オピニオン/保健指導あれこれ
働く人の感染症予防と感染症BCP(※2018年12月最終更新)

No.1 海外渡航する従業員の感染症予防について

保健指導リソースガイド編集部

 海外では、日本と気候や衛生環境が異なることから様々な感染症に注意する必要があります。

 感染症の正しい知識を持てば、感染症のリスクを減らすことができます。もしも、感染症にかかった場合でもその後の対応で症状の早期改善や周囲への二次感染を防ぐことができます。

最新の情報を確認 必要に応じて予防接種も検討

 渡航先の感染症情報は、FORTH/厚生労働省検疫所ホームページ(渡航国・地域別情報)外務省海外安全ホームページ(医療・健康関連情報) で提供されています。

 予防接種で防げる感染症の場合は、あらかじめ免疫をつけておくために予防接種がおすすめです。

 発展途上国では感染症が日常的に流行している地域もあるので、企業が従業員を派遣する際は、安全配慮義務の観点からも予防接種を指導してください。

 必要な予防接種は渡航先、滞在期間、また現地でどのような作業をするかで異なってきます。予防接種後に免疫ができるまで数週間かかったり、数回の接種が必要となるものがありますので、対象となる従業員には早めに面談をしましょう。

予防接種がある主な感染症

感染症 潜伏期間 主な症状
A型肝炎 2~7日 倦怠感、黄疸
黄熱 3~6日 高熱、頭痛、筋肉痛、おう吐、時に黄疸、臓器出血
破傷風 3日~3週間 口を開けにくい、飲み込みにくい、しゃべりにくい、全身けいれん、呼吸困難
B型肝炎 10日~6か月 全身倦怠感、吐き気、黄疸、食欲不振
狂犬病 1~3か月 治癒した受傷部の痛み、知覚過敏、恐水・恐風症状
日本脳炎 1~2週間 高熱、意識障害、頭痛、 おう気、おう吐、けいれん、筋肉の硬直、異常行動
麻疹 10~12日 高熱、咳、鼻水、結膜充血、発疹

 腸チフス及びコレラのワクチンは日本では未承認(2017年時点)ですが、一部の医療機関では輸入ワクチンの接種可能です。詳細は医療機関にお問い合わせください。

感染が疑われた場合は?

 帰国後に、発熱、下痢、皮膚の異常、咳、倦怠感、悪寒、頭痛などの症状の健康状態を報告・相談された場合、速やかに医療機関の受診を指示してください。周囲の感染予防のため、マスクの着用も促してください。

 感染症の疑いがある場合の病院探しにお困りのときは、各地方自治体の保健所へお問い合わせください。東京都では24時間受付「ひまわり」(東京都医療機関案内サービス) もご利用できます。 (ひまわりTEL:03-5272-0303)

 受診の際には、症状を正確に伝えるために「体調管理シート」の利用がおすすめです。


(参考:海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド

外国労働者にも感染症対策を

 感染症には潜伏期間があり、外国人労働者が自国で罹患した感染症を日本で発症する可能性もあります。特に母国に一度帰国した際など、発熱などの症状がある場合は感染症も考慮して医療機関の受診を指導することで早期発見が可能です。

<参考>
「海外旅行者・帰国者のための感染症予防ガイド」について(東京都)

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