高血糖を放置し続けると「血糖負債」?―問題は糖尿病だけではない! メディアセミナーをYouTubeで公開中!
主催者挨拶「一般生活者には血糖負債の重要性が理解されていない」
演者の講演に先立ち、主催者を代表して日本生活習慣病予防協会理事長の宮崎滋氏が、同会の活動を紹介した。同会は2000年に設立され、生活習慣病の一次予防を中心とする健康情報の普及啓発活動を展開している。
今回のセミナーのテーマである「血糖負債」について宮崎氏は、たとえ軽度の血糖異常であっても時間がたつと取り返しのできない状態になってしまうが、一般生活者の認識は低いことから、その指標としての「HbA1c」の認知度向上を狙い、新たに定義したと解説。
また、同協会が今春に行った調査の結果に触れ、コロナ禍で多くの医師が糖尿病患者の血糖管理が悪化していると感じていること、一方で一般生活者への質問では、「かかりたくない病気」の第一位に糖尿病が挙げられたものの、HbA1cの認知度は4割程度にとどまるという実態を紹介。その点からも、HbA1cにより血糖負債を評価することの重要性を訴求する必要があると、メディアセミナーを企画した背景を語った。
第1部「血糖負債が生む諸問題とHbA1cを意識して生活することの重要性」
綿田氏はまず血糖レベルを把握する検査値として、空腹時血糖値、食後血糖値、およびHbA1cという3つの指標があることを紹介。血糖値は食事などにより大きく変動するのに対してHbA1cは短期間では変動せず、過去1~2カ月の血糖レベルを把握できるという特徴を解説した。HbA1cが高い状態では、からだに血糖負債が高速で溜まりつつあると判断できるという。
HbA1c5.5%以上は、血糖負債を意識する必要がある
具体的には、人間ドック学会の判定基準を示し、HbA1c5.5%以下なら血糖負債はほとんど溜まらず、6.5%以上では何らかの治療をしなければ血糖負債が短期間に蓄積され、糖尿病特有の合併症が現れ得る。その間の5.6~6.4%では、糖尿病特有の合併症はあまり起こらないものの、放置しているとあたかも複利の利子が溜まるように加速度的に健康障害のリスクが高まるという。また、順天堂大学スポートロジーセンターの研究から、近年ではやせている若年女性や非肥満の中年男性でも血糖負債が蓄積されているという実態を紹介した。
生活習慣病は本人の責任ではない
続いて、2型糖尿病の成因について最新の知見を解説。エネルギー負荷が過剰になることで代謝異常が生じる過程や、それをインスリン分泌により代償することができずに高血糖を来す背景には遺伝的因子が関与しており、2型糖尿病は生活習慣のみで発症する疾患ではないとし、糖尿病患者をあたかも自己管理ができないだらしない人間との烙印を押すような行為は正しくないと強調。このようなスティグマが、糖尿病診療の大きな問題となっているという。
血糖負債による健康障害
次に綿田氏は、血糖負債によって生じる主な健康障害を解説。動脈硬化とそれによる心筋梗塞や脳卒中、がん、認知機能の低下などは糖尿病でリスクが上昇するが、糖尿病の診断基準に至らないHbA1cでもリスクが高まると解説。そのほかに意外なところでは、肌荒れや老け顔も血糖負債と関連があるという。
そしてHbA1cがさらに高い状態では血糖負債により糖尿病が発症。その治療が不十分な状態が続くと、網膜症や腎症、神経障害という糖尿病特有の合併症のほか、感染症のリスク上昇、歯周病、骨量減少など、全身に健康障害が起きてくるとのことだ。
また綿田氏は現在、全世界で対策が焦眉の急とされる新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と血糖負債との関連を取り上げた。糖尿病患者はCOVID-19の感染リスクが必ずしも高いわけではないが、罹患した場合には重症化リスクが高くなるという。
最後に、血糖負債の解消方法に触れ、基本的には血糖値を抑える手段と同じであり、食事療法と運動療法を基本とし、必要に応じて薬物療法を追加すると解説した。
第2部「コロナ禍でのHbA1c管理~HbA1cと上手に付き合うテクニック」
佐々木氏は、HbA1cを低下させるための対処法を中心に解説。それに先立って、管理栄養士を対象に行ったHbA1cに関する調査の結果を紹介した。
「HbA1c」の認知度
その調査によると、管理栄養士が糖尿病患者への栄養指導の際に最も重視する検査値は、空腹時血糖や食後血糖を抑えてHbA1cがトップに挙げられたとのことだ。一方で、患者のHbA1cの認知度については、「意味を理解している人が多い」との回答は7%に過ぎず、66%は「HbA1cという言葉は知っているが意味は理解していない人が多い」と回答し、「言葉も知らない人が多い」も27%を占め、HbA1cの認知度が糖尿病患者の間でさえ十分とは言えないことが示唆された。
新型コロナウイルスによる生活習慣変化の影響
また、現在のコロナ禍で糖尿病患者のHbA1cが悪化していると感じている管理栄養士が約6割を占めていることもわかった。コロナ禍でのHbA1cの悪化の要因として、運動不足の関与を指摘した回答が33%、生活リズムの乱れやストレスの関与が28%、食生活の変化の指摘が22%を占めたとのことだ。
具体的に、緊急事態宣言発出期間は6割強の人が、1日の歩数6,000歩以下に減少していたという。そして、歩数の減少は、女性であること、勤務時間が増加したこととともに、コロナ禍でのうつリスクとして挙げられるという研究結果を紹介した。食生活に関してもコロナ禍により、炊き込みご飯や焼きそば、ピザ、チャーハンなど、食事を1品で済ませてしまう傾向が強まっているという。
