トピックス・レポート
働く人に伝えたい!薬との付き合い方
-薬・サプリとセルフメディケーション-

②くすりが台なし? 薬剤を牛乳で飲むと何が起こるか

「腸溶性製剤」服用時のトラブル②
アスピリン製剤(腸溶錠)を割ったり、砕いたりして飲むと胃が荒れる!

 アスピリンは、解熱鎮痛薬として用いられていますが、低用量アスピリン(バイアスピリン)は血小板凝集抑制作用があることから、脳梗塞・心筋梗塞・狭心症などの心血管疾患の予防として処方されます。

 長期間服用する場合の多い低用量アスピリンでは、副作用を避けるために腸溶錠性製剤が用いられます。

バイアスピリン錠100mg インタビューフォームより

薬剤投与時の注意
本剤はこの胃粘膜刺激作用を回避する目的で製剤設計された腸溶性製剤(腸溶錠)で、素錠や緩衝錠等の胃可溶性アスピリン製剤に比べて胃忍容性に優れた製剤である。そのため、割ったり、砕いたり、すりつぶしたりすると、この製剤学的特性が失われる可能性がある。

(注) 製剤学的特性(胃忍容性に優れた製剤)が失われることにより、アスピリンの副作用が現れます。

アスピリンの副作用について

①プロスタグランジン(PG)の合成を抑制し、消化管粘膜障害を起こします。
 PGは発熱、痛みを引き起こす物質として知られていますが、一方で胃粘膜を保護する働きをしています。アスピリンなど(NSAIDs)は、このPGの生成を阻害することで、解熱・鎮痛作用を発揮(作用)しますが、胃粘膜を保護する作用が発揮できなくなり、胃粘膜の障害が引き起こされます(副作用)(図5)。

②アスピリンと胃粘膜の直接接触により、局所刺激作用が引き起こされ、胃の障害が起きます。

図5.png

図5 アスピリンの作用と副作用

(参考)NSAIDs(アスピリン、イブプロフェン、ロキソプロフェンなど)を含むOTC医薬品について

 分類:解熱鎮痛薬
 成分:アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ロキソプロフェンナトリウムなど

説明書(添付文書)にはこのような注意が記載されています。

服用方法:なるべく空腹時を避けて服用して下さい。

 ⇒これは、PG生成抑制による胃粘膜の損傷を防ぐのに大切です(図5

 

「腸溶性製剤」その他のトラブル

胃酸で分解されてしまう薬物

例えば抗潰瘍薬オメプラゾール、抗生物質エリスロマイシンなども腸溶性製剤とされており、服用時には割ったり、砕いたり、すりつぶしたりしないでください。


活性生菌製剤

胃酸に弱い、生きた乳酸菌やビフィズス菌などの製剤も腸溶性製剤とされており、服用時には同様の注意が必要です。

 次回は「口腔用錠剤(トローチ剤、舌下錠など)」を取り上げます。
これまでの「働く人に伝えたい!薬との付き合い方」

参考情報

「コーラック」添付文書(大正製薬)
「バイアスピリン錠100mg」インタビューフォーム(バイエル薬品)

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