第2回 「データヘルス計画」について ~どう計画し、運用するか~
加入者のQOLを考え、健保組合能力の棚卸と事業主との連絡調整を
木村: 実際にデータヘルス計画を作成する健保組合スタッフに求めることは何かありますか?
鳥井: データヘルス計画の作成を通じ、実際に作成するスタッフに求めることは、まず加入者のQOLを上げるためにどういった事業を行うとよいかを考えることです。計画を継続させるために、いかに事業主を巻き込んで事業所全体の健康水準を上げていくかという視点で考えていただけるとなお良いと考えます。
例えば、データヘルス計画の作成時期が来る前の今の段階から、「早めに事業主と相談する」「今の健康状況をきちんと把握する」など、今できることから着手し、データヘルス計画の作成を進めていただきたいと思います。つまり、健保組合能力の棚卸と事業主との連絡調整を早めに実施することで、継続的な計画実施と事業所全体の健康水準の向上に寄与することができ、企業の経済活動に資することにもつながるのではないでしょうか。
木村: レセプトや健診データを健保組合に納める健診実施機関について、今はまだデータヘルス計画ということを知っているところは少なく、知っていてもやることは今までと変わらないとの認識が多いです。
一方、一部では今までの事業主や健保に対しサポートしてきた実績をもとに、何か積極的に医療保険者の事業に協力できるのでないかと考えている健診実施機関もあります。健診実施機関はどのように関与していけるとお考えでしょうか?
高橋: 基本的にはデータの納付がメインになることはこれまでと変わりません。一部では、保健指導を行っているところもあるので、規模の小さい健保組合では健診とセットで保健事業を委託するなど、今後データヘルスを行う上でも協力体制が求められるところだと思います。
木村: これから健診実施機関の活用、アウトソースなど事例が増えてくるのでしょうね。
健康診断の仕組みを考えると、医療保険者は健康診断実施機関に特定健康診査及び特定保健指導をアウトソースしている立場となりますが、これまでの経緯を鑑みても、事業主から見た従業員、または医療保険者から見た加入者に対して、一番身近に健康増進事業に取組んできたのも、健康診断実施機関ではないかと考えます。健診結果についても、データで納品しているのは健診機関です。健診実施機関の役割や活用等はどのようにお考えですか?
鳥井: おっしゃるとおりですね。データヘルス計画についても、健康診断実施機関のリソース活用と位置づけについて再考しなければなりませんね。これからの現実的な問題としては、健診にお金をかけられる時代がいつまで続くのかといった問題もあります。健診機関にとっても、健診以外の企画立案、保健指導の部分について自らのリソースを提供するという視点で新たな展開が考えられるでしょう。
木村: 今般のデータヘルス計画については、健保組合対象の予算事業となっておりますが、国保組合や自治体については、どのような流れになるのでしょうか。
鳥井: 国保についても、健保組合と同様の取組を行うことが日本再興戦略に盛り込まれましたので、この方針に沿って、26年度より保健事業の計画について必要な見直しなどを行う予定です。
【参考資料】
データヘルス計画の推進について(厚生労働省保険局保険課)[PDF:1.5MB、22頁]
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