オピニオン/保健指導あれこれ
がん治療と仕事の「両立支援」を考える~産業保健師の乳がん経験~

No.1 保健師として・患者として振り返る「乳がん経験」

パナソニック健康保険組合 保健師
横山 淳子

保健師になったきっかけ

 こんにちは。保健師の横山です。

 私の保健師としての原点は、看護実習の時に、腹痛を訴えて入院してこられた患者さんとの出会いです。70歳くらいの物静かな女性だったのですが、ある日病棟の洗濯機の前でおいおい泣いていらっしゃいました。声をかけると「洗濯機の使い方がわからない。」とのことでした。

 これをきっかけに、時々話すようになりその後、お嫁さんと上手くいっていないことや自分が家族の中でどんな役割をすればいいのかわからないなど少しずつ胸の内を話してくださるようになりました。私も彼女を何とか励ましたいと「明日はどんな話をしようか。」とあれこれ思いながら寮に帰った日を思い出します。

 金曜日、彼女に「また来週来るからね。」と別れを告げ、月曜日に実習先に行くと、看護師さんたちから彼女が退院したことを聞かされました。お嫁さんが来て彼女を引きずるようにして帰っていったそうです。

 また何度も私の名前を呼んでいたとのことでした。私は何もできなかったことがとても悔やまれ、彼女のような寂しい老後ではなく、年齢を重ねても自分のことは自分でできること、元気でいること、幸せでいること、そのためのお手伝いがしたいと保健師になることを決意しました。

 今でも彼女の声が聞こえるような気がして、仕事で何かあるたびに彼女との出会いに立ち戻り、自分の役割を見つめ直すようにしてきました。

企業の保健師として過ごす日々の中で

 現在は、企業の保健師として勤めていますが、20~30代の頃は従業員の皆さんに「健康になることが楽しいと思ってもらえるような風土づくり」が私の目標でした。

 40代に入ってからは、出産、育児を経験する中で、仕事に加え、家族の中での役割や退職後の生き方を意識するようになり、より生活に密着した保健指導を考えるようになったと思います。うまくいくことばかりではありませんが、喜びも生きづらさも一つ一つの経験が役に立っていると思います。

乳がん経験から
「患者として感じたことや保健師の立場から考えたこと」

 さて、私は2年前に、乳がんが見つかり、手術、抗がん剤治療、乳房再建術を経験しました。

 患者としての自分、家族や友人との関わり方、治療を受けながらの就労など、自分の生き方について考え、保健師としての役割についても振り返る機会をいただきました。

 がん告知から現在に至るまで、家族や友人、職場の方をはじめ、多くの方に支えられ、励まされてきました。患者として感じたことや保健師の立場から考えたことなどをお伝えできればと思います。

 あくまでも私個人の体験を通してですので一例にすぎませんが、少しでも皆様の参考になれば幸いです。

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