No.14 治療を乗り越えるために( 1 )
副作用と付き合う
抗がん剤の点滴治療日は、病院までの往復2時間をとにかく無事に一人で行って帰ってくることを目標にしました。抗がん剤の副作用は少なくなったとは言われますが大なり小なり大体の副作用を経験したように思います。前半のAC療法は、点滴後しばらく起きるのがつらく10日ほど横になることが多かったです。 他には、吐き気、身の置き場の無いようなだるさ、においに敏感になる、脱毛、味覚異常(何を食べても飲んでもまずい)、喉のつかえで飲み込みがうまくできない、眠れない、乾燥肌、便の出しにくさなどがありました。特に「におい」については、普段、全く気にならなかった整髪料のにおいがきつく感じられ吐き気につながりました。 味覚異常では甘みをまずく感じ、大好きなおやつが苦手になったりと、自然にしていると何を食べてもおいしくないので記憶に残るおいしさを思い出しながら食べるようにしました。 他に心掛けたことは生活のリズムを変えないことでした。働いていた時と同じ時間に起き、食事の準備、弁当作り、洗濯、掃除などを行い、終わったらすぐ横になりました。 少しでも元気が出たら、合間を縫ってラジオ体操などの運動。副作用が落ち着いたら1日1万歩。用事を見つけて外出。朝から散歩がてら友人宅に行くなど体を動かし職場に行く練習をしました。 後半の副作用は、前半よりは楽でしたが、普段アルコールを飲まない私は、抗がん剤に含まれるアルコール成分のせいで点滴中から気分が悪くなり、帰りは悪酔いしたような脱力感で家路につくのがやっとでした。 治療が終盤に向かうと、手足のしびれで力が入らず、包丁を落としたり、ペットボトルや瓶ふたが開けられなくなったりと動作が鈍くなってきました。薬が体にたまってくることで白血球の低下が著しくなり何度か治療が受けられないこともありました。専門職からのアドバイスの大切さ
毎回、治療を受ける度に産業医(上司)に血液データを見せ体調の報告をし、仕事に就くようにしました。特に最終の1か月は白血球低下、貧血によるひどいだるさで、2回ほど点滴治療を見送り、感染のリスク、体調含め通常勤務に耐えられないことから就業制限がかかりました。 働くことが励みになっていただけに、産業医(上司)から血液データを改善すること、主治医から出社許可をもらってくるように言われた時は、本当に残念でなりませんでした。 今まで、仕事をすることは生計を立てるのに当たり前のことだと思っていましたが、思うようにならなくなると、仕事ができることをありがたく、キラキラした眩しいもの、かけがえのないもののように思いました。 治療中という非日常では、物の見方やとらえ方がいつもより敏感になり、この時の私は会社に行きたいという前のめりの気持ちで、しかし身体はついていかないアンバランスな状態だったと思います。周りも私の気持ちに押されて何も言えなかったかもしれません。だからこそ医療職の産業医から止められると素直に従うことができました。 産業医あるいは看護職がデータや体調を見て仕事ができる状態かどうかを判断し、本人と職場に現実を伝え職場への適応をアドバイスしていくことはとても重要な役割だと思いました。この本人と周囲とのバランスが取れてこそ両立支援が成り立ち、バランスをとるために産業医、あるいは看護職のアドバイス、存在は欠かせないと思いました。 「がん患者の就労などに関する実態調査」のがん患者の就労意向によると80.5%が仕事を続けたいと答え、そのうち6割が「いきがいである。」と答えています。私のように治療をきっかけに、自分にとっての仕事の位置づけを考えるようになり、いきがいだと思えた方もいらっしゃるのではないでしょうか。QOLを目指し就労の場を得られる環境づくりはますます期待されると思いました。 しかしながら私のように細やかな就労の可否を確認しながら両立支援を行うには、まだまだマンパワーが足りず今後の課題となると思いました。今回のチェックポイント!
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