産業保健専門職育成現場レポート
①埼玉産業保健総合支援センター「産業看護職交流研究会」
「労働衛生体系」「健康管理」解説とグループワーク
5月29日に開催された第1回では、まず「労働衛生の体系について」というテーマで、埼玉産業保健総合支援センター副所長の松永浩司氏が講義。「労働安全衛生法」の条文や、労働安全に関する調査結果を参照した後、事業所内での「健康診断」実施の根拠や具体的な内容を、網羅的に解説した。
続いて「健康管理概要<産業看護職の役割>」を、同センター相談員の市原千里氏が解説。産業看護職の業務の中でも特に重要な「予防」「健康管理」には、最終目標に向けたPDCAサイクルの実践とスパイラルアップが欠かせないとし、さまざまな産業保健活動につながる中心が「健康診断」であるとまとめた。
講義のあとには8人前後でのグループワークが実施され、参加者が日頃の業務で悩んでいるポイントや、本研究会を通して学びたいことなどを交えて自己紹介を行った。臨床看護の現場から産業保健にシフトしたばかりの参加者も多く、「体系的にどのように学べば良いのか知りたい」といった声が聞かれたほか、一人職場で従事する参加者は「自分の仕事が独りよがりになっていないか確認したい」といった目的を挙げていた。
最後に、第2回以降に実施する個人ワーク「健康診断の工程図の作成」に向けた宿題が説明され、その後は自由参加の「交流会」が行われた。
さまざまな悩みの解決に繋がる交流研究会
産業保健従事者同士の交流は、職場の規模や学習環境に左右されるため、「まったくない」という方も少なくない。本研究会は知識・技術の伝達に留まらず、「交流の機会」を提供しているのが特色である。
冒頭でも紹介したとおり、本研究会は主要な参加者として、産業保健業務の経験年数が短い方を想定している。しかし、それ以上に経験年数を重ねていても「学び直したい」というモチベーションで参加している方がいると、運営担当者が紹介していた。また、埼玉県という地域の特性上、「工場」で従事する参加者も多く、そのような職場ではなかなか予防にシフトできないという悩みが聞こえてくるという。
「交流」を通じて、さまざまな人の意見を聞くことで、各自が抱える「悩み」の解決に繋げることができる、貴重な研修だということが取材を通して理解できた。新型コロナウイルスの影響でオンライン開催を余儀なくされていたが、来年度以降は現地開催も検討中とのことである。ご興味のある方は、ぜひ参加をご検討いただきたい。
独立行政法人労働者健康安全機構 埼玉産業保健総合支援センター
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