健康日本21で日本人はどのくらい健康になった?
~第二次最終報告書と年次推移を図解~
平成12(2000)年度より、厚生労働省の主導により展開されてきた「21世紀における国⺠健康づくり運動(健康⽇本21)」の第二次の最終評価報告書が昨秋発表されました。今回は、健康日本21(第二次)の「分析評価事業」として、国立健康・栄養研究所で公開されている現状値の年次推移の図を引用しながら、最終評価報告書を紹介します。
Part 1では、「健康日本21」の背景と全体的な結果の概要、メタボリックシンドロームや糖尿病、脳・心血管疾患などにかかわる目標達成率について解説しました。Part 2では、喫煙、栄養・食生活、飲酒、運動、睡眠、心の健康、高齢者の健康など、当協会の健康スローガン「一無、二少、三多」にかかわる項目について取り上げました。
一般社団法人日本生活習慣病予防協会は、健康日本21推進全国連絡協議会会員として「健康日本21」運動を支援しています。
「健康日本21」の背景と最終結果の概要
⽇本では急速な少⼦⾼齢化や⽣活習慣の変化に伴い、虚⾎性⼼疾患、脳⾎管疾患、糖尿病、一部のがんなどの⽣活習慣病の割合が増加してきました。これに対する国家的な施策として、2000年度にスタートした運動が「健康⽇本21」です。
第一次計画期間(2012年度まで)の終了時の評価で明らかになった課題を踏まえ、「全ての国⺠が共に⽀え合い、健康で幸せに暮らせる社会」の実現に向けて、2013年度から「健康⽇本21(第⼆次)」がスタートしました。健康⽇本21(第⼆次)には53項目の目標が掲げられており、目標達成期間はおおむね10年間とされていました。
全体的な評価結果
53項目の目標のうち、8項目(15.1%)は目標に到達、20項目(37.7%)は目標に到達していないが改善傾向(ベースライン時との比較で片側p値が0.05未満)、14項目(26.4%)は変化なし(ベースライン時との比較で片側p値が0.05以上)、4項目(7.5%)は悪化(ベースライン時との比較で片側p値が0.05未満)であり、7項目(13.2%)は評価困難と判定されています。
目標が達成された8項目の中には、健康寿命の延伸、脳血管疾患・虚血性心疾患の年齢調整死亡率の減少、HbA1c8.4%以上の人の割合の減少などが含まれていて、一方、悪化した4項目には、メタボリックシンドローム該当者および予備群、睡眠による休養を十分とれていない人の割合、生活習慣病のリスクを高める量の飲酒者の割合などが含まれています。
主な目標ごとに、どのくらい改善または悪化があったのかをみていきましょう。
メタボリックシンドローム
メタボリックシンドロームに関しては、予備群も含めた該当者が平成20年(2008)度に比べて25%(約1,000万人)減ることが目標とされていました。特定健診・保健指導(メタボ健診)が2008年度に始まるなど、重点的な施策が行われてきましたが、結果は前述のように「悪化」でした。最終評価時点の2019年度の該当者数は約1,516万⼈であり、ベースラインからの相対的変化が+8.3%でした。
特定健診・保健指導の実施率
メタボリックシンドロームとそれによる脳・心血管疾患の抑制を主眼として行われている特定健診・保健指導の実施率は、2019年度にそれぞれ55.6%、23.2%で、いずれもベースライン時より改善しているものの、⽬標値(同順に70%、45%)に達しておらず、「⽬標年である2025年度までの⽬標達成も危ぶまれる」と記されています。
なお、評価判定は「B(目標に到達していないが改善傾向)」ですが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響で、データソースとなる調査の一部が中止された影響が生じています。
糖尿病有病者数
糖尿病有病者数については、2020年度の国⺠健康・栄養調査がCOVID-19のために中⽌となったため、2016年度からデータが更新されておらず、「E(評価困難)」とされました。ただし、2019年度の推計は約1,150万⼈であり、⽬標の1,000万⼈には達していないものの、当初予想されていた1,270万⼈と⽐較すると、⼀定程度増加は抑制されているとのことです。
※日本生活習慣病予防協会ウェブサイトに移動します
一般社団法人 日本生活習慣病予防協会のご案内
「一無、二少、三多(※)」のスローガンを掲げ、生活習慣病の予防、啓発を目的に、情報発信、企業との連携活動などを行っております。毎年2月を、全国生活習慣病予防月間とし、テーマを定め、講演会や関連団体、企業との協力関係のもと、全国的な啓発活動を行っています。
保健指導の現場でも役立つ、ポスター・リーフレット等の啓発資材配布などを行っています。
※一無:禁煙 二少:少食、少酒 三多:多動、多休、多接
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