業務課題は「対象者に合わせた保健指導」がトップに―保健指導リソースガイド利用者アンケートよりー
業務で難しい・困難だと感じること
『日頃の業務を進める中で、難しい・困難だと感じることを教えてください』という質問では沢山のご回答をいただきましたので、項目分けを行いました。
全体での回答と保健師のみの回答に分けて集計した結果、特に「対人支援・対象者に合わせた保健指導」について悩んでいることが分かりました。
次に、保健師のみの回答を「勤続年数」「年代」に分けて集計しました。『日頃の業務を進める中で、難ししい・困難だと感じること』が多い割合は、勤続年数別では1~5年未満(44.6%)が多く、次いで5~10年未満(26.2%)、10~20年未満(20.3%)でした。 また、年代別では30代(36.6%)、40代(33.2%)、50代(25.7%)が多い傾向にあります。
「演習型の研修」に参加して経験を積み重ねる(よろず相談センター相談員代表:亀ケ谷律子)
今回、多くの方々からアンケートにご回答いただきました。その中から「業務を進める中で難しい・困難だと感じること」に注目してみたところ、解決策として以下の5つに整理できると思われました。
① 正しい情報の入手先がわかれば解決できること
② 経験を積めば解決できること
③ きちんと研修を受ける必要があること
④ 研修を受けたうえで訓練する(OJT等)必要があること
⑤ 自己の思考や仕事の進め方を客観的に評価できる機会を得る必要があること
保健師を含む全ての職種で「対象者にあわせた保健指導が困難だと感じる」という課題が筆頭に挙がっていましたが、これは回答者の多くが日々実際に保健指導業務に携わっていることの表れではないでしょうか。
経験年数が少ないほどそう感じることは当然ですので、ひとりよがりにならないよう、まずは研修受講、そして経験を積み重ねていくことが重要です。 一方、この課題は年代が比較的高い方が困難と感じる傾向にありました。これまでの自己の経験や考え方からの「こうあるべき」といった思考傾向が、"思い通りにいかない対人支援"として難しく感じる結果になっているのかもしれません。解決策としては<⑤ 自己の思考や仕事の進め方を客観的に評価できる機会を得ること>が有効だと考えられます。
企画書やPowerPoint作成のひな型、保健指導の展開手順などを手軽に求める傾向もありました。ですが、保健指導業務のような対人支援はノウハウどおりにはいきません。事例を重ねるだけでなく、事例をまとめ、評価し、何が課題なのか指導者の下に考え、次のステップ進む、演習型の研修が望まれるところです。
また、経験年数が上がっていくと、経験に合わせた職務として「多職種他組織等との連携・マネジメント」の課題が挙がってきます。これについては聞くだけの研修ではなく、演習のある事例検討などの参加型研修を受けながら経験を重ねていけたらよいでしょう。
どの業務にも言えることですが、物事の本質、つまり現状分析やそこから得られた課題に沿った事業(支援)計画を立てる必要があります。今後はそのような良質な研修が増え、皆さまがそれを選択できる機会も増えることを願っています。
(よろず相談センター相談員代表 亀ケ谷律子)
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