最新の患者調査(厚生労働省)より、国民の健康状態について分析
「令和2年(2020)患者調査(確定数)」が厚生労働省より2022年6月に公表されています。患者調査は3年ごとに実施されており、令和2年は、全国の医療施設のうち、病院6,284施設、一般診療所5,868施設、歯科診療所1,277施設を利用した入院・外来患者約211万人、退院患者約104万人が対象となりました。 令和2年の調査については、総患者数の推計方法の見直しが行われました。その結果、例えば、高血圧性疾患の総患者数は、前回(「平成29年(2017)患者調査(確定数)」と同様に患者数は最多ではあるものの、約993万人から約1,503万人と約500万人増加しています。 当協会では、今回の患者調査と前回までの患者調査の患者数は、単純比較はできないため、「令和2年(2020)患者調査」の結果の総患者数について、調査に用いられた人口動態統計より有病率を算出し、国民の健康状態について独自に分析を行いました。
患者調査と令和2年(2020)の患者推計の見直し
患者調査は、平成5(1993)年から、再来患者の「平均診療間隔」を用いた「総患者数」が推計・公表されています。「総患者数」とは、調査日現在において、継続的に医療を受けている者(調査日には医療施設を受療していない者も含む)を推計したものです。
「総患者数」の推計に使用している「平均診療間隔」の算定にあたっては、集計開始当時の研究結果を踏まえ、外来の再来患者の前回診療日から調査日までの日数が31日以上のものを除外していました。しかし、近年の疾病構造の変化や保険診療における薬剤投与期間(長期処方)にかかわる見直し、医療技術の向上などにより、診療状況に変化が生じていることから、令和3(2021)年2月に「厚生労働統計の整備に関する検討会」の下に設置した「患者調査における「平均診療間隔」及び「総患者数」の算出方法等の見直しに関するワーキンググループ」において見直しが行われ、「平均診療間隔」の算定上限を外来の再来患者の前回診療日から調査日までの日数が98日(14週)として算出(=99日以上を除く)することになりました。
総患者数 = 推計入院患者数 + 推計初診外来患者数 +(推計再来外来患者数 × 平均診療間隔*1 × 調整係数(6/7)*2)
*1:平均診療間隔とは、外来の再来患者の前回診療日から調査日までの間隔の平均 *2:調整係数とは、平日の調査(患者調査)による再来患者数を1週間の平均再来患者数に調整する係数。6/7 は1週間のうち1日が休診という診療状況を想定したもの
※平成29年まで:前回診療日から調査日までの日数が31日以上のものを除外 令和2年以降:前回診療日から調査日までの日数が99日以上のものを除外
なお、厚生労働省では、新たな推計方法による「総患者数」は、令和2(2020)年調査の確定数から公表することとし、平成29(2017)年以前の公表結果についての遡及改定は行わないとしています。ただし、参考として、過去3回調査分(平成23、26、29(2011、2014、2017)年)の傷病大分類別の「平均診療間隔」及び「総患者数」、並びに「前回診療日からの診療間隔日数階級別の再来外来患者数」等が以下のサイトで公表されています。
患者調査における「平均診療間隔」および「総患者数」算出方法等の見直し
最新ニュース
- 2024年12月09日
- 肥満とフレイルのある高齢者は死亡リスクが高い 「痩せすぎず太りすぎず」が大切 日本の高齢者1万人超を調査
- 2024年12月09日
- 年末年始の健康管理は失敗しやすい? 8割の人は「もっと健康になりたい」が新年の抱負 日本など11ヵ国を調査
- 2024年12月09日
- わずか4分間の運動が女性の健康リスクを半分に減少 日本の女性は運動不足 9割以上が運動不足を実感
- 2024年12月09日
- 自然とのふれあいが肥満や糖尿病を改善 日本の里山の魅力を再発見 緑の豊かな環境は心身の健康を促進
- 2024年12月06日
- 働く女性は年々増加している 一方で賃金格差など解決が求められる課題も-令和5年版「働く女性の実情」より