第2回 「データヘルス計画」について ~どう計画し、運用するか~
ICT(情報通信技術)を活用した保健事業の実施に期待
木村: データヘルス計画の作成時のポイントを伺いたいと思います。健保組合の役員の方々は様々な説明会や加入団体等の講演で概要を聞いており、大枠では把握しているようですが、実際の計画作成に携わる事務の方や保健師の方に情報が届いておらず、データヘルスという言葉だけ一人歩きし、自分たちがどう携わっていくのかわからない状態といった声を聞きます。
高橋: 具体的に担当者がどう関わっていくのかというと、基本的には26年度いっぱいで計画を作成してもらいます。今後の予算・スケジュールの話になりますが、現在、予算要求をしている中で、「モデル的データヘルス計画」作成と、そのあとの普及・指導事業にかかる費用を盛り込んでいます。
まず平成26年度の上期で、いくつかの健保組合(大・小、単一・総合の類型を踏まえまんべんなく)に手あげ方式でモデル的なデータヘルス計画を作成してもらい、それをベースにして各健保が平成26年度下期に計画作成していくスケジュールです。
現時点では、どういうものかと言うと、「データヘルス実施スケジュール」表をご覧頂くとイメージしやすいかと思います。平成26年度下期については、普及事業として全健保組合を対象とした講習会等を開くことを検討しています。

参考資料:データヘルス計画の推進について(厚生労働省保険局保険課)
木村: 全健保への指標としての「モデル的データヘルス計画」とすでに出ている「データヘルス事例集」との違いは何でしょうか?
高橋: 事例集はあくまでも計画の一部という位置づけですが、モデル計画はまさに計画そのものですので、その健保組合の保健事業すべてを網羅したものになります。そこから自分たちと属性や取組みの似た健保組合のモデル計画を参考にし、データヘルス計画の作成を進めてもらうことになります。
【事例集=一部の保健事業】⇔【モデル計画=全体の保健事業】
木村: なるほど。わかりやすいご説明ありがとうございます。
鳥井: イメージとしては難しいものではなく、本質はこれまでの保健事業を実施することと同じです。今回は、PDCAをまわしていなかった保険者には是非取り入れていただき、データも活用してほしいということです。ベーシック的なレベルの「梅」コースは、健保連のシステム活用を念頭に置いて考えています。データを使い対象集団がどういうリスクを持っているかを把握し、どういうポピュレーションアプローチを行うか、またハイリスクアプローチを行う対象はどこなのかを決めて計画を立ててもらいたいと思います。
例えば、保健師さんは個別指導を行う際、優先順位が高い層から行うと思いますが、実施できるキャパシティが異なるため自分たちのキャパシティを考えどこまで実施するか計画を立てる必要があります。ポピュレーションアプローチについては、ICT(情報通信技術)を活用しあまりコストをかけずに、しかも個別性が高い形でやる工夫を考え、健保組合という特性をいかしたアプローチを考えていただければと思います。

参考資料:データヘルス計画の推進について(厚生労働省保険局保険課)
木村: 確かに"お金をかけずに"といったところはキーポイントですよね。今、弊社(リンケージ)では全国健康保険協会(協会けんぽ)本部で、保健指導のテレビ面談(ICT〔情報通信技術〕の活用)を企画し、これからモデル事業を実施する予定がありますが、今後はICTを活用した保健事業を推奨していく方向にあると考えてよろしいでしょうか?
鳥井: そうですね。そこはやはり身の丈に応じたかたちになりますが、一つの取組みとして期待しています。また、一つ求めていることとしては、「どう評価するか」ということです。これからデータは蓄積される一方なので、システムの中である程度の評価分析ができる仕組みができればいいのです。リスクがどれだけ減ったか、医療費の面でどういった貢献が表れたかなど、中長期的なプランになるかもしれませんが、推進していかなければならないポイントだと考えます。
木村: 今までの医療保険者の保健事業計画は、それぞれで一生懸命推進していましたが、今回の事業により、事例やデータが集まり、共有することで攻めの姿勢を示すことができると感じでいます。
【参考資料】
データヘルス計画の推進について(厚生労働省保険局保険課)[PDF:1.5MB、22頁]
「「データヘルス計画」について ~どう計画し、運用するか~」もくじ
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