日本産業保健師会 2022年度 第2回研修会
「産業保健師の力量の向上と職能・学術団体参画の意義」
日本看護協会の取組から~産業保健師への期待~
最後に、日本看護協会常任理事の鎌田久美子氏が「日本看護協会の取組から~産業保健師への期待~」を講演した。
時代の推移とともに保健師活動の対象は拡大しており、地域・産業保健を問わず、さまざまな課題がある。中堅期保健師には高度な能力が必要とされているが、産業分野は行政領域と比較すると現任教育を受ける機会が少ない(「平成30年度保健師の活動基盤に関する基礎調査結果」(日本看護協会)より)。
鎌田氏は日本看護協会が日本産業保健師会と協力して実施している「産業保健活動推進リーダーとしての保健師に必要な能力の強化研修」を紹介し、研修の意図や背景、到達目標を解説した。
そして「これから日本社会でどのような変化が起き、どのような活動が求められるのか考えてください」と鎌田氏は参加者へ問いかけ、2040年までの人口等に関する見通しや政策課題、地域共生社会の実現に向けた看護への期待を概観。
職能団体に参画する意義は、一人ではできないことを解決につなげるためだとし、ネットワークの豊かさが職域を含めた「地域の豊かさ」につながると結んだ。
参画することで成長し、連携することで大きな課題を解決する
講演後の質疑応答では「3団体が連携していることで心強かったこと」という質問に対して、岡田氏、五十嵐氏、鎌田氏が自身の団体の立場から、連携の意義を語った。厚生労働省で進んでいる「産業保健のあり方に関する検討会」でも、それぞれ異なる強みをもった3団体が協力することで組織力を発揮して、産業保健師の声を届けているとのことであった。
保健師が職能団体や学術団体に参画することは、自身の専門性を向上させ、さらに豊かなネットワークを通じてより大きな問題の解決に繋げられるという、かけがえのない価値がわかる研修会となった。
公益社団法人 日本産業衛生学会 産業看護部会
公益社団法人 日本看護協会
参考資料
令和2年度事業場における保健師・看護師の活動実態に関する調査報告書(労働者健康安全機構)
「平成30年度 保健師の活動基盤に関する基礎調査」単純集計結果(日本看護協会)
「一般社団法人 日本産業保健師会」について
「一般社団法人 日本産業保健師会(旧称「産業保健師活動研究会」)」は、産業保健師の職能団体として2008年3月に設立されました。職域において、労働者や事業者の健康ニーズに組織的に応えるため、産業保健師の力量の向上と法制化をはじめとした活動基盤の強化を目的として活動しており、正会員として435名が所属しています(2022年3月末現在)。
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