トピックス・レポート
働く人に伝えたい!薬との付き合い方
-薬・サプリとセルフメディケーション-

①錠剤を割る/カプセルを開ける/噛むのは【危険】

ゆっくり溶けて長く効く―「徐放性製剤」の特徴

 最近、製剤の技術は大きく進歩しています。しかし、それを正しく理解して薬を飲まなければ、せっかくの工夫(技術の進歩)も台無しになり、危険な場合もあります。製剤の特徴から正しい飲み方を考えてみましょう。
 今回取り上げるのは「徐放性製剤(図1)」です。

「徐放性製剤」とは?

 薬の成分がゆっくりと溶け出し(徐放化)、効果が長く続くように加工したものです。薬剤の徐放化により、①一定の薬効が持続される、②1日1回や2回の服用で効果が24時間続くため、患者の負担が軽減される、 ③血中濃度の上昇による副作用の発現が回避される、などの利点があります。

種類(代表的なもの)

 ①すぐに溶けて吸収される部分と体内で徐々に溶けて吸収される部分を合わせた薬(錠剤)や、②溶ける時間の違うさまざまな粒を混ぜ合わせた「カプセル剤」などがあります。

図1.png

図1 錠剤とカプセル

 多くの場合、徐放性製剤には略語がつけられています

 ・R:retard(遅らせる)
 ・L, LA:long acting(長く効く)
 ・CR:controlled release(放出をコントロールする)

(例)ユニフィルLA錠(成分名:テオフィリン)、アダラートCR錠(成分名:ニフェジピン)。ただし、テオドール錠など、略語がつけられていない薬剤もあります。

【注意】錠剤を割る/カプセルを開ける/これらを噛むと何が危険なのか

 徐放性製剤を粉砕してしまうと、急激な吸収や一過性の血中濃度上昇をもたらし、過量時の副作用発現と、持続性の消失による治療への悪影響が考えられます(図2)。

図2.png

図2 徐放性製剤を割ったり噛んだりした時の血中濃度

 薬を経口投与すると、【体内の薬の流れ】によって、血液中の薬物濃度(血中濃度)は上昇し、最高値に達した後、時間の経過とともに、代謝(肝臓)、排泄(腎臓)により減少します。

 血中濃度には、薬の効果が現れる【有効域】、それ以下で効果が現れない【無効域】、それ以上で種々の害が現れる【毒性域】が"必ず"あります。したがって、薬が有効域にとどまるように、一般的な製剤(速攻性製剤)では、通常「1日3回・1回2錠服用」などの用法・用量が決められています。それに対して徐放性製剤は、薬の工夫により、1回の服用で長時間、血中濃度が有効域に保たれます(図2)。

 もし、この徐放性製剤を「割る/カプセルを開ける/薬剤を噛む」ということをしたら、血中濃度は一気に毒性域まで上昇し、それが長く持続します(図2の朱色点線)。当然、中毒症状の現れる危険性が増します。

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