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助産師・保健師・精神科医など多職種が連携する「母子保健システム」を開発 メンタルヘルスを向上 国立成育医療研究センター

 国立成育医療研究センターは、産後の母親のメンタルヘルスを向上させる母子保健システム「須坂モデル」を開発したと発表した。
 これまでの妊産婦のメンタルヘルスに対する介入研究はひとつの職種によるものがほとんどだったが、「須坂モデル」は助産師や保健師、産婦人科医や精神科医などが、母親に妊娠期から切れ目のない支援を行うもの。
 このような多くの職種が連携した母子保健システムの開発は世界ではじめてだという。
長野県須坂市の母子保健関係者と協働で開発
 周産期は、うつ病などさまざまな精神障害の好発時期であるが、なかでも「産後うつ病」は、出産した10数%の母親に生じる非常に頻度の高い病気だ。周産期に母親の精神状態が悪いと、母親のみの問題にとどまらず、養育不全や乳幼児虐待のハイリスク要因にもなる。

 周産期の母親には、母子保健のさまざまな職種が関わるが、それらの職種の連携は難しいのが現状。そのため、周産期の母親に関わる職種が連携してサポートするような母子保健システムの確立が望まれている。

 今回開発された「須坂モデル」では、妊娠届を出した全ての妊婦を対象に保健師が面接を行い、心理社会的アセスメントを行う。さらに、心理社会的リスクのある親子に対し、保健師・助産師・看護師・産科医・小児科医・精神科医・医療ソーシャルワーカーなどによる多職種によるケース会議を、中核病院である長野県立須坂病院(現:信州医療センター)で行い、ケースマネージメントを行って、多職種でフォローアップする。
 多職種でどのように連携し、周産期のメンタルヘルスケアを行うかについては、国際的な治療ガイドラインである英国国立医療技術評価機構(NICE)でも喫緊の課題とされている。世界の母子保健で、有効性についてのエビデンスのあるモデル開発と研究が望まれている。

 「須坂モデル」では、メンタルヘルス不調の妊産婦への対応について、連携パスを母子保健関係者の間で共有して、連携をスムーズにすることを目指した。「国際母子保健のニーズにも応える、有効性のエビデンスのある母子保健システム」と、研究チームは述べている。

関連情報
母親を妊娠期から切れ目なく支援するために、行政・医療の連携が不可欠
 研究チームは実際に、産後に「須坂モデル」を実行し、地域全体の産婦のメンタルヘルスを向上させ、心理社会的リスクの観点から「気になる親子」として多職種でサポートする親子のケース数を著しく増加させる効果があることを明らかにした。

 「須坂モデル」を実行し、4ヵ月目に対象群と比較した結果、同モデル介入群では、エジンバラ産後うつ病質問票の点数が、統計的に有意に低下した。今回の研究で得られた「須坂モデル」は、国際母子保健のニーズにも応える、有効性のエビデンスのある母子保健システムだとしている。

 厚生労働科学研究の同研究班報告書でこの取り組みを報告し、国立成育医療研究センターで「母子保健メンタルケアゲートキーパー研修」を複数回開催。さらに、平成29年度子ども・子育て支援推進調査研究事業で、行政と医療が連携した切れ目ない支援の好事例として紹介された。

 「須坂モデル」のように妊娠届け出時の妊婦への全数面接や、行政と医療の連携した切れ目ない支援を行う母子保健システムは、他地域でも広まりつつある。また、今回の研究の連携パスは、日本周産期メンタルヘ ルス学会の「周産期メンタルヘルスコンセンサスガイド2017」で医療・保健・福祉の連携の推奨対応にも反映されている。

 「今回、須坂モデルの有効性についての科学的根拠が実証されました。妊娠期からの切れ目のない支援において、行政・医療の連携は不可欠であり、エビデンスにもとづく須坂モデルのような母子保健システムがさらに広まっていくことが望まれます」と、研究チームは述べている。
 研究は、国立成育医療研究センターこころの診療部乳幼児メンタルヘルス診療科の立花良之診療部長らによるもの。研究成果は「BMC Pregnancy and Childbirth」に掲載された。

 今回の取り組みは、平成26年より、厚生労働科学研究班「うつ病の妊産褥婦に対する医療・保健・福祉の連携・協働による 支援体制(周産期G-Pネット)構築の推進に関する研究」(研究代表者:立花良之)の研究事業と須坂市の母子保健事業の協働で行われたもの。開始当時、妊娠届け出時に全妊婦に対し保健師が面接をし、心理社会的リスク評価を行い、その後多職種でケースマネージメントをするような母子保健システムに、須坂市が全国ではじめて取り組んだ。

国立成育医療研究センター こころの診療部 乳幼児メンタルヘルス診療科
Integrated mental health care in a multidisciplinary maternal and child health service in the community: the findings from the Suzaka trial(BMC Pregnancy and Childbirth 2019年2月6日)
[Terahata]

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