オピニオン/保健指導あれこれ
改めて公衆衛生看護とは

No.1 保健師は公衆衛生の担い手

日本保健師活動研究会会長
平野 かよ子

 日本公衆衛生学会の前理事長であった實成文彦氏は、「公衆衛生の衛生の「生」は、生命の「生」であり、生活の「生」であり、生涯の「生」、さらに人々の「生」、きめ細かく業の「生」である。公衆衛生はこれらの「生」を総合して衛ることである。」と述べられています。

 また、科学は分析が中心であるが、公衆衛生は分析と共に統合の学問であり、統合の知識と技術を明らかにしていくことも重要であるとも話されています。私はこの公衆衛生の捉え方は重要であると思っています。

 公衆とは特定のハイリスクの人々、つまりある種の健康問題を持つ人々を対象とするのではなく、「だれでも」「みんな」「すべての人々」を対象とするということです。すべての住民の健康と福祉を守るという文言は、地方自治法の初めに書かれています。都道府県、市町村の行政に所属する保健師は、地方自治体の職員としてすべての人々の健康を衛ることを責務としています。そして、保健師として公衆衛生を実現し、その実現する中で公衆衛生とは何かを明確にすることができる立場にある者です。

 私は、公衆衛生が大切にするすべての人々の健康を把握するためには、地域の個々の人々の健康や環境等の実態をきめ細かく捉え、かつ全体を鳥瞰して総体的に捉えることだと思います。そのためには地域に出て、できるだけ多くの住人や関係者とかかわることです。そこで知らされたこと、観察したことを保健師同士で共有し、さらに住民や関係者とも共有し話し合いを重ね、パートナーシップを基盤として組織的に協働することだと思います。このように専門職として最新の情報や技術を習得するとともに、多くの住民や関係者の力を借り、共に社会的に取り組むことが公衆衛生の特徴です。

 次回は、日本公衆衛生看護研究会が整理してきている公衆衛生看護の活動方法の特徴を紹介します。また、順次保健師の活動をいかに可視化するかについても触れていきます。どうぞご期待ください。

アルコールと保健指導
無料 メールマガジン 保健指導の最新情報を毎週配信
(木曜日・登録者11,000名)
登録者の内訳(職種)
  • 産業医 3%
  • 保健師 46%
  • 看護師 10%
  • 管理栄養士・栄養士 19%
  • その他 22%
登録はこちら

ページのトップへ戻る トップページへ ▶