっても失業でない場合(リタイアしたひとと考えられます)は4.5%と全体平均以下でした。
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一般社団法人 日本生活習慣病予防協会のご案内
「一無、二少、三多(※)」のスローガンを掲げ、生活習慣病の予防、啓発を目的に、情報発信、企業との連携活動などを行っております。毎年2月を、全国生活習慣病予防月間とし、テーマを定め、講演会や関連団体、企業との協力関係のもと、全国的な啓発活動を行っています。
保健指導の現場でも役立つ、ポスター・リーフレット等の啓発資材配布などを行っています。
※一無:禁煙 二少:少食、少酒 三多:多動、多休、多接
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