生活習慣改善ノウハウ
HbA1cを下げ血糖負債を抑制する方法として佐々木氏は、まず、肥満であれば減量が必要であると強調。そのうえで食事については、米国のガイドライン(Diabetes Care. 2020 S32-S36)に示されている、未精製穀物を増やす、豆類を増やす、果物・野菜を増やす、糖質の摂取量を減らす、加工品を減らすという方法を紹介。その他、間食で糖質の多いお菓子を食べる習慣のある方は、たんぱく質とミネラルが豊富なヨーグルトを使ったデザートなどに置き換えるといった工夫をすることも提案。栄養指導の際にはこれら推奨されている方法の中で、個々の患者にあうものを選ぶと良いと解説した。
また、満腹感はエネルギー量ではなく、食品の重量も重要なポイントであるとし、一例として、重量は700g程度でほぼ同じにもかかわらず、片方は1,500kcal、もう片方はその半分未満の700kcalの献立を紹介。どちらも同程度の満腹感を得られるため、このような献立の工夫によって無理のない減量が可能になるという。
運動に関しては、まず座位時間の短縮が重要で、2時間座っていたら10分はからだを動かすべきと述べ、加えて1日20分以上、週に2.5時間以上、息が弾む程度の運動が推奨されると解説した。
一般社団法人日本生活習慣病予防協会とは
日本生活習慣病予防協会は、生活習慣病の一次予防を中心に、その成因、診断、治療、リハビリテーションに関する知識の普及啓発、生活習慣病に関する調査研究を行うことを目的に、2000年に設立。2012年より公益性を高めるため一般社団法人化致しました。 設立当初より、健康標語『一無、二少、三多(いちむにしょうさんた)』(無煙、少食、少酒、多動、多休、多接)の健康習慣を提言し、2017年に1月23日を『一無、二少、三多の日』として記念日登録し、2011年より、毎年2月を「全国生活習慣病予防月間」として、『一無、二少、三多』の健康習慣の普及を図っています。役員は、医師を中心に構成。
一般社団法人日本生活習慣病予防協会本サイトに掲載されている記事・写真・図表の無断転載を禁じます。
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2026年7月18日・19日東京SELECT主催: 日本健康教育学会
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2026年07月23日~24日千葉SELECT主催: 日本睡眠学会第、日本睡眠歯科学会、日本睡眠検査学会
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2026年7月25日~26日愛知SELECT主催: 日本肥満症治療学会 教育委員会
2カ月先駆けカレンダー
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9月24日
厚生労働省では、9月24日~30日までを「結核予防週間」として、地方自治体や関係団体の御協力を得て、結核予防に関する普及啓発などを行っています。また、結核予防会では周知ポスターやパンフレットの作成配布、全国各地で街頭募金や無料結核検診、健康相談等を実施して、結核予防の取り組みを実施しています。 関連リンク 結核(BCGワクチン)(厚生労働省) (公財)結核予防会
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10月1日~10月31日
日本脳卒中協会は、世界脳卒中機構 (World Stroke Organization:WSO) が定めた世界脳卒中デー (World Stroke Day:WSD) の10月29日と歩調を合わせ、毎年10月の一ヵ月間を「脳卒中月間」とし、活動をより活発に行なっています。 関連リンク 日本脳卒中協会
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10月1日
全国労働衛生週間は、労働者の健康管理や職場環境の改善など、労働衛生に関する国民の意識を高めるとともに、職場での自主的な活動を促して労働者の健康を確保することなどを目的に昭和25年から毎年実施しているものです。 関連リンク 全国労働衛生週間 実施要綱・リーフレットなど(中央労働災害防止協会) 全国労働衛生週間(厚生労働省)
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10月1日
乳がんの早期発見を呼びかけるピンクリボン運動は1990年代に始められ、現在では世界30ヵ国で行われています。早期発見のためには定期的な乳がん検診が大切です。また、月1回の自己検診も推奨されています。 関連リンク 認定NPO法人 J.POSH日本乳がんピンクリボン運動
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10月1日
健康保険組合の被保険者とその家族の健康の保持・増進を図るとともに、自らの健康について関心を高め、健康で明るい職場と家庭をつくりあげることを目的とし、健康保険組合が健康・体力づくりに関する各種事業を実施するほか、「運動、栄養・食生活、禁煙」などの、生活習慣の見直しや改善のための正しい知識の普及・啓発などを実施します。 関連リンク 健康強調月間(健康保険組合連合会)


